劇場公開日 2016年10月14日

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「キャッチコピーはウソかもしれないが」永い言い訳 オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0キャッチコピーはウソかもしれないが

2017年3月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

妻をバスの交通事故で亡くした落ち目の人気作家、衣川幸夫。その妻の友人の旦那で共に事故で妻を亡くした境遇のトラックドライバーの大宮陽一とその2人の子供、真平と灯。
2つの家族が寄り添い、傷を癒していく様子と妻の喪失という現実をどう受け止めて生きていくのかを描いた作品。

まず残念ながら今作品のキャッチコピーはウソだ。妻の夏子が死んでから愛し始めたといった内容だが幸夫が妻を愛していたことを再認識したような描写は最後の最後まで見受けられなかった。
夏子の遺品を整理する中で見つけた彼女のスマホ。そこに残されていたメールデータから彼女は自分のことを愛していなかったことを悟る。
例えばこの上記のシーンまではもしかしたら幸夫は夏子のことを愛していたかもしれない
大宮家と触れ合う仲でもしこの場所に夏子が居てくれたらと思うような切ない幻想シーンも確かにあったが幸夫が夏子を思うシーンはせいぜいそれぐらいだったように感じた。

だから本筋に子どもとの触れ合いの日々を持ってくる演出がズルかった。
観る前はキャッチコピーの通り普段冷たくあしらっていた妻は自分のために実はこんなものを用意してたり、実は他人にはこんな風に夫のことを話してたりといった妻の心遣い的なものが彼女の死後次々と発覚し、悲しみにくれて懺悔して生きていく男を描く的な内容かと思っていた。
実際は普段は偉そうに踏ん反り返っては酒に溺れ、家事もロクにしたことがないわ、自宅に不倫相手を連れ込むだのとクズっぷりを晒していた幸夫が大宮家の子どもたち2人と一緒に料理を作ったり食べたり、勉強したりととても人間的な面を覗かせ、終いにはすっかり懐かれた真平と灯から幸夫くんと呼ばれる仲にまでなり、母親代わりのような存在として大宮家と関わっていく幸夫の再生劇が本筋である。
この手の作品はズルい。だいたい良い笑。
歳とるごとに子どもの話に弱くなる。だからきっとこの作品もそれなりに歳をとった方が好きだと思う(失礼)

物語の中で誰よりも共感できなかった幸夫が1番共感できる人物に徐々にかわっていく描写は見事。
本木雅弘の、突然現れた化学の鏑木先生と大宮家の距離が縮まっていき、疎外感による嫉妬と酒に任せた勢いで大宮家との間に溝が出来てしまう情けないながらも死ぬほど気持ちが分かる演技が素晴らしかった。
ラストシーンの切なさも良かった。

オレ
2017年3月31日

キャッチコピーは合っていると思います。
死んでから妻を愛した様なある意味それを匂わせる文書にはなってますが、文書は「。」によって全部区切られておりますし。違う見方が出来ます。

巫女雷男