永い言い訳のレビュー・感想・評価
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勿体ない映画。
前半までは期待を持たせる出来でしたが、竹原ピストルの家で鍋をつつきながら、本木雅弘が一人芝居をするあたりから、おかしくなっていきます。原作者である西川美和が伏線の回収に必死になるあまり、細部にまで気が回らなかったようです。役者にセリフで心理状況をいちいち説明させていては映画の質が下がろうというものです。映画なのだから、是非とも映像で語って欲しかったのですが・・・。愛人役の黒木華、途中で消えてしまいましたが、なんとも、中途半端な印象を持ちました。せっかく、登場させた人物には最後まで責任をもって扱って欲しいものです。
力量のある監督なので、今回の中途半端な出来上がりには、個人的には大いなる不満があります。見切り発車はよくありません。徹底的に考え抜いて欲しかったですね。今回の作品ではこの監督の持てる力の半分も出していない。私にはそう思えます。なかなか充実した俳優陣を揃えていただけに残念な思いは更に強まります。監督本人も今回の作品の出来栄えには決して満足していないと思うのですが・・・。
私小説のような作品
クミコというシャンソン歌手が歌う「わが麗しき恋物語」という、覚和歌子さん作詞のシャンソンがある。恋をして、結婚して、数年たったら互いに浮気をして、相手に興味がなくなってしまった。しかしその後、夫が病気で亡くなり、葬式の時に、自分でも驚くくらい大声で泣きじゃくったという歌だ。
竹内まりやの「天使のため息」という歌がある。映画やドラマになった「秘密」という物語の主題歌でもある。この歌に次の一節がある。「人はなぜ皆 失って初めて気づくの 見えない糸で結ばれた愛の重さに」
どちらも女性の作詞の歌で、恋の行方についての歌詞だ。
この映画の監督も女性で、やはり愛のありようを手探りする物語だ。女性にとって「永遠の愛」は古来から変わることのないテーマのようである。
ふたつの歌が女性の観点から書かれた歌詞であるのに対して、この映画の主人公は男性だ。妻を亡くした夫。そこにこの映画の価値がある。
男性の場合は「永遠の愛」がテーマではない。熱が冷めないうちは失った女のことを嘆き悲しむが、熱が冷めてしまったら、女が死んでも何も感じない。妻を亡くしたふたりの夫の正反対の感情は、そのためだ。
本木雅弘の演技はさすがだ。夫の複雑な心理状態を複雑なまま表現している。小説家としてテレビに出たりしていて、有名人としての社会的な地位があり、虚栄心があり世間体がある。そういう心理を、妻への思いやりよりも優先した途端に、愛が終わる。あるいは愛が終わったから世間体や虚栄心を優先するようになったのかもしれない。
亡くなった妻のスマホに残された下書きメールの「もう愛していない」という言葉は、夫に対する自分の思いなのか、自分に対する夫の態度のことなのか、永遠に謎のままだ。しかし主人公は自分にあてた妻の言葉だと思い込んでいるようだ。男には身勝手なプライドがあり、自分は妻が死んでこれっぽっちも泣けなかったのに、妻からこれっぽっちも愛してないといわれると腹を立てるのだ。
物語としての起伏はほとんどない。事故で妻を亡くした夫が、一時的に生活が荒れてしまったがその後他人とのかかわりの中で生活を立て直していくだけで、ほぼ私小説みたいな内容だ。妻や愛人が魅力的に描かれていないのは、主人公にとって彼女たちが性欲の対象、或いは世間体のための舞台装置でしかなかったからだろうか。深津絵里や黒木華という演技派の女優にとって、気の毒な設定だ。
子役たちの芝居は見事だった。西川美和監督は子供を作ることも作らないことも否定していないが、子供とのかかわりが主人公の精神的な危機を救ったように描いている。その意味ではヒューマンな映画だと言えるだろう。
総じて音楽の使い方がとてもよく、特に手嶌葵の挿入歌が抜群に優れていた。
言い訳なのか?
普通、言い訳って、できなかったことに対する正当性を主張するものだと思う。
どうして、死んだ妻のことを、もっと愛せなかったのか?という自戒はあるかも知れないけど、そこに言い訳があったように思えない。
あえていうなら、妻が死んだのに悲しめない自分を擁護する言い訳だろうか?
それであれば、誰に対して言い訳するのだろうか?
自分か?
それならば自己満足ではないだろうか?
そんなことを考えさせられた。
ましてや、妻の友人の子供の世話をするのは、贖罪の気持ちであり、言い訳ではないだろう?
