永い言い訳のレビュー・感想・評価
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不器用で繊細でエゴが強い、でも、みんな持っている要素
邦画だからこそできる、繊細な心の描写とストーリーで、「泣く」といった単純な感情表現よりも、もっと複雑で苦しい幸雄の描写が生きた作品。
妻が事故で死んだ時、彼は部屋で不倫の真っ最中だった。愛も冷めていて、ただ、突然20年連れ添った妻が居なくなり、戸惑う自分がいる。
全く泣かず、それほど凹まず。作家のスキルを活かして葬式のスピーチはもっともらしく振る舞い、その後はネットでエゴサーチ。
人間の汚いところ、弱いところを巧みに演出している。
傲慢で偉そうに編集者に当たったり、モノを投げつけたり。
いるよなあ、こういう人。
でも、そんな一見最低の男である幸雄が、本当に根っからの悪いやつじゃなくて、彼なりの繊細さや優しさも持っている。
人一倍繊細で、傷つきやすくて、自尊心も強い、感情表現が苦手な不器用な人間なだけなのだ。
妻とともに亡くなった友人の一家で主夫として家事を手伝い、子供達とも仲良くなる。彼らの生活の中で支えになりながら、「人と交わること」で得られる温もりのようなものを思い出す。
そんな行為を、マネジャーからは「子供達の面倒をみるのは最高の免罪符だ」とズバリ指摘を受ける。
幸雄なりに妻の死は辛かったが、不倫もしていて最低な自分であるのもわかっていて、そんな状態を受け入れる、昇華するための罪滅ぼしなのだ。
とはいえそんな自分が、実は妻に愛されていなかったことが分かるメールが見つかり、さらに家族にとっても「要らなくなるかもしれない」というシチュエーションが出てきた。急に不安になり、不器用になり、本音だが言ってはいけないことをぶつけてしまう幸雄。
これまで素晴らしい関係を作ってきたのに、最後までどれだけ不器用なんだ…。
自暴自棄に再びなった幸雄だが、家族の危機に再度呼び出され、そこで素直な本音を。
「自分を大事にしてくれる人を大切にしないとダメだ。そうしないと、僕みたいに誰も愛せなくなってしまうんだ。」
なんという、脆く、そして確信的な一言。彼の不器用さは、やはり、そういった免罪符の中で生まれてきていたのだ。
最後は妻とのストーリーを本に書き、みんなと幸せになり、エンディング。本の中では「人生は他者」という一言。これも深い。
不器用な幸雄が、人と関わり始めるような一歩目なのだろうか。でも、結局ヒトは人と関わり合わないと生きていけないのだ。どんなに不器用で繊細でも…。
憂だ感じや、感情表現がとつとつとしているところ、妙に男前なところ含めて、モッくんが最高にハマリ役だった。
竹原ピストルさんや子役の2人も上手い。
すごく、よい映画。
よかった。
救いようのない話かと思ったけど、ほっこりしたり、救われたり。子供たちがかわいい。たしかに免罪符だわ。
しかしながら、浮気って、ということを悶々と考えてしまう帰り道。ひとかけらも。て重たい。でもそれで吹っ切れたんじゃないかと思う。キツい言葉が逆に優しさだわ。
オンブラマイフ、手嶌葵ちゃんだったか。
永い言い訳、短い本心
西川美和が自身の小説を映画化。
バス事故で妻を亡くしたのに悲しめない男を描く。
孤独、空虚、苦悩…心情に深く迫るさすがの演出、語り口。
今回も一つのテーマから人間を掘り下げ、見応えのある人間ドラマに仕上げている。
著名な作家としてTVにも出ている幸夫。
