ラスト・ナイツのレビュー・感想・評価
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古風で実直な作りがシビれる、中世版『忠臣蔵』 [誤記修正]
紀里谷監督作品のファンには大変申し訳無いのだが、
レビュー載せてないからといって手の平を返したように誉めるのもフェアじゃない気がして厭なので
最初にはっきり書いておくと、僕は紀里谷監督の『CASSHERN』と『GOEMON』が大嫌いである。
そもそも僕はCGで華美に飾り立てて誤魔化したような映画が好きではないし、
そんな身からすれば、役者の演技やアクションすらCGで補強する真似など言語道断だ。
そのCGの出来さえイマイチであれば、益々アンリアルで滑稽な映像に見えて薄ら寒い。
深刻そうな顔をするばかりで少しもエモーションを刺激しない
薄っぺらな台詞やドラマが合わさった日にはもう目も当てられない。
と、最初の数行でボロクソ書いておきながら、次にこう続けることを許してほしい。
『ラスト・ナイツ』は良かった。非常に良かった。
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原作のある物語を別の世界観へ換骨奪胎する試み自体は監督がこれまでも行ってきたことではある
(今回は『忠臣蔵』を中世風の世界観に置き換えている)。
悪びれずに言わせてもらえば、役者陣の重苦しい表情も同様だ。
だが今回は、
CGの使用を極力抑え(どこで使われているかは殆ど気にならないレベル)、
実力のある役者陣の演技やアクションを誤魔化すような真似もせず、
剥き出しの感情を登場人物達が吐露する野暮な真似もしない。表情でそれらは語られているからだ。
“沈黙を学べ、我が友よ。言葉は銀に等しいが、時を得た沈黙は純金にも等しい”。
『ラスト・ナイツ』は、監督の過去作とは比べ物にならないほど、
映像言語としての説得力が格段に増しているのである。
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適材適所な役者陣が揃ったことも間違いなくそれに貢献している。
人間臭くも高潔なモーガン・フリーマン、柔和な表情で苦悶を押し殺すアン・ソンギ、
実直な副官クリフ・カーティス、ひたすらに堪え忍ぶアイェレット・ゾラー、
そしてライデンを演じたクライヴ・オーウェン。
主君の名誉、そして国や部下を守る為に、最も自分を殺した男。
堕ちる所まで堕ちたように見えた彼が力強く甦る様には背筋がゾクゾクきた。
ラストカットの、真っ直ぐに前を見据えた目の輝きも忘れ難い。
相対するは伊原剛志だ。
主人公ライデンに騎士として敬意を払い、彼が落ちぶれる様に複雑な表情を浮かべ、
不実な主君に耐えながら、最後は正々堂々と1対1で勝負に挑む。
闘いの前に一礼する姿や、倒れた相手が立ち上がるまで待つ様など、
騎士であり武士である彼はとんでもなく魅力的な好敵手だった。
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惜しむらくはアクションシーンか。
いや、今時ワイヤーアクションにすら頼らない剣劇アクションの数々は実直で良いし、
討ち入りシーンでの深く静かな潜行戦なんてスムースでスマートで惚れ惚れするほどだ。
問題は、音。
剣と剣、鎧と鎧が激しくぶつかり合う音に今ひとつ迫力が無いと感じる。
感情を高めて高めて遂に爆発するテンションを、戦闘の音が削いでしまっている。
また、数多くの騎士達の中にも印象的なキャラクターはいるのだが、
暗がりでしかも西洋風の顔立ちだと見分けが付き辛かったのも難点。
(洋画ばっか観てる自分でも、である)
風貌などにもっと差異を付ける等、各キャラのインパクトを強めて欲しかった。
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以上。
時流に乗った大作ではなくクラシカルな中規模作品という印象は強いし、
