永い言い訳のレビュー・感想・評価
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どんな人生を歩んでいても、決して逃げられないテーマ
「夢売るふたり」があまり合わなかった(というより、難解でよく分からなかった)ので、今作もどうかな…と思っていたが、とてもよかった。
観た後はいつもモヤモヤした気持ちになる西川監督作品、今回ももちろんスッキリ!というわけではなく、なんともいえない後味が残るが、それでも観後感はほんのりと希望のような明るさが漂う。
それはもちろんストーリーのせいもあるが、何より兄妹の存在が大きかったように思う。
あかりちゃんのキュートさ!真平君の聡明さ!
この2人が魅力的であったために、衣笠がこの2人の面倒を見るうちに精神依存(と言っていいと思う)していったのも説得力があったし、彼らの存在がこの映画の「軽さ」になっていた。
そして、2人の軽やかさにより、大人たちの葛藤はより一層重く響く。
「絶対に忘れない」「忘れることも必要だ」
「子供がいたから生きていられる」「子供さえいなければ楽だったのに」
さらに、衣笠のマネージャーが言い放った「男にとって、子供は免罪符」という強烈な一言。
未婚女性の私ですら、なんだかグサッときてしまった。
男も女も、既婚者も未婚者も、子供がいてもいなくても、家族を失ったことがあってもなくても、「自分の人生」と「他者との関わり」というテーマからは逃げられない。
いつも、見て見ぬふりをしたいような「本音」をスクリーンいっぱいにぶちまける西川監督だが、今作はその間口がより広くなったように感じた。
……というマジメな感想とは別に、本木雅弘と黒木華の不倫シーンがエロくてとてもよかったw
小説を読もうかな…
子供がいる生活に逃げてる!って言われてから何か妻と向き合う作業をするかと思ったら結局またあの家族とのエピソードで救われてダメな男のままだけど小説書いて賞取っちゃった
最後に写真見て唯一既出のエピソードを追認して終わり、ホントに妻を愛してたのか?
自分と妻の間はほぼ離れたままで特に妻からは歩み寄りがわかるような過去の話は何もなく…賞取った小説の中身が知りたい!
竹原ピストルさんは出色の演技でした!
想定外によかったと感じた未婚子供なしの感想
予想していたより全体的に明るい。
もっくんのダメ男っぷりがいい。どうしようもなく弱い。そこがたまらない。ヨダレものだ。はまってる。いい人なんかに誰も惹かれない。でも愛人にすら去られてしまうくらい全てから逃げてる。
弱くて逃げて向き合う勇気がなくて過去を認められない。ようやく自分を必要としてくれてると思える相手に会えたのにその関係も自分から壊してしまう。弱いから。
でも終盤、ようやくその弱さを認めることができるようになる。こうなってはいけないと少年に伝え、髪の毛を切ることができるのだ。伸びた髪の毛は切られるがその間の重さが加わった想いはなくならない。でも受け止められるようになったのだ。そして髪の毛と共に解放される。
最後に。子供がいるって素晴らしい。自分の子ではなくても。
悲しい映画でした。 でもクズでも生きてくしかない、というか生きてて...
悲しい映画でした。
でもクズでも生きてくしかない、というか生きてて良いと感じられた。
人が死んだとき、何をしていたか、何を思ったか。
それでその死に対する感じ方は変わってくる。
幸夫や真平君はその為に涙を流すことも出来ずにいる。
幸夫は自業自得だけど。
所々に印象的な台詞がある。
子供は免罪符。人間だから色々考えちゃうよ仕様がない。など。
いちいち引っ掛かりはするけれど、響くまでには至らない。
長年連れ添った相手が死ねば、夫婦関係がどうあろうとショックだろう。
けど、コピーにあるそれから愛しはじめたってのは幸夫の場合はあたらないと思う。
本の授賞式に渡された一枚の写真は、あんたはホントのなっちゃんを知りはしなかった、という残酷な告知にみえた。
竹原ピストルの妙
竹原ピストルが
自分が居ないときに
こども二人とモックンで仲良くワイワイしてるときに
現れる竹原ピストルのシーン
一瞬、何か起こるのでは?と思わせる間…
そして急に笑顔…
モックンよりではある内容だが
その竹原ピストルのわずかな真顔から笑顔に
自分の居ないときに仲良くしてるモックンへのなんとも言えない感情の表現なのかな?と
考えさせられる…
そのわずかな間は…大好きな妻を亡くした
竹原ピストルの…伝えるのがムズい
でもそれでただのバカキャラではないんだろうなと思わせるその意図がすごい
西川美和さん末恐ろしい
西川さんの映画を見るたびに思う事だけど、彼女の生みの苦しみは並大抵じゃないんだろうな〜と。
苦しまなきゃ、こんな深い映画は生まれないと...信じたい(笑)
傑作は傑作なんだけど、たまに本木さんの表情頼りで、全く説明がないから、幸男くんが何を思ってるのか難解シーンがあって、観客を突き放すように感じたから☆は3.5くらいで...
ただの個人的な予想だけど、幸男くんは西川さん自身でもあるんじゃないかな〜と。
他人なんかにわかってたまるかっていうシーンなのかな、表情だけで伝えようとするシーンは。
それもそれで味だと思うので、面白いことは間違いなしです!
