永い言い訳のレビュー・感想・評価
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本木雅弘演じる性格悪い夫、幸夫。 20年連れ添った妻、夏子がバス事...
本木雅弘演じる性格悪い夫、幸夫。
20年連れ添った妻、夏子がバス事故で亡くなってしまう。親友、ゆきと一緒に。
妻が死んでこれっぽっちも泣けなかった幸夫と母親が死んで泣けなかった真平くん。同じ泣けなかったでも相手に対する思いが全く違うよね。でも、共通しているのは髪の毛が伸びていくこと。髪の毛で日常の変化や気持ちの変化が伝わるって見事だったわ。
良い「映画」でした。
小説は知らないし、何の前知識もなく監督が西川監督だということも知らずに鑑賞しました。
作り込んだ画ではなく、生々しい画作りや演技がとても良かったです。本木雅弘さんは特に印象に残ってる方では無かったのですが、役にハマっててとても素晴らしかったし、子役の子も自然でとても良かった!
西川監督の「ゆれる」も好きなのですが、心情を表現する時の表現方法がストレートにわかりやすくっていう感じではなく、ちょっと回りくどく表現されている感じが今回もあって個人的にはとても好きでした。
まさに「映画」って感じでした。
わかりやすいストレートな感動が好みな方はちょっとわからなかったり物足りなさを感じるのかな?とも思いました。
幸せの形はそれぞれだけど。
西川監督作品が好きです。
全体の雰囲気も好き。
愛すべき人がいること、守るべき人がいること。それは時に重く。しかしながら羨ましい。
他人の「当たり前」なことが羨ましい。きっとそれは、誰もが感じていることなのかも。
今ここにある幸せをきちんと大切にしたいと思い、じゃあ私の幸せって一体なんなんだろう?と考えてしまった作品。
モックンはモックン。
この監督に興味があって観に行きました。
主演のモックンって50歳なんですね。
歳を感じさせないし、生活感もない。
それがモックンのいいところ。
いつも男前。
だからもっとボロボロにやつれ果てた
モックンの姿を期待していたし観たかった。
カッコ悪いシーンも沢山あったのですが
熱演は感じられるのに、なぜか芝居くさい。
グシャグシャになるぐらい涙や鼻水垂らしながら
泣きじゃくる場面があっても良かったのかなと。
自分に対するやるせなさ、どん底感など
いまいち深い所まで心に伝わってこなかった…
やっぱりモックンの顔がカッコ良すぎるのが原因?
期待していたのは、これまでのモックンと違った
新しい側面をもっと観せて欲しかった。
もっと人間臭くて、心の奥深くをえぐるような暗い闇を
全身で表現して欲しかった。
子供達や竹原ピストルが素に近い演技だけに
モックンの本当の素の姿が見たかった。
そしたら何かしらの心に残るものがあったかもしれないなぁ。
泣けなかった
原作読んでから観にいったせいか、ただでさえ涙腺緩い私なのだが、何故か泣けなかった。確かにうるっとはきたけど、その程度。
幸夫くんのダメ男ぶりがあまりに強烈過ぎたためなんですかね。あるいは、真平くんと灯ちゃんがあまりに初々しく、眩しすぎたからなのか。ダメ男が亡くなった奥さんとどう向き合っていくのかというか物語の中核が、結果として、薄れてしまったようにも思いました。
小説とは違い、映画じゃ内心の描写どうするんだろうと思っていたが、結果として、幸夫くんが奥さんに感じた想いの変化はよく伝わらなかったのかもしれない。幸夫くんの内省を真平くんとの会話で語らせたり、奥さんの写真を持ってきて語らせたり、工夫はしているけれど、ダメ男ぶりとか子供たちの可愛さとかが勝ってしまい、そうした目論見は外れた感がある。ただ、妙に一人語りとか、想い出フラッシュバックとかの手法でお涙頂戴にしなかったのは、西川監督の潔さのようには思う。映像前提ではなく、先に原作書いていたわけで、監督本人も主人公の心の変化をどう演出するのか、その難しさは分かっていた筈だから。