そして、そこに「永い」という形容詞がつく。これは、言い訳の文脈が永いという意味ではないだろう。それであれば「長い」の方が妥当だろう。
そう考えると、言い訳をするまでの時間のことか?
もしかしたら、主人公は一生、言い訳をしながら生きていかなければならないという、ある種の呪縛を描きたかったのだろうか?
最後に、主人公と妻の友人の旦那の容貌が逆転していれば、絵になっただろうか?と考えた。残念ながらならない…。
そうすると、やはり、この話は誰にでもある普遍的な話ではないということもわかる。
全面的に賛成できる内容ではなかったかな…。
原作読んでから
個人的に、原作を読んだから、ちゃんと理解出来たのかなぁって。
”自分のことを大切に思ってくれる人を裏切ってはいけない”ってセリフ(そんなニュアンスだったかな)に心を打たれました。
親にも友達、彼にも甘え過ぎてるなと反省。
もっくんは、もちろんだけど、子役の子の演技力、素晴らしい。
子供たちの成長が劇場の中でも感じられて、余計に感情移入した気がする。
逃避と反省と帰還
妻が死んだ時にしていたことに対する後ろめたさから、現実逃避し他の家族とふれあい反省し立ち直る主人公の話。
冒頭こそクソ野郎だけど、言っていることは終始まともで、ほんの少しの弱さに惑わされたけれど、元々は頭が切れて人に好かれる良い人というのがみてとれる。
面白い作品ではあったし、もちろん成長もあったのだろうけれど、妻に愛され、周囲に好かれていた頃の元の自分に還っただけなのかなという印象。
人間て単純じゃない。ふとした言葉がエンドロールでじわじわ思い返され...
人間て単純じゃない。ふとした言葉がエンドロールでじわじわ思い返され、ずしりとくる。電車の中で大切な人の話をスるシーンが、印象的でした。
共感
幸せの尺度を押し付けないで!という感覚すごくわかる。その苦しみ痛みは本人にしかわからない。
モッくん老けたな、だけどすごーーーく美しいな、この間みたscoopの福山雅治はやっぱり薄っぺらかったな、さすがモッくん、格が違うな、説得力あるなと思った。子役も素晴らしかった。竹原ピストルも。
永い言い訳とはいいえて妙
本木雅弘も竹原ピストルも他の演者も軒並み素晴らしい。
とくに何を言い出すか、何をするかわからない威圧感を醸し出す竹原ピストルは素晴らしいと思う。
本木も子供の扱いがおっかなびっくりの感じ(自分は正しくあれ)が笑っちゃうくらいリアルだった。
明るすぎず暗すぎず、何を感じるかを観ている側に委ねるのは西川美和らしくて非常に余韻に浸れます。
本木雅弘は演技が上手い 泣かされました 子役の二人も、下手な役者よ...
本木雅弘は演技が上手い
泣かされました
子役の二人も、下手な役者よりも上手い
家族の在り方を考えさせられました
久々に、良い映画に出会いました
映像が、ドキメンタリー風なところと、違うところがあって良かった
苦しかった
この映画を観て笑えたり、良い映画だったと言える人は、恐らく 孤独ではないのだろうなぁ。愛し愛され、そういう事にきちんと向き合って生きて行ける事は幸せ。簡単に手放したりしてはいけない。
そこに居る時は気づけなかった、沢山の人への思い。
私は、幸夫だ…。ラスト近く気づいた。本木さん出演の映画が好きで、毎回観てるのだけど、今回は最後まで私には苦し過ぎた。まだ遅くはないかしら?開き直らず…心を寄せて生きてみようか。
もう愛していない。ひとかけらも
この言葉をどう受け止めるか。
自己は他者があるから知ることができる。
私は、私も、私か、私に、私を、私と。
愛していないのは、誰か。
幸夫は、あかりちゃんやしんちゃみたいに
ただ、愛されたかったんだよね。
愛して、愛されて、愛して、愛されて。
愛を渡して、愛を受け取って、また、愛を渡して。
そうゆう
当たり前を、
丁寧に見直したくなる映画でした。
簡単じゃない。
片想いみたいな哀しさと寂しさに
投げ出したくなる日もあるけれど。
生きることって
愛を渡して、受け取っての
繰り返しだと思うから。
竹原ピストル
竹原ピストルさんの演技が怖かった。台詞回しは棒読みだけどいきなり何するか分からないような独特の緊張感。
本木さんはさすが上手い。上手すぎて竹原ピストルさんとの会話に少し違和感。
子役の二人は素晴らしいの一言。総じてとても良い作品でした。大満足です。
