カノンのレビュー・感想・評価
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泣かない私だったのに
母のこと、認知症、夫、商売の跡継ぎ、いろんなキーワードが私にぴったりきたようで、忘れられない映画です。
今まで映画館で泣いたことがなかった私だったのに最後は涙が止まらず、そのまま出るのがちょっと恥ずかしくて(笑)
それに加えて、女優さんたちが美しくてうっとりと引き込まれました。
こんな素晴らしいキャストとストーリーなのに、友人たちと話していて近くに上映されてる映画館が少ない、あるいは県内にないのよ!と言われてしまいました。
そして、富山に行ったことがないので、近々行ってみたくなったのは私だけじゃないと思います。
ミムラの演技が見事
人間関係の破綻と再生の物語だ。バラバラの人生を生きている3姉妹が祖母の葬儀で集まるところから映画がはじまる。現在の状況と過去の振り返り。かつては誤解と不信、不安による精神疾患、そして離別があったが、物語が進む中で誤解が理解に変わり、再会があり、不信が親和になっていく。
映画は次女役の比嘉愛未を中心に展開していくが、比嘉の演技がそこそこ上手だったのに、三女役の佐々木希の演技があまりにも薄くて姉妹としての関係性、ひいては作品全体を台無しにしてしまいそうだった。それを、長女役のミムラが優れた演技力で姉妹関係を持ちこたえさせ、同時に作品自体も立て直していた。ミムラは「後妻業の女」でも端役ではあったがなくてはならない役をきちんとこなし、短い時間でも十分に説得力のある演技をしていた。この女優さんはいつからこれほど演技が上手になったのだろうか。
他の女優では、母親役の鈴木保奈美や祖母役の多岐川裕美の演技も見事。島田陽子に至っては、もはや名人芸である。この人と原田美枝子はまだまだ主役を張れるだろう。
登場人物のそれぞれに人生がある。不安やトラウマ、または懐かしい記憶もある。そしてそれぞれの人生が時間と空間の様々なタイミングで関係し合い、影響し合う。うまくできた映画だ。そして女優さんたちは、それぞれに背負った人生をよく表現している。
しかし佐々木希の三女だけ、演技の向こうに人生が見えてこない。出番が多くないのは確かだが、それでも脚本を咀嚼して自分のものにすれば、短い演技でも複雑な女心を表現できるはずだ。特に、仕事中にウイスキーを飲んでしまう場面では、その理由を説得力のある演技で表現しなければならなかった。ところが佐々木の演技は引き出しからウイスキーを出して、ただ飲んだだけだった。三女の人生を物語る象徴的な場面なのに、残念至極である。
現状では佐々木希の演技は、喜怒哀楽のいずれかひとつしか表現できない単純なものだ。怒りのあまり泣くとか、悲しくてやりきれないのに笑うとかいったことはよくある。人間の心理は常に込み入っているものだ。顔の表情や小さな仕種ひとつでも、演技の向こうに人生が見えてこなければならない。そうでなければ観客を感情移入させることはできないし、役者としての意味がない。佐々木希の演技は薄っぺらで、役者とは言えない。顔の綺麗なモデルの域を1ミリも出ていないのだ。
映画自体の評価は4.5だったのだが、佐々木希の演技でマイナス1.5の3.0となった。しかしミムラの見事なリカバリでプラス1.0の4.0とした。ミムラはこれからも注目の女優で、映画も舞台もチェックしていくつもりだ。
たくさんの人に見て欲しい
まずぶっちゃけ書きますが、自分、プロデューサーの知り合いです。そしてこの映画はうちの地元ではやってません。前作リトルマエストラも上京の際に見ましたが、それは有村架純ちゃんが目当てでした(笑)。対してこの作品はたまたま映画館近くに滞在したので、最初はプロデューサーへの義理で見たものです。
結果、号泣しました。
掛け値なしに見て後悔はないと思います。
それと、教材としても使えます(笑)、アルコール依存症とモラハラに関して。この二点がちゃんとした知識に基づいて描かれているからリアルに感動するのだとも思います。
惜しいのは上に書いた様に自分の地元等では上映していない=見られる映画館が限られる、という事。そして自分が見た時もそんなに客の入りが多くなかったこと。
私がそうだったように、見てみれば絶対に後悔はない良い作品です。なんとかしてより多くの人に見てもらいたいので、興行的にコケないで欲しいと思った次第です。
涙なしでは見れません‼
見ている内にどんどん引き込まれ、あっと言う間に終わりました‼
児童虐待、アルコール依存症、トラウマ、モラルハラスメント、重いテーマがたくさん詰まって何度も涙が出ましたが、最後はホッとしました。
辛い事があっても、いつかそれを乗り越えて行けるんだと希望が持てました。
出演してる女優達が素晴らしかったです。
特に鈴木保奈美さんが凄かったです!
