「毎朝のコーヒーが昨日よりもちょっぴり美味しくなる映画」A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
毎朝のコーヒーが昨日よりもちょっぴり美味しくなる映画
この映画を観るとQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が向上します。マジで。
良い映画というものは鑑賞した人の価値観を変えてしまう効果がありますが、本作は数ある映画の中でも価値観の変化が大きい作品だと思いますね。現代社会では誰もが当たり前のように飲むコーヒー。平成28年に全日本コーヒー協会が実施した調査では、日本人は平均で一週間あたり11杯のコーヒーを飲んでいるそうです。町を歩けばスターバックスやドトール、コメダ珈琲店などの喫茶店チェーンをいくらでも見掛けますし、缶コーヒーやコンビニコーヒーが広まって誰でも気軽にコーヒーを楽しめる時代です。100円出せばコーヒーが飲めるということがどれだけ恵まれていて、どれだけ多くの人間によって供給が支えられているか、この映画を観れば知ることができます。
「専門店の1杯7ドルのコーヒーは高く感じるが、その一杯のために掛かる手間を考えれば安すぎるくらい」という序盤のナレーションも、ラストシーンには納得できるようになりますね。
劇中では「日本はコーヒー大国」と紹介されていて、日本のバリスタや喫茶店が紹介されているのを観て、日本人であるにも関わらずそのことを知らなかったことが勿体ないと感じました。
日本人ならば毎日当たり前に飲んでいるであろういつものコーヒーが、この映画を観てからだと少しだけ特別なものに感じられるようになります。この映画を観れば、毎朝のコーヒーが美味しくなってQOLが向上します。全国民が観るべき映画です。
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畑に生るコーヒーの実が一杯のコーヒーとなるまでを追ったドキュメンタリー。畑の生産者・コーヒーを買い付けるバイヤー・流通業者・バリスタや珈琲店経営者など、コーヒーに関わるあらゆる職種の第一人者へのインタビューと入念な取材によって、コーヒーの魅力に迫っていく。
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上映時間が短くて良い。上映時間は60分ちょっとしかないですが、内容はみっちり詰まっていました。映画には「適切な上映時間」っていうのがあると私は考えていますが、本作はこのくらいの上映時間がピッタリだったように感じます。そして、確かに短い上映時間の中にも「ここはしっかり見せたい」という制作者のこだわりが感じられるシーンがいくつかありました。例えば「大坊珈琲店」の店主である大坊さんがコーヒーを淹れるシーン。レトロな秤を使った豆の計量から、焙煎、挽き、ドリップまでの一連の所作を、流れが分かるように最小限のカットでかなり長い尺を取って描写しているのが印象的でした。たった60分ちょっとの上映時間の中の3分くらい使って描いていて、「この一連の所作の美しさを観てくれ」という制作サイドのこだわりが感じられました。
ドキュメンタリー作品なので物語的な見せ場とかは特にないから、「ここが面白かった」みたいなレビューができないのがもどかしいですね。間違いなく面白かったんですけど。
とにかく、私のレビューでは語りつくせないほど良い映画でした。
短い映画なので、空き時間にぜひ観てみてください。オススメです!!!