「良かった点も微妙な点もいっぱいあってな」ルドルフとイッパイアッテナ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
良かった点も微妙な点もいっぱいあってな
原作はロングセラーの名作児童文学らしいが、まるで知らず。NHKでアニメ化された事もあるそうな。
とにかくこの作品、あくまで個人的な感想としては、良かった点と微妙な点がコロコロ変わり、総合評価としてどうだった?と問われたら、ちと返答に困る。
黒猫のルドルフは大好きな飼い主を追いかけて家の外に出て、ひょんな事から長距離トラックに乗り込んでしまい、東京に辿り着いてしまう。
ペットが迷子に…って設定は同時期公開の「ペット」とクリソツ。
原作は1987年に刊行されてるとは言え、どうも見た事ある始まり方で、最初は乗れなかった。
見知らぬ地をさ迷ってる時出会ったのが、大型の野良猫“イッパイアッテナ”。
威圧感バリバリで、人間的に言えば強面。
しかし、面倒見が良く、ルドルフに野良猫として生きる酸いも甘いも教えてくれる。時には厳しく叱り、窮地には助けてくれる。
鈴木亮平の声も見事で、この頼れるイッパイアッテナのキャラがとても気に入った。
何と人間の文字が読めるというイッパイアッテナ!
好奇心旺盛なルドルフはイッパイアッテナから人間の文字を教わる。
(って言うか、あんな夜の公園の電柱の下で文字を書いてる猫が居たらマジホラーだけど…)
徐々に人間の文字を覚え始めたルドルフは、ある日TVを見ていたら、自分が住んでいた場所が岐阜県である事を知る。学んだ事を活かして飼い主の元に帰ろうとする。
これまた基本的な流れは「ペット」と似ているが、あちらのようなドタバタストーリーではない。
何より“教養”の大事さ。学ぶ事で、自分で考え、行動する事が出来る。
おそらくここが、NHKでアニメ化もされ、児童文学として長く愛されてる理由。
手立てが整い、ルドルフが旅立つ直前、ある事件が…。
友の為に何が出来るか、何をしてやれるか。
いがみ合ってた相手との和解も。
本当はお互い知ってるくせにちょっとした“嘘”をつく二匹の姿にちょっぴり感動。
話としては「ペット」よりずっといい。
そして遂にルドルフは飼い主の元に帰ってきたのだが…
ある意味衝撃の展開。人によって意見が分かれるだろう。
あまりにも残酷。ルドルフが可哀想過ぎる。
でも様々な経験をし、ルドルフは一匹で生きていけるほど逞しくなり、あのまままた飼い猫に戻れなかったと思う。
胸が痛いほどの切ない一人立ち、そしてイッパイアッテナたちの元へ…映画はこのまま終わって良かったと思う。
そしたら、思わぬ…と言うより、出来すぎた展開。
せっかくの切なくて温かい感動が台無しに。
一応ハッピーエンドだろうけど、あれ、どうなのよ…??