彼がかなりの最低人間。
性格は卑屈。上から目線で相手を見下す時あり。
妻が事故に遭った時、愛人を抱いていた。
心有らずの葬式の弔辞。TVを意識してか泣いたフリ。
喪中に豪遊したり、また愛人を抱く。
花見の席で大荒れ。
…などなどだが、何より涙を流せなかった。
でも何か画に書いたような最低の人間って感じじゃなく、悲しみや喪失といったものを何をどう表していいのか分からないという感じがした。
そんなある時出会ったのが、妻の親友の遺族。
トラック運転手の陽一と、幼い兄妹の真平と灯。
陽一は幸夫とは逆で、妻を失った悲しみを隠さない。遺族への説明会では怒りをぶちまけ、幸夫の前で何度も何度も涙する。
ひょんな事から幸夫は、トラック運転手として家を空ける事の多い陽一に変わって、幼い兄妹の面倒を見る事になるのだが…、
何故かここがちょっと面白い。
慣れない“主夫”に悪戦苦闘。
家事、送り迎え、子守り、頭のいい真平の勉強を見てあげたり…。
不思議なもんで、序盤で心空っぽに見えた幸夫が優しいおじちゃんに見える。
この時どんな意図でやってたのかそれは分からないが(次作の執筆の為、何らかの罪滅ぼし、本当に手助け)、でも子供たちと接してた時の顔はまんざら嘘でもないだろう。
(何だか素のもっくんを見てるようだったけど)
妻を失った悲しみの温度差に違いはあれど、同じ境遇の残された者同士が、また穏やかな日常と心の拠り所を見つける。
…それも束の間、
ある日幸夫は、妻の遺品のスマホに残されてたある文を見て衝撃を受ける。
陽一にはちょっとした出会いが。
幸夫が陽一たちと親交を深めたのは、彼らを通して悲しむという事を知る為もあったかもしれない。
が、陽一はドン引くくらいのイジイジ、イジイジ。
長男の真平は幸夫と同じく葬式で泣けず、複雑な内面の持ち主。
そこに、突然の疎外感。
皆と囲んだ夕食の席で酔っ払った勢いで本心とも言える事をぶちまけ、幸夫の孤独や苦悩はさらに深まっていく…。
突破口となったのは、真平。
真平が父親に抵抗を感じていたのはすぐ分かったが、ある時父にキツい本心をぶちまける。
その直後、陽一は事故に遭う。
幸夫と真平は陽一を迎えに行く中で…
真平は、自分なのだ。自分と同じなのだ。
母親を失って、悲しいのは悲しい。しかし、その悲しいという感情をどう表していいか思い悩んでいる。
かと言って、父みたいになりたくない。それを恥じている。
毅然としているが、実は今にも壊れそうで、脆く、弱く、繊細。
つい周囲にぶちまけてしまう…。
真平と対した時、幸夫は最もらしい事を言う。
それは自分にも通じる事、自分に言っていたのではないか。
この幼い自分が、自分のようにならないように…。
本木雅弘がさすがの名演技!
嫌悪感、滑稽さ、憐れみ、それでいての人間味…それらを的確に体現。
やっぱり巧いね~。
本作を見るまで、竹原ピストルをほとんど知らなかったが、パワフルな存在感。
時々危なっかしさを醸し出しつつ、愛嬌もたっぷり。
本業はミュージシャンらしく、どうでもいい事だけどTVドラマ「バイプレイヤーズ」のエンディングソングが絶品!
何つっても、二人の子役が巧い!
本木雅弘も竹原ピストルも巧いが、真平役の藤田健心くんの巧さは随一!
灯役の白鳥玉季ちゃんは素というか、ドキュメンタリーを見てるようなナチュラルさ。
短い出演ながら妻の存在をずっと感じさせる深津絵里、池松壮亮のいつもながらの好助演。ところで…、黒木華ってああいうラブシーンNGとか言ってなかったっけ…??
