「色んな問題提起の凄い映画」最愛の子 ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
色んな問題提起の凄い映画
子供を誘拐されて、苦労して見つけ出し、一見落着のハッピーエンド映画かなと思って見ていたら、全く違っていた。
誘拐された子供が見つかったとき、子供は両親の顔を認識できず、誘拐した女性のほうを自分の母親だと信じているところが何ともやるせなかった。もしかしたら、あまりにも息子を探すのに疲れてしまって、他人の子供なのに自分の子だと錯覚してしまったのかと思ったくらいだ。
深圳の家で、誘拐された息子と父親が一緒に住んでいるシーンとなり、息子はまだ父親に馴染めないようであるが、DNAの結果は本当の親子であることが証明されたということがわかる。
これで一件落着かと思いきや、何と、今度は誘拐した女・・・ヴィッキー・チャオ(実際には誘拐したのは亡き夫の方で、彼女自身はその事を知らなかったようであるが)が主人公となってしまう。しかも、人間関係がより複雑に色々な要素が絡み合っていく。ちょっと盛り込み過ぎな感じもあるが、ヴィッキー・チャオが主人公になってからの予測不能の想定外のてんこ盛りの展開は、個人的には大いに気にいってるところだ。見終わった後、よく考えてみれば、ヴィッキー・チャオが本当の親に子供を取り返されて、追いかけていくシーンだけで終わるはずはないよな。
誘拐されたもう1人の女の子(捨て子?)を誘拐された女が養子にする問題と彼女の離婚、ヴィッキー・チャオのほうも里親になる申請、それを担当する弁護士、 2人が法廷(調停かな?)で争う、誘拐された親たちの会のリーダーの妻の妊娠、その会のメンバーによるヴィッキー・チャオへのリンチ、最後にはヴィッキー・チャオが妊娠してしまう、これでもかというくらいの怒涛のクライマックスには圧倒されてしまった。
誘拐された子供が誘拐した女に馴染んでしまう映画は、「八日目の蝉」を思い出すが、日本映画と中国映画の違いか、全く異なる印象だ。
コメントをいただきましてありがとうございました。残念ながらこの作品は観ておりません。レビューを拝見しただけでもキョーレツ、さすがの中国作品とお見受けしました。機会があれば是非観たいと思います。ただ、題名諸々記憶していませんが、誘拐された子が数年後誘拐した家族にこき使われていて実の母親が確かめに来たのに追い返され再度確認連れ戻しに行く作品を観たのですが。