三重奏
ひどい母親だという想いが、過去を知ると、可哀想な母親だという想いに変わる。
人は会ってすぐに理解できるものではなく、その本当の心は深く、複雑で表面には見えないことがあるのだと思った。
自分にはどうしようもできないことが、人生には沢山起こる。父が死んだときに母の心を突き刺したのは、父の行為と、配慮の足りない愛人の言葉、それから、同じように父の死を悲しみ苦しんでいた祖母の言葉だった。そのとき祖母は、息子の死が辛くて、言わずにはいられなかったのだと思う。そして、自分の言葉が母を傷つけたことに、罪悪の念を持ちつづけたのだろう。
人は弱いものだと、あらためて思った。自分にはどうしようもできないことが起こったとき、辛いことから逃げたり、欲に負けたり、傷つくことを怖れて何もできなかったりする。それは、仕方のないことだと思う。
そんなときに、カノンは、辛い心を慰め、人と人が繋がり、強く前を向いていこうとする音楽のようだった。
女性必見!
アルコール依存症、モラハラ、嫁・姑の関係、母・娘の問題、姉妹同士の葛藤、夫の浮気の問題・・・女性が人生で出会いそうな数々の問題が取りあげられていて、ずっしりと胸に響きました。女性必見の映画といってもいいでしょう。
特にアルコール依存症とモラハラは正しい情報に基づいているので、それらがどれだけ恐ろしいことなのかがよく伝わってきます。
きめ細かい布石
アルコール性認知症やモラハラといったものが主体となっていますが、それだけでなく、なぜそうなったかもきめ細かく描かれていました。
小さな頃から妹たちを守って、保護者的役割をしていた長女だったから、モラハラの被害者になってしまった。
実の母親よりも夫を知っていたつもりだった鈴木保奈美の「私は彼を全部理解している。応援している」という思いが、むしろ夫には重荷だったのではないかとか、深く読み込もうとするといくらでも深く読める脚本です。
ひまわりの種が出てきたときに、結果がわかってしまうのはおっとですが、それでも素直に感動できます。文科省推薦にしてもよいほど家族一緒で見たい映画です。
霧が晴れていく時の故郷の情景
幼少期にアルコール依存症に陥った母にわだかまりを抱えた三姉妹が母の足跡を辿る事で母の届かなった娘達への愛を少しずつ知る事になり、小さなエピソードの積み重ねが母へのわだかまりを融かしていくのだが、霧が晴れて視界が開ける事で三姉妹自身の人生に踏み込んで行く展開に希望を感じる。
日常生活に近い風景を大事にする監督さんのようで、黒部の大自然とは無縁の日常生活に近い場所の景色が返って、故郷の情景として印象に残った。
三姉妹が母に対して心的外傷を抱くようになる前の、母との幸せだった頃の小さな想い出の映像が在れば、三姉妹の幼少時代のピアノの演奏会の挿話が納得しやすいのではと思った。
大いなる赦しの物語
人間の情緒の深い部分を描いた、非常に誠実で素敵な作品でした。
三人姉妹はアルコール依存の母親に対して愛憎入り混じった感情を抱いていますが、当初は憎しみが優勢です。その憎しみに囚われているので、ありのままの自分を生きれていません。
長女・紫は母親をなだめる時に使っていた「自分が悪いの、ごめんなさい」というパターンに縛られてモラハラ野郎の餌食になっており、次女・藍は婚約者の家庭団欒に違和感を覚えて、自分は結婚に相応しくない人間だと価値下げしている。
(三女・茜は実は母親の影響が少なく、彼女の問題はプレッシャーと孤独に由来しているように感じた)
で、物語の中盤から三人姉妹は母親の足跡を辿り、憎い母親を少しずつ理解していきます。理解していくと、母親を多面的に見れるようになるため、ついに憎悪よりも愛が優勢になり、母親を赦せていくんですね。
すると姉妹も自動的に解放されていくのです。紫はモラハラ夫と対決でき、藍もなんの葛藤もなく自然にプロポーズを受け入れられます。
この赦しの物語がとても丁寧に描かれているため、深く感動しました。