人の悲しみはそれぞれ。
幸夫の苦悩。
陽一の素直さ。
真平の葛藤。
それぞれがそれぞれの悲しみの中で、喪失からの再生を見出だす。
西川作品の中でも、ポジティブなメッセージを感じた。
泣いたから悲しんでいる、泣いてないから悲しんでないなんて、言いがかりだ。
自分は母が死んだ時、泣かなかった。
元々泣くような性格ではないのだけれども、ああいう時涙というものを見せたくないのだ。
勿論、微塵も悲しんでない訳なんかではない。
今もふとした時母の事を思い出すし、自分なりにずっと母の死を悼んでいる。
“永い言い訳”の後の“短い本心”こそ、グッと心に響いた。
一寸先は分からない
再生の話でも、懺悔の話でもなかった。
ましてや、愛の再確認とかの話でもない。
生きていくって話だった。
自分の時間は進むのだ、と。
後悔も幸福も、全てひっくるめて流れて、過ぎていくものだと。
奥さんの親友の遺族に触れ合うようになって、楽しい時間を満喫する主人公。
そこには妻への執着のカケラもない。
自分の母性とか性同一性障害でもあったのかと思う程活き活きしてた。
物語は、妻に対する何かではなくて、ほぼ、この家族との新しい時間が描かれていく。
その中で、時折差し込まれる台詞が刺さりはするが…主人公は楽しそうだ。
なぜ、監督はこういうテイストにしたのだろうかと考えてしまう。
永い言い訳とは、どういった意味なのだろうか?
永いって単語だけで、物理的な長さではなく時間的な長さを想像してしまう。
これから死んでいった妻に言い訳をするのだろうか?人生を通して。
誰に対してのものなのだろう?
ラストは妻の遺品を片付けるカットで終わる。
携帯の衝撃的な一文が真実かどうかの答えもなく、彼が何に寄り添うのかの兆しもない。
このラストから思うのは、やはり愛などという感情は妻に対しては芽生えておらず、親友家族への未練を感じてしまう。
なんていうか、それだって日常なのだ。
人の死なんてイベントは珍しい事ではない。
必ず訪れる。
最後、妻が愛用していたハサミを手に取る。
ようやく、ここにきて、亡くなった奥さんへの興味が沸いたようにも見れる。
今、この時から、彼はナレーションと時に語った「妻の死と共に生きていく」って調べだけだった言葉を実践していくのかもしれない。
というか…きっとここからが永い言い訳の本編なんだろう。
彼が、これから他者と関わる人生を選んでいき、その都度、妻の面影を感じる「ほら、だから言ったじゃない」そんな事への言い訳をずっとしながら今は亡き妻とともに歩んでいくのであろう。もしくはもっと重たい十字架なのか。
だから、「永い」って言葉であったり「言い訳」っていう他者を必要とする言葉だったりするんだな。
うん、勝手に納得。
物語には長い時間が設けてあり、親友家族と過ごしていた時、主人公はふくよかで、母親と見紛うばかりであった。
小説を出版する頃には痩せていて、浮足立つ事もなくなったようにもみえた。
本木さんの演技は、やっぱ好きだなあ。
黒木華や池松壮介も出てたけど、なんつうかステージが違うというか…同じ次元ではなかったようにさえ思う。
どんどん味が出る映画
主人公の幸夫の感情、最初よくわからなかった。
が、物語の進行につれてどんどんはっきりしてゆくっていう感じはすごかったー
初めて身近の人を失い、初めて自分はダメ人間fsと自覚するとき、死んだ人はずるい、残された人だけ苦しいと知ってるはず。
初めから感情のない妻が、一番最悪な時期で「私」を離れて死んでいった。
それで、妻へ感情を持たない幸夫は、逃避を選ぶことで自分の無用さからも逃げようとしている。
同じく逃避を選んだのは大宮真平もそうだ。母の死を意識しながら、それに立ち向かうより、前に向かって進もうとしている彼。
その対照になるのは、真平のお父さん。彼は妻の死の悲しみから抜けられない。
小さな娘のあかりも含め、四人は家族の離れに全く違う姿勢を取っている。
一体どっちの方が強いのだろう。答えるのは難しいかもしれない。
ただ一つは、自分を受け入れて前に進むこと。
映画の最後にはそういうことを伝えたいのだろう。
人はみんな他者だー。
だからこそ自分のそばにいてくれる人には、感謝しかない。
この点がわかった幸夫は、改めて妻を愛するようになる。
「人はみんな色々考えている」というようなセリフがあった。幸夫の心境の変化もそうだった。
だから観客もこの映画を見て色々感じることができるんじゃないかなーと。
死ぬことだけではなく、ものを失くすことも、この世にたくさん。
ただそんなこんなことにどう向き合うのは自分次第。
かなー
あと個人的な意見なんだが、唯一残念に思うのは、本木雅弘の演技、全体的にはいいが、若干硬く感じる。たまには訳わかんない表情もあったりしてーあるいは自分の読み取り方が違うかも!
