「キャラクター設定が、リアルな名作風の映画にしては、かなりおかしい。」クリード チャンプを継ぐ男 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
キャラクター設定が、リアルな名作風の映画にしては、かなりおかしい。
ロッキーシリーズは大好きで全部見ていて、新シリーズが始まるということで、すごく期待していた。
確かに一見リアルな感じの名作風で、試合のシーンはすごく近距離から撮っている映像が続き、臨場感たっぷりで、技術もすごく高く、本当のプロの試合を見ているようだった。
でも、最初から最後まで違和感が続き、あまりストーリーに入れないし、個人的には盛り上がらなかった。
見ている時はわからなかったけど、後で考えたら、キャラクター設定がリアルな名作風の映画にしては、かなりおかしいのが原因だと思った。
まずおかしいと思ったのは最初に出て来るアポロの妻メアリー。
なぜ、愛人の子供を引き取るのかわからない。夫ならわかるけど、妻は普通しない。
というか、『鬼畜』の岩下志麻さんなら、殺している。
アメリカの法律がどうなっているのかわからないけど、この場合、ほっておいて後で遺産相続争いをするよりも、引き取って恩を売っておいた方が得、という計算だと思う。
愛にあふれたいい人みたいになっているけど、違うと思う。
それから一番わからないのは主人公のアドニス。
投資会社に勤めていて、もうすぐ部下がつくようなポジション。
なんでそれだけのキャリアを、あっさり捨てるのかわからない。
大学を出て、もしかしたら大学院まで出て、たぶん4・5年は働いている。
そうすると、最低でも26才、もしかしたら30才超えているかもしれない。
普通のボクサーなら引退する年で、いまからボクシングを教えてくれでは遅すぎるのでは?
というかなんで、自己流で、メキシコに賭けボクシングに行っているのかまったく不明。
高校だって大学だってボクシング部くらいあっただろうし、やる気になれば、金持ちなんだから、専属のトレーナーやコーチを雇うことも可能。
ジムだってアポロのジムだけではないし、金を出せばいくらでも教えてくれるところはあるはず。
それなのに、なんでフィラデルフィアのロッキーのところまで行かなければならないのかまったく不明。
あと恋人のビアンカ。『アフロ田中』じゃないんだから、あんな可愛いミュージシャンの女の子が、あんなボロいアパートに、しかも一人で住んでるわけないだろうと思った。
住んでいたとしても、訳の分からん上の階の男にほいほいくっついてきて、しかも彼氏いなくて、即恋人になるなんてありえないでしょう?
わからないけど、アメリカでは、ノックされて扉開けること自体危険なのでは?
あと、ロッキー、これはロッキーじゃない。年取ったり、病気になるのはしょうがないとしても、こんなになんでも言うこときくいい人ではない。
少なくとも6までは、まだ若い者には負けない、勝てないまでも、ひと泡ふかせてやる、という人だった。
こんなおだやかな爺さんではない。
それから対戦相手もダメ。なんで二人共白人?黒人でないと強そうに見えない。
すごく強いという演出もないし、見た目ではアドニスの方が全然強そうで、これでは盛り上がらない。
理想的には3のグラバー・ラングみたいなキャラがいい。
ボクシング物だと、自分の暗くて重い人生を、すべてコブシに込めて相手に叩き込んでいくんだ、というような人物がいないと面白くない。