「自分を生きること」永い言い訳 パガーニさんの映画レビュー(感想・評価)
自分を生きること
バスの転落事故によって、妻を無くした2人の夫と、その家族の話。衣笠幸夫(本木雅弘)は、人気作家で、事故の前からずっと不倫をしていた。大宮陽一(竹原ピストル)はトラックの運転手で、2人の子供がいた。
同時に事故で妻を無くしたことから、対照的な2人の繋がりが生まれる。陽一の2人の子供の面倒を見ることになった、幸夫。側から見ると、妻を無くし、しかし前向きに生きる、良き夫であり、良き人間。
周りの評価と自分の行動のズレが生まれる。自分でもどうすればいいか分からない。少しずつ変わっていく。幸夫の子供のことを真剣に考え、亡くなった妻への気持ちの変化が生まれる。
妻のスマホの中には、自分宛のメール。「もう愛してなんかいない。ひとかけらも」激動。叩きつけられたスマホ。
それでも前を向く。妻を大事にしていなかった自分を認める。夫婦であって夫婦でなかった。事故によって妻を失ってから、初めて夫婦になれた。失わないと大切なものが、大切だと分からない。失っても、後悔しなければ、大切だと分からない。大切だとわかっても、それを認められなければ、何も変わらない。自分を生きないと何にもならない。自分を生きるには、一番身近な人を愛すること。
全てを後悔し、認め、前を向いた。幸夫の顔。前とは別人のようだった。
幸夫の世間体を気にして行った行動や、仕方なく行ったこと、優しさからした行動、全てによって変わっていく様子から、人はいつでも変われれる。本気で人のことを思うことで、変われる。そんな気持ちになれた。
竹原ピストルの愚直な人間の役。よかった。
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