そして大好きなのは、海辺のシーンの色彩が好き。目に焼き付けるような雰囲気になった。
また大宮家にいるとき、幸夫はあかりちゃんといるシーンが、カメラの揺れで生み出したリアルな感じが良くて感動的だった。
長い文、ゆっくりと考えさせられた。
家族と在った日々
複雑な味わいのある作品で、主人公のダメ男・幸夫がダメなりに人生を掴んで行くプロセスや、陽一一家の好演など見所の多い映画だなぁという印象です。
家族について思いを馳せました。作品のテーマとまでは言えないところですが、家族と在った日々のことを考えさせられましたね。
現在はすぐに過去に飛び去ってしまう。家族とのぬくもりある日々もすぐに昔のこととなる。
でもそれは虚しいものではない。ぬくもりの瞬間は紛れもなく幸福であり、それは宝物として心の中に蓄積されていく。
幸夫は自分しか愛していなかった。妻を失った時、宝物は残っていなかった。不倫相手との甘い時間はただ過ぎ去るだけのものだった。
逃避かもしれないし、本物の家族ではなかったけれど、陽一一家との日々は彼にとって宝物になったのだろう。それは幸夫だけではなく、慎平や灯にとっても同じ。塾帰りの真平を待つ日々は、3人にとってかけがえのない大切なものになって残っていると思う。
そんな宝物を得た結果、幸夫は愛が壊れていた妻との間にも、実は宝物があったことに気づく。そして、最後は静かに向かい合おうとしていたように思う。
永い言い訳というタイトル通り、幸夫は本当に言い訳がましい。
だが、妻が経営していたヘアサロンに向かった時から、幸夫は言い訳をしなくなったように感じた。
素敵な映画でした。
愛について考える映画
濡れ場のシーンがあり、母親と観に行ったので、やるせなかったです!全体的には、『愛のある映画』だったと思います。最後まで観ないと、この映画の良さには気付けません!恋愛のような、小さな?愛よりも、もっと大きい愛、人間愛、家族の愛を大切にして生きていこうと思いました!
予期せぬ別れってある。
@シネマロサ、オダギリジョーさん、西川美和監督のトークイベント込の鑑賞。
+パンフレットの監督のコメント読了。
とてもよかった〜
とても大人向け。
大事な人(って後から気付くこともある)との別れって、予期せぬタイミングでも突然起こりうる。
病気の人が亡くなる、とかそういうことではなくて突然。
例えば、監督のコメントにもあったように、朝些細なケンカをしてしまった夫婦が、3.11の震災で生き別れてしまったり。
この映画のように、冷め切った関係の夫婦の妻が、不慮の事故で突然死んでしまったり。
いつでも関係性を修復できると思っていても、もし、突然の別れが来てしまったら
二度と修復出来ない。
誰が悪いでもない、このモヤモヤを一体どうしたらいいのか…
主人公の面倒くさい性格や、
同じタイミングの事故によって妻を亡くした夫の、妻を忘れられないまっすぐな態度や、
突然お母さんがいなくなって、でも懸命に生きようとする子供たちの
それぞれの視点が、お互いの関わりによって徐々にスタンスが変わってきて
人間の成長や、家族ってどういうもの?っていう問いなど
頭を悩ます題材のとてもとても多い作品でした。
今年豊作と言われてる邦画だけど、年内に見れてよかったなぁ。
西川監督は、変わらず追いかけようと思う。
オダギリジョーさん、西川監督、とても素敵な方々でした。
素晴らしい‼︎
冒頭からたわいも無い口喧嘩をしながら夫の髪を切る妻。
亭主関白なのか?
妻、夏子が友人と旅先でバス事故に遭い死んだ。
悲しみより合理的にその場で火葬した夫。
葬式で妻の美容師仲間に罵倒される作家の幸夫。
なぜ?嫌われてるの?
警察の事情聴取にしても妻の事を全く知らない幸夫。
20年と言う時を幸夫は自分の為だけに生きてきたからなのか?
