「上質な青春映画」ディストラクション・ベイビーズ テオさんの映画レビュー(感想・評価)
上質な青春映画
社会システムに潜む暴力装置の暗喩、神のメタファーといった深読みを必要とするまでもなく、真っ当で上質な青春映画。
誰もが連想するであろう新井英樹作品で言えば、短編ひな+TWIMといった感じで、土着的な祝祭空間で展開される生と死の対比が描かれる。
本作の売りである主人公の背景にある暴力性は、実際の現場で撮影したであろう祭りと、でんでんの佇まいによってしっかりと納得できる作りになっている。
一番心に響いたテーマは、タイトルからも連想するコインロッカーベイビーズにも共通の、唯一の理解者である兄弟への愛情だった。
映画冒頭数秒、1つしか同じカットに映らない兄弟にも関わらず、映画が終わる頃には涙を流すほどに強い繋がりを感じた。
柳楽優弥は言わずもがな、弟役の村上虹郎の絶妙な不安定さによってその繋がりはますます尊いものに思えた。
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