泣けなかったからと言って、これがつまらない映画かというと、全然そうではありません。ヨーロッパ系映画の小作品を見ている感じ。自意識過剰の男がようやく他者に向き合うことになる物語。小説ほどのカタルシス感はないけれど、映像としては非常にこじんまりとした幸せ感を出していることにとても成功している。観客たちは映画見終わったら、なんとなく気持ちが暖かくなってることを発見するんじゃないかな。
とここまで書いて、ようやく気づいた。小説と映画は狙いは違ったのかも。映像化にあたり、主人公の愛情と悔恨の入り混じった涙は諦めたのかもしれない。それより、もっと生きるということへの前向き感、他者を初めて自分の中に見つけた幸福感を出すことに、敢えて変えたのかもしれない。
西川監督の映画は、揺れる、夢売るふたり、の3つ目だけれども、今回は小説と映画の絡め手にはまったのかもね。それぞれのメディアとしての特性を活かし、一緒のようで微妙に異なる作品に仕立て上げた、小説家兼映画監督にあっぱれでありました。
リアルな日常
前の方のレビューにもありましたが、非常にリアルな世界観。さもすればドキュメント映画を見ているようだった。本木のイケメンだがらこそのダメダメっぷり。アカリちゃん役の子の一言一言。まさに彼らの日常に感じられたからすごい演技だ。笑いあり、涙あり、非常に引き込まれ、気がついたら終わっていた感じ。私の本年一位に躍り出た。
泣き笑い
人生観とかたくさん脚本の中に盛り込まれていましたが、共感するところはそれほどなかったけれど、純粋に笑ってそして泣きました。
子役も含め、みんな演技していることは明白なんだけど、恐ろしく自然でリアルな世界観に不思議な魅力を感じました。
実力派俳優および経験浅い俳優含め、みなその実力と個性が十二分に引き出されていて、その辺は見事な演出による結果なのかなと思ったりもしました。
心を掴んで離さない!
最初の夫婦のやり取りから心を掴んではなさい!その中でも私的には少ししか出番がないのに深津絵里の演技が最後まで頭から離れない!何だろう……?たとえようのない感覚……UFO?いや、おふざけではない!今年見た映画の中では断トツに面白かった……気が付いたら泣いてた。更年期障害か?ホラー映画やアクション映画ではないが気が抜けない場面がたびたび巧妙に襲ってくる。そしてどんどん、画面上から胸の中を土足で暴れ回る!一つ残念なことがあるとすれば、これだけレビューもよくいい作品なのになぜランキングが低いのか!宣伝広告費などの関係か?業界人でない私には分りませんがいいことを思いついた!また見に行こう(笑)とても良い映画でした!
考えさせられる
あたりまえの事が幸せなのに、
人はそれ以上を求める。
その結果得るものは、、
日常に転がっている本音を
作品にしたような、、
心がえぐり出され、見終わって
どっと疲れる。
だが、最後につかんだ小さな
事が光に見える。
男心分かりすぎ(笑)
西川美和監督は人間観察に長けているのか、全てに説得力があり納得させられる作りで人間ドラマの最高峰を魅せてくれます。
主演の本木雅弘も脇を固める俳優陣も、ハマり過ぎなほどでした。(竹原ピストルに池松壮亮、子役の子達の演技等々)
意外にコミカルなシーン満載です(笑)
それでも所々で観ていてこちらの胃が胸が痛くなるほどのシーンと相まって丁度いいと見終わったあと思いました(^^)
観て絶対に損はない素晴らしい映画です。
複雑ビター
自分を愛することが出来ない、不器用な大人。それゆえに、愛すべき人を愛することも出来ない。愛せないまま、相手が消失してしまう。
それでも子供の邪気のなさに触れることで、守るべき存在とそのための役割が与えられることて、束の間の救済がされることもある。
人間の心の矛盾とか、不思議さとか、複雑さを表している。
「子育ては最高の免罪符。自分がバカで最低な人間だって忘れさせてくれる。」という台詞が心に残っている。
ほろ苦い、大人向けの映画。
※消化不良につき、後日加筆修正します。覚え書きメモにとどめて。
途中のストーリーがちょっと、ご都合主義な感じだ。現実はもっと主人公...
