女ガンマン 皆殺しのメロディ
1971年製作/82分/イギリス
原題または英題:Hannie Caulder
1971年製作/82分/イギリス
原題または英題:Hannie Caulder
■銀行を襲ったクレメンツ三兄弟(エメット、フランク、ルーファス)は、逃亡用の馬を調達するため町外れの牧場へやって来る。
そこで、地主のクローデルを射殺し、その妻・ハニー・コールダー(ラクエル・ウェルチ)を凌辱し、家を燃やして去った。
ハニーは三兄弟への復讐を胸に、賞金稼ぎのトーマス・ルーサー・プライス(ロバート・カルフ)のもとで銃撃を習得していく。
◆感想
・良くあるパターンの復讐劇だが、今作が何故か面白いのは、ハニー・コールダーが復讐の相手とするエメット、フランク、ルーファスのクレメンツ三兄弟が、小太りで髪の毛は薄く、あんまり強そうに見えない所であろう。
・だが、そこはハニー・コールダー演じるラクエル・ウェルチの、色っぽい姿が見事にカバーしている。
・彼女は賞金稼ぎだが、どこか人間味のあるトーマス・ルーサー・プライスに最初は断られ続けるが、根性で弟子入りし、彼の知り合いの拳銃づくりの達人ベイリー(ナント、クリストファー・リー)に作って貰った軽量の拳銃で、腕を磨いて行くのである。
そして、その姿を見守る黒衣のガンマン。
<漸く、ある街でハニー・コールダーと、トーマス・ルーサー・プライスの前に現れたクレメンツ三兄弟。
ここで、プライスはマサカのエメットの投げたナイフ(ここのシーンが、スローモーションと言うのも、斬新である。)に腹部を刺され、それまでハニーに復讐すると人生が変わると諫めていたプライスは、彼女に”やるなら、倒せ”と言って絶命するのである。
ハニーは、街中で次々に三兄弟を倒して行き、懸賞金はトーマス・ルーサー・プライスと同じく、全て葬儀費用にするように依頼し、黒衣の男と共に街を去るのである。
今作は、弱き女が、賞金稼ぎに銃を習い、銀行強盗三兄弟と対峙する様を描くラクエル・ウェルチの魅力が炸裂する異色な西部劇である。>
ならず者にさした理由も無く夫を殺され、そのまま凌辱され家も焼かれた女の復讐劇。
と、設定はマカロニっぽいですが、実は英ウェスタン。なので刺激的な描写は控えめ。
しかしながら当時のセックスシンボルとも言えるウェルチ主演なので、セクシーな演出は盛りだくさん。
裸ポンチョやお風呂、フィットした濡れたパンツなど盛りだくさん。
ストーリーラインは王道なウェスタンですが、B級要素もたっぷり。ツッコミどころもいっぱいです。
実にタランティーノが好きそうで、影響を受けたのもわかります。
色々と荒い部分も多く、窮地を助けてくれたスティーヴン・ボイドなんて謎すぎです。
それでも、わかりやすいストーリーラインで実に観やすい。
主演ラクエル・ウェルチのために作られたような、痛快西部劇です。
マカロニ・ウエスタンっぽいが、イギリス製西部劇。1971年の作品。
ある監督と作品に多大な影響を。
賞金首のクレメンス3兄弟に夫を殺され、自身も犯され、家を焼かれ…何もかも失ったハニー。女ガンマンとなり、復讐する…。
タランティーノの『キル・ビル』の元ネタの一つとして知られている。
見てたら『キル・ビル』だけじゃなく、
通りすがりの賞金稼ぎ・プライスと出会い、ガンマンとしてのイロハを教わる。敵を探す旅…。
『ジャンゴ 繋がれざる者』への影響も感じられた。
タランティーノのエンタメ精神を大いに刺激。
何と言ってもラクエル・ウェルチ。
裸体に毛布一枚という強風でも吹けばあわや…な刺激的な格好。
勿論彼女のセクシー魅力満載だが、銃もまともに撃てなかったヒロインが一端のガンマンになっていく美しさとカッコ良さこそ光る。
ロバート・カルプのカッコ良さと名助太刀、銃鍛冶クリストファー・リーや謎の男スティーヴン・ボイト、憎々しいアーネスト・ボーグナインら豪華な面子の個性的でアクの強いキャラ。
ツッコミ所はあり。
夫が殺されたというのに、プライスと何やらいい雰囲気…。が、そこまで発展せず、あくまで“バディ”。
クレメンス長男の凶剣に倒れるプライス。絶命するほどの致命傷?…と思うが、そうならなくちゃ話は盛り上がらない。
プライスの教えを胸に、たった一人で敵に立ち向かうハニー。ここからカッコ良さが増し増し。
シンプル・ザ・ベストな分かり易いストーリー、躍動感のある音楽、ツボを抑え、スカッと痛快な面白さ。
1960年代~1970年代、空前のマカロニ・ウエスタン・ブーム。
各国でウエスタン調のアクション映画を続々製作。それぞれ特色や工夫を凝らして。
その末期に現れた本作ほんのりエロスとリベンジ・アクションの女ガンマン!
『フィシュアンドチップスウェスタン』だったとは知らなかった。単純にラクウェル・ウェルチの西部劇と思っていた。劇場未公開だそうだが、海辺のシーンになんとなく見覚えがある。しかし、イタリア製の西部劇だと思っていた。
改めて見て、傑作じゃないのか!
1976年2月7日の土曜洋画劇場だそうだ。見ている。