カノンのレビュー・感想・評価
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美人女優3人を入口に、現代の社会問題を考えさせる
戦略は悪くない。比嘉愛未、ミムラ、佐々木希という三姉妹の女優陣を目当てに軽い気持ちで観始めたなら、物語のなかで描かれるアルコール依存症、モラハラ、認知症といった重い問題に衝撃を受けるんじゃないかな。
彼女たちの母親に扮した鈴木保奈美は、若い頃はアルコール依存、現在は飲酒が原因の認知症という、痛々しい姿をさらすキャラクターを熱演。彼女がトレンディドラマで活躍していた頃(まさに本作の三姉妹の年頃)を知っている世代には、「ああ、こんな役を演じる歳になったんだなあ」と一層感慨深い。
北陸の観光名所をこれ見よがしに映すショットが多いのがやや気になったものの、ラストで三姉妹がピアノ3台で「パッヘルベルのカノン」を演奏するロケシーンは、ドラマと音楽と風景が三位一体となった名場面だ。
鈴木保奈美の熱演
なんでこんな役引き受けたんだろうというくらい痛々しい鈴木保奈美。
もはやトレンディ女優だったころの面影はない。
終始それに圧倒された。
話としては結果、出来すぎてはいる。
重々しい課題を軟着陸させるためのストーリーなんだろうが。
けど、それを引いても充分訴えかけてくる映画だった。
何がきっかけで変わってしまうのか、些細な事なのかもしれないが、当事者にとっては重大な事。
三姉妹が仲良いことが救い。
すごく良かったです。
何といっても、鈴木保奈美さんの演技が光ります。若年性痴ほう症の方を良く知っていますが、保奈美さんの演技を見て実によく観察、勉強されたなと感じました。そして、悲しみがひしひし伝わりました。
愛する子らへの暴力も、涙が出ました。まさに迫真の演技です。
なんといってもラスト。
保奈美さんの目に、光が差し込む(記憶が一瞬戻る)瞬間を、
見事に表現されていました。
鈴木保奈美、凄し!!!ここまでの女優だったとは。
地味に上映されていましたが、「○○○賞」などを取った多くの映画に負けない、素晴らしい作品でした。
映画館で見ることが出来、人生に悔いないしです。
アルコール怖い。でも母は偉大。
アルコール依存症になってしまい、子供と離れて暮らす母、ついにはアルコール性の認知症で子供さえ誰か分からなくなってしまう。本筋とは違いますがアルコールは愉しいけど、恐いなと、人事じゃないなと思ってしまいました。でもやっぱり母親はアルコール依存して子供に対してきつくあたってもそれでも子供のこと考えてるんだとしみじみ感じました。
子供が知らない色んなことが重なって精神的に追い詰められる。親ははけ口もなかったりする。そんなこと見せない自分の親には改めて感謝です。
展開は分かりやすい。3人の娘が突然現れた母のことをきっかけに人生に向き合っていく姿が描かれています。寄りそう愛の彼氏が素敵。相手の問題を自分のものとして考えるそういうことはパートナーとして大事だなと、でも、あんな風に声をかけて行動することは難しい。
娘に会うために禁酒してたのに1年間近で飲んでしまい無茶苦茶になる姿や禁断症状から薬品飲もうとしたり暴れてベッドに拘束される姿は見てられない。
鈴木保奈美さんは目で感じさせる素晴らしい演技だったと思います。姉妹3人美しすぎでした。後、長谷川朝陽さんは前もあんなイカレタ旦那やってましたけど、もうあれは変態ですね、怪演素晴らしい笑
最後の終わり方、エピローグもなしで個人的にはいい終わり方て゜した。
『女優』という職業への敬意
『怒り』や『憎しみ』は他の人だけでなく、自分をも傷付けるということに改めて気付かされました。
もし、これがドキュメンタリーだったら、いたたまれなさや酷さに目を背けたくなるような内容も含まれていますが、女優さんの綺麗さと演技力のおかげで最後まできちんと受け止めることが出来ました。
もしかしたら、深刻さゆえにストレートに伝えづらいことを普段その方面に関心のない人にも伝えることができる力、それこそが俳優さんや映画の存在意義なのかとさえ思い、製作に携わった全ての方に敬意を覚えました。ありがとうございます。
それにしても、入水自殺した画家志望の父(夫)の情けなさといったら、なんなんでしょう⁉︎
大人になっても自分の弱さを母親のせいにする、保奈美さんに依存しつつも独り立ちを目指すのかと思ったら、その妻が育児に追われている間に浮気はする、挙げ句の果てに勝手な理屈(結局何を言ったかは明かされませんでしたが、なにを言ったにせよ、きっと三葉ちゃんのお父さんだったら『甘えた戯れ言を言うな』と一蹴したでしょうね(^_^))を捨て台詞?に自殺⁇
あなたが一番たくさんの人に致命的なほどの傷を与えたんですよ。
同じ男として、全女性にお詫びしたくなりました。
芸の肥やし、みたいなニュアンスで許されることがあるとしても、無闇にひとを傷付ける権利まではないはずです。個人的にはそこの描き方の物足りなさの分だけ減点させていただきました。
涙なしでは見れません‼
見ている内にどんどん引き込まれ、あっと言う間に終わりました‼
児童虐待、アルコール依存症、トラウマ、モラルハラスメント、重いテーマがたくさん詰まって何度も涙が出ましたが、最後はホッとしました。
辛い事があっても、いつかそれを乗り越えて行けるんだと希望が持てました。
出演してる女優達が素晴らしかったです。
特に鈴木保奈美さんが凄かったです!