人間を描き出す力は存分に発揮されている。
最後、手帳に殴り書きしながら幸男くんが涙を一筋流すところの演技、秀逸だった。
あのシーン、西川さんが重なって見えた。
なんでだろう。不思議。
なっちゃんのハサミを手に取った時、風が幸男くんの前髪を吹くシーン、素敵だった。
他にもいっぱい素敵なシーンあったけど、最後の方しか出てこない(笑)
最後まで美しいシーンの連続だったから、すぐに塗り替えられてしまったのかも。
つまりは、いい映画。それに尽きます。
人生はきっと、いつもちょっと手遅れで、後悔は付き物だろうから、今を大事に生きなきゃな、と思いました。
帰り道の新宿のネオン街が綺麗に見えた。
日常の美しさはすぐそばにあることを、急ぎ足の現代人に気付かせてくれる、そんな何気なくて、凄い映画です。
西川美和監督。自分の中では「ゆれる」の監督というイメージが強い。と...
西川美和監督。自分の中では「ゆれる」の監督というイメージが強い。とにかく、オダギリジョーさんに夢中になっていた(今も変わらずだが、昔よりは落ち着いている)頃に、この映画はなんだ。凄すぎると。当時、仲の良かった友人と語り合った記憶が今でも蘇る。役者の揺れ動く感情が、西川監督の映画ではスクリーンから、これでもかと伝わってくる。嘘っぽくなく、生っぽく、映画館だということも忘れてしまって、自分の中にある感情が剥き出しにされる思い。この人の映画は信用できる。と生意気に毎回思う。これが僕が観たい映画だと思える。 そして、僕は西川美和監督の映画イコール「ゆれる」というイメージを卒業した。この映画、一番好き。本木雅弘さんにお会いした事はありません。でも、きっと、この映画の、この役こそ、本木雅弘さんが演じる為に作られたように思う。本木さんって、なんてユニークな方なんだろうか。童心を忘れずに生きている人から醸し出される愛嬌や安心感がある。そして、孤独感もある。 物語冒頭、僕は、これはちょっと、どんよりしていきそうなテーマの物語だと感じた。演じる役者やキャスティング次第では、重たくなりそうだなと思ったが、この映画の主人公、幸夫が、感情が乱れることなく、何処かユーモラスな佇まいでスクリーンに映し出され続ける。だからこそ、彼が出会っていく出来事に僕自身の興味はずっと集中していた。そして、あの兄妹。本当に微笑ましく、僕自身の涙腺を見事に崩壊させた。 僕自身の家庭環境や悩みや苛立ちや憤りを、無邪気な妹に振り回されながら、必死に生きる兄の姿を観て、自分の不甲斐ない生活のダメさと、それでも応援してくれる親の存在の有り難さを感じてしまって、何度も涙が出た。こんな映画、どうしたら撮れるのだろうか。素晴らしい。パンフレットを購入。1000円という価格に驚き、思わずレジで「たかっ!」と言ってしまった。読んでみて納得。付録のDVD、まだ観ていませんが、観るの楽しみ。素晴らしい映画に巡り会えて感謝です。ありがとうございます。(私的な感想で大変申し訳ありません。)映画記録用に書いていますので。
家族って羨ましいな。と思ってしまって、動揺する。
家族のいない自分が寂しくなったりする。
面倒だけど、人との繋がりって、優しいな、と思う。
本木雅弘が子供でカッコ良い。
子供たちがかわいい。
深津絵里がとにかく綺麗。
ラスト、なっちゃんのメールの内容を救って欲しかったけど、それがないのが、映画かな。
深津絵里が、綺麗で大人。
心が動いた。
最近、色々映画を見たけど、年齢のせいもあると思うけど、泣くとか感動するとかが無くなっていた。
話題作とかを見ても、終わったら、忘れて日常に戻っていた。
予告編を見て、設定の黒さに興味を持ち、かつてモックンが大好きであったことも思い出し、一人で映画館へ行った。
でも、この作品を見て、結婚して23年、家族、子供とも心理的に疎遠になる自分の心や夫、子供との関係を考えさせられた。
人生は他者である。わかっているけど、傍にあると忘れる。
自分のエゴと自分以外の人との関わりで日々揺れ動く中で、自分に欠落しているものを気付かされた主人公。自分とリンクした。
男とか女とか関係なく。
俳優の素晴らしい演技、脚本の良さに、映像の自然さ、子役のとってつけた感じの少ない、素晴らしい演技。特に目がよかったな、子役さん。
シブガキ隊のモックンが、かつて大好きだった自分ですが、その時からちやほやされても、華やかな世界にいても面白くなさそうにしていた記憶があります。この役は、自分の素のままのところがたくさんおありだったような気が見ていてしました。配役ばっちり。
髪の毛をやっと切りにいった、他の人に委ねたところで、どこかで髪を切ることは妻にしか許していなかったとこに”情”があったこと、やっと心から素直に泣けた主人公が妻目線でいとおしい気持ちが生まれた。それ以外は最悪の夫ですが。
映画、いろんな映画があっていいが、CGとか大金かけて外国のすごいとこで、過酷な環境でロケ、殺人事件、犯人捜しと葛藤とかそんな自分にわからない世界の中で生まれる人間の感情を描いた映画より、自分がリンクできる誰にでもある闇と光とこれからを教えてくれた作品でした。もう一回みたい。
妻が死んだ・・そこから愛しはじめた
この映画を普段ほとんど映画を観ない家族と一緒に観ました。
観終わってから、「よくわからなかった」と質問責めにあってしまいました。
一番わからなかったのは、「主人公が亡くなった奥さんの事を好きだったかどうか」とのこと。
最初は「解釈はそれぞれの仕方でいいのでは?」「説明したら、陳腐になる」と言っていたのですが、しつこく聞いてきたので言いました。
「チラシに書いてあるでしょう。”妻が死んだ。これっぽちも泣けなかった。そこから愛しはじめた。”と。」
でも、私は妻への愛は全く無くなっていた訳ではなく、気がつかなくなっていたのだと思っています。そして、悲しいかな、妻の死によってまた再生されていったのだと。
また観てみたいです。
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