「品のない仮面ライダー登場!」デッドプール ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
品のない仮面ライダー登場!
アメコミヒーローの実写化がどんどんシリアス路線に進み、もはや映画の中にもお気楽な勧善懲悪が消えつつある今、デッドプールは反旗を翻す。やったぜ、俺ちゃん!!まずはそこを賞賛したい!
自分をミュータントにした悪の組織と戦う物語こそ仮面ライダーと同じだが、移動はタクシーだし(乗車賃も払わない)、忘れ物はするし(キティちゃんのカバン)、ヒーロー映画のタブーとも言える下ネタを交えて攻撃、いや口撃してくる。とにかく、ドジで間抜けで品がない。もちろん、これは誉め言葉。ブラックでシニカルで悪党を殺すのに一切の躊躇いがなく、その残虐っぷりに、こいつがヒーローでいいのか?とビターな笑いを誘ってくる。モラトリアムヒーローたちが増えすぎた昨今だからこそ、この手の変化球キャラはアメコミヒーロー像に新しい風を吹き込んでくれた。
しかし、1作目故の宿命であるヒーロー誕生に至るまでの話が、意外と真面目なのに驚かされた。冒頭のド派手なアクションは見応え&笑いがたっぷり詰まっていたのに、何故主人公がデッドプールになったのかを説明する中盤のユーモアが控え目なために、全体の流れが悪く感じてしまう点が些か残念で仕方がない。
はっきり言おう。このキャラクターであれば『オースティン・パワーズ』級の下ネタも『永遠に美しく』級のスプラッター描写も全然OKだ!むしろ、上品でお高いPTAの皆様から、お叱りを受けるほど悪ノリしちゃった方が俺ちゃんの個性が活きるハズ!ヒーロー誕生の下りを描く必要がない次回作こそ、フルスロットルなデッドプールが見られるに違いないと否が応でも期待が高まってしまう。ということで、本作は『デッドプール2』の予告編であったと勝手に理解して、⭐︎3つとさせていただきます!