妻の留守に女と不倫。
罪悪感は流石にあるらしいが妻の死に対する悲しみが見えない幸夫。
幸夫自ら大宮家の子供達の世話をかって出る。
どうした?子供に興味を持ったか?
それとも中学受験を諦めかけてるお兄ちゃんへの同情?
子供達と過ごす事で幸夫の他者を思いやる気持ちが知らず知らず芽生え始めた。
地震のシーンは実に良かった。
そんな日々の中にある変化が。
科学館の女の先生が大宮と親しくなり、両親が子供の一時保育預かりを自宅でしているのでどうかと話す。
幸夫は生きがいに成りつつあった子供達との時間を取られてしまうと嫉妬し皆んなの前で醜態を晒す。
亡き妻の壊れたスマホが一瞬起動し幸夫へのメールを見た…ショックだった…
作家先生としてチヤホヤされてきた人生。
亡き妻の他者への関わりに触れた幸夫ははじめて妻という大切な存在を失った事に気づく。
無理に忘れる事はない。
想い出と一緒に生きて行けばよい。
大宮と衣笠、同じ遺族でありながら故人に対する悲しみの度合いの違いや、家族の形など対象的でありながらも最後は一つにまとまるところがすごいなぁと思った。
人生は他者…深いです。
すごくよかった
おじさんが育児で癒されるという、普段オレがやっていることそのものが描かれており共感したり感涙したりであった。
小6の男の子はすごくいい子なんだけど、もうちょっと子供らしさがあってもよかったのではないだろうか。お父さんが子供っぽいからそのコントラストで大人っぽい子供に描いていたのかもしれないのだが、子供らしくお父さんに反発するのだが、内容が立派すぎてあんまり子供らしくなかった。高校生でもそんな感じではないだろうか。
5歳くらいの女の子がめちゃくちゃかわいくて、あんな子に懐かれたら溶けてなくなってしまいそう。
もっくんは選択して子供を作らなかったようなのだが、年頃の女性と交際して結局子供を作らず、作る機会を奪ってしまう行為の罪深さはもっと広く言われてもいいと思う。吸血鬼のような行為だ。極論だけど、浮気で愛人であったとしても子供は作ったほうがいいと思う。時期を逃すと取り返しがつかない。
木村多江の使い方
モックンは普段もああいう感じだと思えるほど適役だった。自意識過剰で自己顕示欲が強くて他人より自分を愛してるっていう雰囲気。でも妻の友人の子たちと接するシーンは、実際に3人の子がいるからなのかとても自然で微笑ましかったな。竹原ピストルの演技は決して上手くはないけどまあまあ存在感あった。
最後のテロップで木村多江って出てたのだけど姿を見た記憶がなく、気になったのでネットで調べたら電話の声だけの出演だった。奥さんを事故で亡くした直後にあった電話。留守番電話の長いメッセージには、すごく心配している様子からだんだん怪しい宗教に誘い込むような感じになって行く様が何ともおかしかったのを思い出した。確かにあの声は木村多江だった。でももったいない使い方するなぁー。
全体的にはやっぱり原作本の方がよかったという気持ちが強い。また読み直してみたくなった。
パンフレットをじっくり読みたかったのに完売で入手できず残念。行けそうな他の映画館に問い合せても完売との事だった。せめて公開期間中は在庫確保して欲しい。
胸に突き刺さった
小6で母親を亡くした経験があるので、主人公に感情移入する気満々で鑑賞しに行ったものの主人公と長男に特に強い共感を覚えました。
別の日に今作を観た知人は「母親が死んだのに子供がドライすぎてリアリティが無かった。」と言っていましたが
自分も葬式で泣けなかったし、そんな自分が不思議で嫌だった頃の記憶が鮮明に蘇りました。
どんなに聡明な子供でも簡単に家族の死は受け入れられるものではないことをきちんと知っている作品で好感。
そして現在の自分に痛いほど突き刺さるのは主人公の思想や振る舞い。
純粋な人間であれとは思わないけど愛情は大切にしなければと思いました。