三重奏
ひどい母親だという想いが、過去を知ると、可哀想な母親だという想いに変わる。
人は会ってすぐに理解できるものではなく、その本当の心は深く、複雑で表面には見えないことがあるのだと思った。
自分にはどうしようもできないことが、人生には沢山起こる。父が死んだときに母の心を突き刺したのは、父の行為と、配慮の足りない愛人の言葉、それから、同じように父の死を悲しみ苦しんでいた祖母の言葉だった。そのとき祖母は、息子の死が辛くて、言わずにはいられなかったのだと思う。そして、自分の言葉が母を傷つけたことに、罪悪の念を持ちつづけたのだろう。
人は弱いものだと、あらためて思った。自分にはどうしようもできないことが起こったとき、辛いことから逃げたり、欲に負けたり、傷つくことを怖れて何もできなかったりする。それは、仕方のないことだと思う。
そんなときに、カノンは、辛い心を慰め、人と人が繋がり、強く前を向いていこうとする音楽のようだった。
女性必見!
アルコール依存症、モラハラ、嫁・姑の関係、母・娘の問題、姉妹同士の葛藤、夫の浮気の問題・・・女性が人生で出会いそうな数々の問題が取りあげられていて、ずっしりと胸に響きました。女性必見の映画といってもいいでしょう。
特にアルコール依存症とモラハラは正しい情報に基づいているので、それらがどれだけ恐ろしいことなのかがよく伝わってきます。
きめ細かい布石
アルコール性認知症やモラハラといったものが主体となっていますが、それだけでなく、なぜそうなったかもきめ細かく描かれていました。
小さな頃から妹たちを守って、保護者的役割をしていた長女だったから、モラハラの被害者になってしまった。
実の母親よりも夫を知っていたつもりだった鈴木保奈美の「私は彼を全部理解している。応援している」という思いが、むしろ夫には重荷だったのではないかとか、深く読み込もうとするといくらでも深く読める脚本です。
ひまわりの種が出てきたときに、結果がわかってしまうのはおっとですが、それでも素直に感動できます。文科省推薦にしてもよいほど家族一緒で見たい映画です。
大いなる赦しの物語
人間の情緒の深い部分を描いた、非常に誠実で素敵な作品でした。
三人姉妹はアルコール依存の母親に対して愛憎入り混じった感情を抱いていますが、当初は憎しみが優勢です。その憎しみに囚われているので、ありのままの自分を生きれていません。
長女・紫は母親をなだめる時に使っていた「自分が悪いの、ごめんなさい」というパターンに縛られてモラハラ野郎の餌食になっており、次女・藍は婚約者の家庭団欒に違和感を覚えて、自分は結婚に相応しくない人間だと価値下げしている。
(三女・茜は実は母親の影響が少なく、彼女の問題はプレッシャーと孤独に由来しているように感じた)
で、物語の中盤から三人姉妹は母親の足跡を辿り、憎い母親を少しずつ理解していきます。理解していくと、母親を多面的に見れるようになるため、ついに憎悪よりも愛が優勢になり、母親を赦せていくんですね。
すると姉妹も自動的に解放されていくのです。紫はモラハラ夫と対決でき、藍もなんの葛藤もなく自然にプロポーズを受け入れられます。
この赦しの物語がとても丁寧に描かれているため、深く感動しました。
その人を取り巻く世界を変えていくためには、赦しが一番強力だなぁと実感しました。本当に変わる。赦しのパワースゴい。
赦しの結果があのエンディングで、本当に美しくて素晴らしく、思わず涙しました。
演者も素晴らしかった!観る前はどうかと思っていた佐々木希も、不器用だったが熱くて良かった。
また、禁酒していた美津子が飲んでしまう場面やヒマワリ畑など胸に迫るシーンも多かったです。
富山の美しい風景も素敵で、いつか旅行したいな、なんて気持ちも生まれました。町興し映画としての役割も全うしていたと思います。
ただ…物語は素晴らしいのですが、映画としての演出が野暮ったい!わかりやすさを優先するために、やや誇張がすぎるきらいがあります。モラハラ夫とか、もっと自然だったら良かったのにな、思いました。
一番気になったのは説明セリフが多すぎること。絵に説得力があるので、もっと観客に委ねて欲しかった。十分伝わっているのに説明されてしまうと「もうわかってるよ!」と少し興ざめしちゃう。なんだかNHK富山が製作した超名作2時間ドラマみたいになってしまっております。映画的に洗練されていれば今年を代表する掛け値なしの傑作になっていたのに惜しい。
それから、公開一週目のサービスデーに観賞したのですが、映画館ガラッガラでした。とてもいい映画なのにこれは寂しい!
広報にはもっと頑張ってほしいです!興行的に爆死するにはあまりにも勿体無いですよ。
大切な人をより大切に思いたくなる作品
ネタバレ気味です。
本作は、3人の美人女優の顔見せ的な作品かと思いましたが、
実際は、非常に内容が分厚く、重い作品でした。
アルコール依存、モラハラ、大切な人との別れ、過去のトラウマ
といった、人間誰しも抱える心の傷や、他人との関わりを
時間いっぱいにぎっしりと、緻密に構成された作品でした。
見た後に、けしてネガティブな感情ではなく、ポジティブな
気持ちになれる、女性が(嘘くさく無く)活躍する人間ドラマです。
大切な誰かをより大切に想いたくなる作品です。
今度はいつか、大切な異性と一緒に見たいです。
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