「西川美和監督。自分の中では「ゆれる」の監督というイメージが強い。と...」永い言い訳 HISAKOさんの映画レビュー(感想・評価)
西川美和監督。自分の中では「ゆれる」の監督というイメージが強い。と...
西川美和監督。自分の中では「ゆれる」の監督というイメージが強い。とにかく、オダギリジョーさんに夢中になっていた(今も変わらずだが、昔よりは落ち着いている)頃に、この映画はなんだ。凄すぎると。当時、仲の良かった友人と語り合った記憶が今でも蘇る。役者の揺れ動く感情が、西川監督の映画ではスクリーンから、これでもかと伝わってくる。嘘っぽくなく、生っぽく、映画館だということも忘れてしまって、自分の中にある感情が剥き出しにされる思い。この人の映画は信用できる。と生意気に毎回思う。これが僕が観たい映画だと思える。 そして、僕は西川美和監督の映画イコール「ゆれる」というイメージを卒業した。この映画、一番好き。本木雅弘さんにお会いした事はありません。でも、きっと、この映画の、この役こそ、本木雅弘さんが演じる為に作られたように思う。本木さんって、なんてユニークな方なんだろうか。童心を忘れずに生きている人から醸し出される愛嬌や安心感がある。そして、孤独感もある。 物語冒頭、僕は、これはちょっと、どんよりしていきそうなテーマの物語だと感じた。演じる役者やキャスティング次第では、重たくなりそうだなと思ったが、この映画の主人公、幸夫が、感情が乱れることなく、何処かユーモラスな佇まいでスクリーンに映し出され続ける。だからこそ、彼が出会っていく出来事に僕自身の興味はずっと集中していた。そして、あの兄妹。本当に微笑ましく、僕自身の涙腺を見事に崩壊させた。 僕自身の家庭環境や悩みや苛立ちや憤りを、無邪気な妹に振り回されながら、必死に生きる兄の姿を観て、自分の不甲斐ない生活のダメさと、それでも応援してくれる親の存在の有り難さを感じてしまって、何度も涙が出た。こんな映画、どうしたら撮れるのだろうか。素晴らしい。パンフレットを購入。1000円という価格に驚き、思わずレジで「たかっ!」と言ってしまった。読んでみて納得。付録のDVD、まだ観ていませんが、観るの楽しみ。素晴らしい映画に巡り会えて感謝です。ありがとうございます。(私的な感想で大変申し訳ありません。)映画記録用に書いていますので。