「これ以上の点数は付けられない。。」クリーピー 偽りの隣人 yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
これ以上の点数は付けられない。。
黒沢清監督の作品。
この監督なので見ようと思った。
ただ、観てて途中から少し後悔しはじめてきた。。
当たり外れが激しい監督なのかしら?「CURE」は素晴らしい作品だったのに。。
話自体は「隣人」という現代では希薄になった、ご近所の関係性をテーマにした興味深い作品ではあったけれど、ストーリーがあまりに退屈すぎた。とうか、長い。この内容であれば、1時間半くらいで良い。結末も途中ですぐにわかったので、あとはその結末に向けてどう進むか?だけの話だったし。
あと、辻褄が合ってないことが多すぎる。
妻の康子(やすこ)のよくわからない不安定さがまず謎。なぜ気持ち悪いと思ってる隣人と接触してるのか、いつ薬打たれたのか、なぜ自分の主人に薬打ったのか、最後はなぜいきなり正気になったのか、行動がいちいち引っかかる。
あと、この薬もよくわからん。主人公や刑事が打たれてすぐ動けなくなったけど、そんな薬あるの?なんの薬?筋弛緩剤?けど、中毒性ないよね??相手の言うどんな命令でも聞く薬??そんな都合の良い薬は存在しないでしょうに。
警察もなんか意味わからんくらい無能だったし。
別に日本の警察を特別優秀だとは思ってないけど、ここまで無能でもないだろう。
野上が死んだ後なんで誰も西野を調べてないんだよ・・あと、借金があって高倉に相談に行って、とかの話は、まさか西野が仕組んだのか?けど、どうやって?野上が都合良く借金しててそう解釈されたの??そんなアホな。。
それと、日野市の事件との関連性。
まぁ、犯人はこの西野で間違いないけど、この人自分で手を汚さないスタンスなんだよね?最後の1人は生かしておいて、その人に全員殺させた?で、最後は西野本人が殺した?うーーん、なんか辻褄が合わない。むしろ、一人生き残った早紀が協力したと考える方が自然。しかし、澪(みお)はそのまま家族として引き連れていったのに、早紀は一緒に付いて行ったわけでもないし。
しかも、家の並びでどの家をターゲットにするか選んでるし・・。風水的な何かかしら?たしかに、気持ち悪くなる「場所」というのはあると思う。その場の磁場なのか、説明できない空気感みたいなもの。霊感が強い人はそれを感じとる。しかし、家の並びで近所付き合いが悪くなるとかはあるとは思えないのだが。
結局最後に印象として残るのは西野役の香川照之の怪演だけで、この作品観たら、ただでさえ疎遠になってる近所付き合いがさらに疎遠になることは間違いない。
不安だけ煽ってあとに何も残らない、ってのは一番タチが悪いと思うのだが。。
監督は、とりあえず疎遠になってる現代のご近所関係に警鐘だけ鳴らしたかったのかしら?
あるいは、この映画はあまりストーリーの整合性を考える映画ではないのかも。もっと感覚的に観た方が良いのかもしれない。
いずれにせよ、この点数以上はつける気になれないです。