よかったかと。
主人公の理屈っぽいとこ、だーいすき。
いるよねーこーいうやつ。自分にもある。そんなとこ。
担当の編集者が、カフェ?で諭すシーンが印象的。
嫁の友達の子供の面倒見るのって逃げなんだね。
確かにそー。気付かなかった。
なんか自分が反省。。。
あと作家にそこまで言える編集者って凄い。
仕事の信念、凄いね。間違ってない。
常にそうありたい。
妻の気分で。
さすが西川監督、今回もかなり鋭い人間描写。宣伝では
ダメ男代表が幸夫となっているけど、もう一人の陽一も
ダメ父に変わりない。この竹原ピストルって誰だ~?と
思ったら、あのCMの「よー、そこのわけーの!」の人か。
顔だけでも怖い。かなりの風情を醸している。突然妻を
失った同じ立場の二人ではあるが、片や妻の不在に愛人
呼んで不倫中、片や妻任せで家事育児がろくにできない
トラック運転手、失ったものの大きさを感じさせるのは
まだ幼子を二人抱えた陽一の方だ。幸夫はこの強引な友
に対して償いの様な優しさを持ちかけ、子供達の面倒を
かって出る。家族を愛せない男が子供を愛せるのか?と
不安に感じるも、そこは子持ちのモックン、子供の扱い
がどう見たって巧いのだ。幸夫というろくでなしを演じ
ていてもパパぶりがつい出てしまっている、この面白さ。
言い訳がましい手助けが板についてきて、幸夫もこれで
救われるのか…と見せて今度は亡き妻からの辛辣な伝言。
あーやっぱりね、冒頭で出掛けに戻った妻の視線が夫の
浮気を見抜いていたことを証明している。妻はバス事故
に遭うまでずーっと外の景色を見ているのだが、あの時
どんな気持ちだったんだろう…と考えると切なくなった。
長年連れ添えば色々あるだろう。子供がいれば子育ても
大変だったろう。妻の死をいつまでも嘆き悲しむ陽一を
諭しながら泣けない自分を恥じる幸夫。私にはどちらも
同じように見えた。完璧な人間なんている筈がないのだ。
相手に酷いことをしてそれが取り返しのつかない段階に
なって、初めて自分の愚かさに気付くのが人間。バカで
どうしようもない自分を受け入れ自省し、いつか歩ける
勇気を見い出すのが人間。二人の奮闘ぶりを見ていると
亡き妻たちが笑ってるんじゃないかと思えた。あんなに
バカでドジな亭主たちが懸命にその後を生きて子供達を
見守っている姿に、天国の妻気分で泣けて仕方なかった。
(全てのシーンが辛辣で毒気満載で愛に満ち溢れている)
ゲスを愛でる。
幸夫くんは、見事なゲスであった。
大事なのは自分の面子。妻の気持ちなんざ、お構いなし。自分の言いたい事だけ言って、聴きたくない事は言葉を遮る。
そうして、妻を傷つけておきながら、僕の気持ちは君なんかには分からないだろうとのたまう。
妻によるヘアカットシーンで、もう幸夫くんを嫌いになった。こんな男、いや。
しかしその歪んだ自意識に少しの同族嫌悪も感じ、なんとも居心地が悪く思った。
妻の外出後すぐに、愛人を自宅に迎え入れ、情事にいそしんていたら、妻が死んだ。
後味の悪い突然の別れを、幸夫くんがどう消化するか、という物語である。
西川美和は、「ゆれる」以降ずっと追ってきた監督で、
つまらないことはないはず、と分かってはいた。
が、予想以上に「永い言い訳」はすごかった。
「永い言い訳」は今まで描いてきた、
隠しておきたい本音・事実の暴露によるうわべの崩壊から、
その後の再生へと踏み込んでおり、
化けの皮が剥がされたあとの、みっともない人間を癒し、
先に進むまでをやさしく寄り添ってくれた。
あんなにいやだと思っていた幸夫を、しまいにはいとおしく思うようになった。
しんちゃんとの電車旅でなぜだか涙がこぼれた。
竹原ピストルが、もうそのまんまピストルで、すごい存在感と説得力があった。すごかった。
私は、お母さんを失って泣けなかったお兄ちゃんの気持ちが分かる。