その人を取り巻く世界を変えていくためには、赦しが一番強力だなぁと実感しました。本当に変わる。赦しのパワースゴい。
赦しの結果があのエンディングで、本当に美しくて素晴らしく、思わず涙しました。
演者も素晴らしかった!観る前はどうかと思っていた佐々木希も、不器用だったが熱くて良かった。
また、禁酒していた美津子が飲んでしまう場面やヒマワリ畑など胸に迫るシーンも多かったです。
富山の美しい風景も素敵で、いつか旅行したいな、なんて気持ちも生まれました。町興し映画としての役割も全うしていたと思います。
ただ…物語は素晴らしいのですが、映画としての演出が野暮ったい!わかりやすさを優先するために、やや誇張がすぎるきらいがあります。モラハラ夫とか、もっと自然だったら良かったのにな、思いました。
一番気になったのは説明セリフが多すぎること。絵に説得力があるので、もっと観客に委ねて欲しかった。十分伝わっているのに説明されてしまうと「もうわかってるよ!」と少し興ざめしちゃう。なんだかNHK富山が製作した超名作2時間ドラマみたいになってしまっております。映画的に洗練されていれば今年を代表する掛け値なしの傑作になっていたのに惜しい。
それから、公開一週目のサービスデーに観賞したのですが、映画館ガラッガラでした。とてもいい映画なのにこれは寂しい!
広報にはもっと頑張ってほしいです!興行的に爆死するにはあまりにも勿体無いですよ。
ベテラン女優の力
島田さん、多岐川さん、古村さん、保奈美さん、さすがです。ミムラさんはまたファンになりました。佐々木さんスクリーンでさらに綺麗です。
内容はテレビドラマでもと言う感じですがスクリーンで鑑賞すると三割増しに。
切ない後に心洗われ浄化される映画
美しいものが美しくなるのは、やはり生き方。
舞台挨拶を見ていたが、比嘉愛未、ミムラ、佐々木希、多岐川裕美、鈴木保奈美、桐山漣、皆さん人柄が会話のコンビネーションに表れていた。そして本編。素晴らしいです。
キャスト全員のキャラクターが、細やかに描かれ、主役だけでなく、どの登場人物にも感情移入できるのが、この映画の質の良さを表している。
物語が進んでいくにつれ、心に溜まる感情が後半随所のシーンで、溢れてきて、嗚咽を抑えることが出来なかった。
キーワードのカノンやひまわり見るたびに、今後この映画を思い出し、それとともにこの時の感情が沸き起こってくる。
そんな映画になるような気がした。
足跡
これでもかってぐらい都合が良くて、これでもかってぐらいベタな母親の話と、その話に向き合っていくこれでもかってぐらい抱えちゃってる3姉妹。
それはそれじゃないか?という考えは微塵も感じさせない同情っぷりと許しっぷりだけどなかなか泣ける。
じわじわと来る
邦画を映画館で見るのは初めてかもしれません。邦画はいつもDVDで済ませてましたけど邦画は映画館で観てこそ、と感じてしまいました。
登場人物姉妹たちの日常の葛藤と相まって、溜めて溜めてじわっと涙腺が崩壊しました。下馬評はどうか知りませんが佐々木希さんの末娘らしい自然な演技、正義感がとても好印象でした。エンディングの主題歌セピアは作品の世界観をとてもマッチしていて違和感なく映画の感動に余韻を持たせてくれました。
大切な人をより大切に思いたくなる作品
ネタバレ気味です。
本作は、3人の美人女優の顔見せ的な作品かと思いましたが、
実際は、非常に内容が分厚く、重い作品でした。
アルコール依存、モラハラ、大切な人との別れ、過去のトラウマ
といった、人間誰しも抱える心の傷や、他人との関わりを
時間いっぱいにぎっしりと、緻密に構成された作品でした。
見た後に、けしてネガティブな感情ではなく、ポジティブな
気持ちになれる、女性が(嘘くさく無く)活躍する人間ドラマです。
大切な誰かをより大切に想いたくなる作品です。
今度はいつか、大切な異性と一緒に見たいです。
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