「一見すると金ピカだが、実はメッキ。そんな映画。」ONE PIECE FILM GOLD たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
一見すると金ピカだが、実はメッキ。そんな映画。
「海賊王」を夢見る青年、モンキー・D・ルフィ率いる麦わら海賊団の活躍を描くアドベンチャーアニメ『ONE PIECE』の劇場版第13作。
世界最大のカジノ「グラン・テゾーロ」を訪れた麦わら一味が、カジノ王テゾーロと激しいバトルを繰り広げる。
ナミの旧友にしてグラン・テゾーロの歌姫カリーナの声を演じるのは『デスノート』シリーズや『モテキ』の満島ひかり。
グラン・テゾーロの警備主任タナカさんの声を演じるのは『アヒルと鴨のコインロッカー』『永遠の0』の濱田岳。
ゴルフ場のキャディ、アルバの声を演じるのは当時乃木坂46に所属していたアイドルの西野七瀬。
カメ車レースに出場する海兵、カーブの声を演じるのは当時モデルとして活動していた成田凌。
グラン・テゾーロのVIP専用コンシェルジュ、バカラの声を演じるのは『白ゆき姫殺人事件』『エイプリルフールズ』の菜々緒。
カメ車レースに出場するレーサー、ケント・ビーフJr.とその相棒ポークの声を演じるのは『20世紀少年』シリーズや『エイプリルフールズ』の古田新太。
なお、過去作『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009)で金獅子のシキの声を演じていた竹中直人は、本作ではステーキハウスの店長ダブルダウンとカメ車レースの出場者ホワイトジャックの二役を演じている。
『ONE PIECE』はドレスローザ編の途中までは原作を読んでます。
劇場版はちょこちょこ鑑賞しており、前作『FILM Z』(2012)は鑑賞済み。
ただ、本作の連動企画である『ハートオブゴールド』と『シルバーマイン編』は未鑑賞です。
そんな半端者のレビューとなります。
本作はとにかくエンターテインメンツ!ということで、いろいろ盛り込んだのでしょう。カジノ王テゾーロとの対立に加え、ナミの旧友、奴隷となった人々、希望をなくした少年、伝説のギャンブラー、CP-0と革命軍、天竜人の登場など。うーん、盛り沢山。
とにかく盛り盛りにした結果、それら一つ一つの描写が薄くなってしまっていて、全体的に散らかっている。純金のメダルかと思ったら、唯の金メッキだったという感じの作品。
カジノが舞台の作品で、犯罪者が主人公とくればやることは一つ。現金の強奪でしょう。本作でも麦わら一味が金庫破りに挑戦します。
お約束が押さえられていることは良いのですが、せっかく特殊技能を持った仲間たちが集まっているのに、やることはシンプルな潜入。
チームもルフィ&ロボとその他の2チームに分かれるだけで、しかもルフィ&ロボの2人だけのチームにしたことには特に意味がない。なんという味気なさ…🌀
『オーシャンズ11』(2001)という素晴らしいお手本があるのだから、それを臆面もなくパクるくらいのことをしてでも、チーム犯罪ものの面白さを見せて欲しかった。
音楽家の骨がバンドマンとして潜入するとか、ロボがスロットマシンに細工するとか、ナミがスリの腕前を発揮するとか、チョッパーが動物の声を聞いて潜入ルートを調べるとか、サンジが酒場のマスターに変装して客から情報を入手するとか、ゾロが分厚い金庫の扉をぶった切るとか、ロビンが音もなく見張りを気絶させるとか、ウソップが口八丁で詐欺を働くとか、それぞれの得意分野を活かしたケイパームービーにすることも出来たはずなのだが、結局はいつも通りの映画になっており、最後はボスをぶん殴って終わり。
せっかくカジノが舞台なのになんか勿体ない。
テゾーロも何がしたいのかよくわからない。
何故ルフィを罠に嵌めたの?エンターテイメンツの為?
債務者を奴隷として扱っているという描写もあまり見られないので、悪役としての魅力が中途半端。
あと、今回の作戦の要、海水を手に入れる件だが、いくらなんでも海楼石の巨大ファンを体で止めるという展開はいい加減過ぎないか…。
第一、砂漠のど真ん中ならともかく、巨大な船の上が舞台なのだから海水くらいもっと簡単に手に入りそうなものだが…?
作画のクオリティは素晴らしい。
ただ、ゲスト声優の起用は微妙。
メインキャストやテゾーロの山路和弘さんが上手いので、一部のキャストにとっては公開処刑みたいになっている。満島ひかりは特に酷い。実写での演技と声の演技は全くの別物だということがよくわかる。
反面、ケンコバや小栗旬はかなり上手く、正直エンドロールを見るまで気付かなかった。
キャラクターの衣装デザインは原作者の尾田栄一郎が担当したらしいが、何故彼のデザインはこんなに品がないのだろう。
3回くらい着替えたが、全て下品。気を衒えばいいというものじゃないことを誰か教えてあげたほうが良い。露出が多ければ観客が喜ぶわけじゃないんだよー😮💨
作品としては、可もなく不可もなくと言った感じ。
もっと上映時間を短くして、シンプルな作りにして欲しかった。