「どんどん味が出る映画」永い言い訳 レインオさんの映画レビュー(感想・評価)
どんどん味が出る映画
主人公の幸夫の感情、最初よくわからなかった。
が、物語の進行につれてどんどんはっきりしてゆくっていう感じはすごかったー
初めて身近の人を失い、初めて自分はダメ人間fsと自覚するとき、死んだ人はずるい、残された人だけ苦しいと知ってるはず。
初めから感情のない妻が、一番最悪な時期で「私」を離れて死んでいった。
それで、妻へ感情を持たない幸夫は、逃避を選ぶことで自分の無用さからも逃げようとしている。
同じく逃避を選んだのは大宮真平もそうだ。母の死を意識しながら、それに立ち向かうより、前に向かって進もうとしている彼。
その対照になるのは、真平のお父さん。彼は妻の死の悲しみから抜けられない。
小さな娘のあかりも含め、四人は家族の離れに全く違う姿勢を取っている。
一体どっちの方が強いのだろう。答えるのは難しいかもしれない。
ただ一つは、自分を受け入れて前に進むこと。
映画の最後にはそういうことを伝えたいのだろう。
人はみんな他者だー。
だからこそ自分のそばにいてくれる人には、感謝しかない。
この点がわかった幸夫は、改めて妻を愛するようになる。
「人はみんな色々考えている」というようなセリフがあった。幸夫の心境の変化もそうだった。
だから観客もこの映画を見て色々感じることができるんじゃないかなーと。
死ぬことだけではなく、ものを失くすことも、この世にたくさん。
ただそんなこんなことにどう向き合うのは自分次第。
かなー
あと個人的な意見なんだが、唯一残念に思うのは、本木雅弘の演技、全体的にはいいが、若干硬く感じる。たまには訳わかんない表情もあったりしてーあるいは自分の読み取り方が違うかも!
そして大好きなのは、海辺のシーンの色彩が好き。目に焼き付けるような雰囲気になった。
また大宮家にいるとき、幸夫はあかりちゃんといるシーンが、カメラの揺れで生み出したリアルな感じが良くて感動的だった。
長い文、ゆっくりと考えさせられた。