明日からのご飯の支度、妹のお迎え、自分の生活がどれだけ変わるかの不安。
頭のいい子だから、そういう具体的な心配が、いくつも浮かんで、
「お母さんにもう会えなくて寂しい」まで辿り着かなかったのだろう。
泣いているだけのお父さんを情けなく思い、そのくせ、お父さんに情が薄いような
言い方をされ、すごく傷ついたよね。わかる。わかるよ。
死んだのがどうしてお母さんなんだろう、お父さんのほうがよかったのに。
君の立場にいて、そう思うことを誰が責められようか。
陽一くんには悪いけど、しんちゃんがかわいそうよ。あなたが悲しみにくれている間、しんちゃんは子供らしさを奪われたまま。
池松壮亮、黒木華、山田真歩もよかった。
子供達可愛かった。
そして夏子の存在感ですよ。なんて澄んだ目力の亡霊でしょうか。
深津絵里が凄いです。
もちろんもっくんも。
私としては2016年の邦画の一番です。ダントツです。
アカデミー賞取ってほしいなー。
でも多分ゴジラか君の名は。なんやろな。
妻が亡くならなければ、こんな気持ちにはならなかっただろう。
妻が亡くならなければと、いつまでも哀しみを引きずる夫と、妻が亡くなっても泣けない夫。
2人は対照的だけど、妻が亡くならなければ、関わりあうことはなかった。
辛い思いもたくさんあったけど、新たな出会いや、幸せも、妻が亡くならなければ、なかった。
目を背けたくなるほどのリアルな人間像。でもだからこそ心に響く。子供達の演技も素晴らしい。
幸夫くんが真平くんに、好きだったお母さんの料理を聞いてる辺りからほぼ泣きっぱなしだった。
人間はそんなに真面目じゃない。だから泣けないこともおかしくない。
ドキュメンタリーで語っていたことと、陽一に忘れろと言ったこと、それが矛盾しているのも、人間だから。
真っ当に自分の生き方、考えを貫ける人はそんなにいない。幸夫はとにかく人間らしい人間だ。
ザラッとした画のトップカットから始まり、ラストはたっぷりと時間をかけて作り上げたこの映画の贅沢さを堪能した。本当に素晴らしい映画。もっとたくさんの人に観てほしい。
華ちゃんの 冷めた一言ワロタ‼︎ 深津絵里の メール(笑) いいね...
華ちゃんの
冷めた一言ワロタ‼︎
深津絵里の
メール(笑)
いいねっ‼︎
竹原ピストルの
息子役良かったな
本木雅弘ハマリ役‼︎
入り込めない親子
吃音先生への嫉妬
他人感に耐えれず
愚痴っちゃうシーン
さちおの寂しさよく出ててたなぁ
あなたの死は暴力だ
冒頭の会話が、妙にリアル
伸びていく髪、汚れたままの部屋
自分本位な発言にも、嫌悪感だけで終わらない…それは、自分の中にも存在する考えだからか
子役も非常に自然体。
私にはタイムリーだったけど、倦怠期の夫婦にしかわからないような見る人限定の映画のような気がします。
人によって解釈はさまざま。
自分なりの解釈が正解かどうか、他のレビューをいくつか読んだが、結局はっきりしなかった。
ので、ありのままの感想を。
暗く、重く、哀しい話か、
と言われると、そうでもない。
でも、そうじゃないのかというと、そんな話。
永い言い訳。
主人公が、妻を素直に愛せなかった。
素直になれなかった。素直に泣けなかった。
本当は愛していたのに。
この話は、全てそのことへの、永い言い訳のように思えた。
妻が死んで、これっぽっちも泣けなかったのも、
妻の残したメールに怒りを覚えたのも、
全く関係のなかった家族と向き合ったのも、
子供を作ろうとしなかったのも、
髪を切りに行けなかったのも……
どうしようもない自分と分かってて、
そんな自分への、妻への、永い言い訳。
髪をさっぱり切り、
その永い言い訳で生み出した作品を世に送り出し、
自分の知らない妻の顔の写真を飾って、
妻の遺品をまとめた主人公は、
何を思い、次に進もうとしたのか。
優しくも暗い映像がまた雰囲気を出していた。
全50件中、21~40件目を表示