途中のストーリーがちょっと、ご都合主義な感じだ。現実はもっと主人公は孤独だろうと思ってしまう。
ただ、生々しくて、あと、ひきづるな
言い訳したって聞いてあげない
寡作だが大好きな監督さん、西川美和の最新作。
この方の作品ってフグ刺しみたいだと思う。
繊細で美味しいけど、油断してるといきなり
猛烈な毒に見舞われるような、そんな怖い美味しさ
(↑聞こえは悪いけど絶賛してます)。
とはいえ今回は過去作に比べると毒は控えめで、こう、
もやもやっとした感情はそんなに残らないので、
「そういう後味の映画ヤだー」という方もご安心を。
個人的には逆に少々物足りないとも感じたが、
それはフグ毒に慣れすぎてしまった証拠かしらん。
今回の穏やかな後味もまた慈味です。
* * *
15年来の妻を突然の事故で亡くした作家。だがその
実感も悲しみも湧かず、どこか他人事のような心持ち。
それどころか悲劇のヒロイン(男だけど)となった自分
に酔ってる節もあるし、自分の軽薄な本心が世間に
バレはしないかと内心ビクビクしてる。ダメねえ。
そんな彼が、同じ事故でやはり妻を亡くした男の
家族と接する内、今まで感じられなかった喪失感
を覚えていく過程が、丁寧に丁寧に描かれる。
愚直なまでに妻を愛した男と、その
子どもたちとの交流を通して見えてくる、
妻が自分にしてくれていたこと。
共に歩めたはずの別の人生。
言えたはずの言葉。
家族の記録フィルムのようにぼんやり白んだ、
海辺でのあの幻想的なシーンに涙が出た。
* * *
だが、主人公の成長(&見事な主夫っぷり)や
妻への想いを新たにする過程が微笑ましいだけに、
あの短いメッセージは短剣のように心臓をえぐる。
相手が消えてから「大切だ」と気付き、いくら
愛し直してみせたって、突き放して言えばそれは
てめえ勝手で都合の良すぎる想いに過ぎない訳で、
そもそも死んだ相手に想いを伝える方法など無い。
相手の最期の気持ちを変えるチャンスは、
自分自身がとっくに放棄してしまってる。
泥酔した主人公が言い放つ言葉にも凍り付いた。
家族は人生の意味だが、同時に人生最大の重荷だ。
薄々思うことはあれ、いざ言葉に出されると、
その後ろめたさに倒れ込みそうになってしまう。
* * *
主人公には「俺にあの人の死を悲しむ資格があるのか」
という気持ちが奥底にずうっとあったのかもしれない。
終盤、自分には人を大切にする資格はないと自身を断罪
した上で、主人公はある人に己の為せなかった事を託す。
「そりゃ生きてりゃ色々思うよ。だけど、
自分を大事に想う人を見くびったり
貶(おとし)めちゃいけない。」
死んだ人に感謝を伝える方法は無いけれど、
情けない話、感謝の気持ちが涌き上がるのは、
たいていその人が死んでしまってからのこと。
髪を切ってくれて、愚痴を聴いてくれて、褒めてくれて、
励ましてくれて、ご飯を作ってくれて、お金を稼いでくれて、
心の底から叱ってくれて、他愛も無いことで笑ってくれて、
いつも隣にいてくれる。
だけど、隣にいて当たり前の人なんてほんとはいない。
その人は明日前触れもなく消えてしまうかもしれない。
誰かが隣にいてくれる事が、どれほど恵まれている事か。
そんなことを思わせてくれる映画。
<2016.10.15鑑賞>
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余談:
長くなるので省略したが、俳優陣が揃いも揃って見事。
竹原ピストルと子役2人は演技未経験だそうだが、
これまた素晴らしく役にハマっていた。
それと、やっと池松壮亮の良さが分かってきた。
達観したような目線と、さらりとしつつも
人の熱を感じさせる声音が凄く良い。
「先生それは逃避でしょう」
「子どもって男の免罪符じゃないですか」
……彼、大人のなかで一番オトナだったんじゃ。
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