よくわかりません
結構期待して行きましたが、
とても残念でした。
試写会でしたから無料だったんですが、
それを差し引いても…。
一緒に行った同行者も、
結局何だったのかと、理解に苦しみました。
映画に詳しかったり、作者、監督に
思い入れがある方々の感想は、
軒並み良いようですが、私のような
一般人には、ちょっと難しかったです。
愛は星の数ほどない…。
死んで初めて実感することってあるのだと、この映画を通じて感じました。
愛していたはずの妻を事故で失った作家。
妻が死んだ時、不倫相手と密会していた事に罪悪感を感じつつも、涙は一滴も流れない…。
ただ、いたずらに時が流れようとしていました。
そんなある時、妻の親友の遺族と出会った作家。
様々な事情から、子供たちの世話する事になった作家は、まるでこれが「罪滅ぼし」とでも言うように、必死に子供たちと過ごします。
徐々にうまく動き始めた生活に、幸福感を見つけ始めた主人公…。
しかし、ある日とうとう見つけてしまうのです。
妻が残した「もう愛してない。ひとかけらも」というメッセージが、密かに妻の携帯に残されていた言葉。
愛するべき時に愛することを怠った代償は、残されたものの心に思っていた以上に深く突き刺さります。
これまで幸せと感じていたものが偽りだとわかった瞬間、彼の心は崩壊してしまうのでした…。
心の崩壊した主人公の役を本木さんが体当たりで演じています。
子供と戯れ、新しい愛の形を見つけたのかと思いきや、予想のつかないラストに心が鷲掴みにされました。
愛する事は、思っている以上に複雑でデリケートなのだということ、そして、失って初めて気付かされるものだという事を感じました。
最後まで心が揺さぶられる映画です…。
相変わらず巧いな
ケチのつけようがない映画のレビューほど書きにくいものはない。切り口が見つからず何日も苦悶する。原作・脚本・監督をこなす西原美和さんはオリジナルの持つ不動の強さを武器に、誰にも遠慮せず口出しさせない聖域を設け、自由に映画作りに没頭する職人に思える。音楽であれば才能一本で勝負するシンガー・ソング・ライターです。本作にはスマフォを頻繁に使用するシーンが出てくる。時代設定は平成25~26年で間違いない。しかし私には昭和の原風景がスクリーン狭しと暴れているように見えた。役者も昭和顔ばかりで懐かしい気持ちでいっぱいになった。映画の内容とは関係ない事ですが不思議な感じを覚えました。結論、見て損なし!
“愛していい人”が居る幸せ
原作を読んでいないので、まさかこんなに笑える映画だとは思いませんでした。(^∇^)
とくに妹のあかりちゃんとの自然な掛け合いが面白かった。
あかりちゃんと過ごす室内のシーンは本当にリアルで、とくに料理を作るシーンはアドリブではないかと思う程でした。
ふと『誰もしらない』の親子のやりとりを思い出して…まさかと思って慌てて調べたら、なんと山崎裕さんの撮影でした!(≧▽≦)!
(もちろん検索は映画.comで^_^ スタッフの関連作品までチェック出来るところが私的には神アプリ)
やっぱり私は山崎さんの撮影するシーンが大好きなんだな。
映画を観る前にはなるべく情報を入れないように心がけているとはいえ、西川監督は是枝ファミリーなのに全く油断していました。σ(^_^;)
お兄ちゃんのしんぺい君も素晴らしい。
主人公との最初の繊細な距離間が好きです。
お母さんにきちんと育てられた子なんだなぁ。と、わかります。
主人公もこの家族に関わる事で変わっていきますが、
しんぺい君も長男だから親には言えない正直な気持ちを吐露できる相手がいて、救われたのではないでしょうか?
主人公の自意識過剰な面倒くさい小者っぷりも、自分の事が嫌いで哀れな感じも見事でした。
対照的に描かれるガサツだけどド直球なお父さんも良かった。
立っているだけで恐ろしい威圧感があるのに、クシャッとした笑顔がたまらなくキュート。
きっと、しっかり者の奥さんはこの笑顔に惚れたんだなぁ。
なんて。
家族から故人が透けて見えたり、シーンに無いシーンを想像出来るのは、本当に良い映画の証拠だと思います。
“愛していい人達”が居る幸せに気づく映画でした。
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