良く言えば実直、悪く言えば地味な出来だ。
華美で大スケールのアクションが溢れる今の時世においては、売れる映画ではない。
だが、それがどうした。
IMDbやRotten Tomatoesでの評価が低い? クソ食らえ。
奇をてらわない語り口で全く飽きさせずに物語を語るというのはなかなか出来ないことだし、
ここまで練りに練られていたのかとクライマックスで唸る流れも、その実直さあってのサプライズだ。
僕はこの映画が好きだし、この映画はもっと評価されるべきだと思うし、
そして海外にもこの映画を評価してくれる人は間違いなくいる。
繰り返し、手の平返しなレビュアーの言う事だが、紀里谷監督の次回作を楽しみにしている。
<2015.11.22鑑賞>
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余談:
誤記修正。
×紀利谷→○紀里谷 でした。
過去作ボロクソ書いた上に名前まで間違えるってウォイ。
単純におもしろい。
先日、偶然に紀里谷和明監督のインタビューを見て、そのなかで「47RONIN」と企画がかぶっているから頓挫しかかる、みたいな話をしていて、同じ忠臣蔵をテーマにしていて、よもやあの映画より落ちることはないだろうとハードルを低くして臨んだ。
そもそも紀里谷和明監督の映画には懐疑的で、前2作程度なら作らないほうがましとまで思っていた。
だが、今回、人の企画で撮り上げた本作はよくできていた。
まさに忠臣蔵なのだが、その翻案のしかたが非常にうまくいっていた。
この企画にはこの映像という紀里谷和明の選択はまことに正しく、前2作のことはすっかり忘れ、ましてや47なんとかなど吹っ飛んでしまった。
ワールドワイドな俳優陣で、アン・ソンギや「別離」(未見)のペイマン・モアディが出ていることも、その紀里谷和明監督のインタビューを見るまでは知らなかった。
悪役はノルウェーのアクセル・ヘニーという人でなかなかの才人らしく、また「オデッセイ」(リドリー・スコット監督)にも出ているらしい。
単純におもしろく、ラストの城攻めの精緻なことにびっくりし、様々な工夫も凝らされていて、感心した。
次回作が楽しみになってきた。
悪くはなかったか。
監督名聞いてダメだなこれは、と思ったけど、意外に普通なできでした。ただ、今までの作品に比べれば、というレベルです。
プロモーションビデオとしてこの映像をみればかっこいい仕上がりですが、しっかりしたストーリーと考えるととっても軽い。
とにかく人物像が浅い。これだけ騎士をそろえていながら個々人の人間模様がほぼ描かれておらず。おかげで成り行き上はとても話しに共感できるんだけど誰か人物に肩入れしようとするとなにも感じるキャラクターがいない。モーガンフリーマンの言うことも一理あると思うのだけど、民が苦しめられている逸話が何もないから絵空事にしか感じない。
やっぱり長編撮る力量はないと思うんですが、この監督は。
外連を捨てて王道をいく紀里谷監督最新作。
酷評に塗れた初作『CASSHERN』の、空気を読まない外連と壮絶な異物感に感動した身としては、些か物足りないくらいに真っ当な仕上がりだった。海外スタッフらとの協働で、前2作ほどワンマンな創り方にはならなかったのかもしれない。その意味では誰もが楽しく観られる映画になっていると思う。
それでもこれを扱き下ろすなら、世の映画のほとんどは糞だ。まあ、大量の糞の中にひと握りの本物があるというのもひとつの見識だろうし、気持ちは解る。あるいは同監督の過去作や本人のキャラに反感を持っていて作品の粗探しをするなら、そりゃあいくらでも穴はあるだろう。そもそも完璧な映画ってなんだよとも思う。
本作の場合、序盤の見せ方が致命的にダサい。とにかく登場人物たちが物語の背景や主要人物の人間性や自らの心情についてペラペラとしゃべりまくる。いわゆる説明台詞のオンパレード、まさかの橋田壽賀子メソッドである。お陰でキャラクター理解に遊びがなく、一面的になってしまう。あと、忠臣蔵でいえば四十七士にあたる騎士たちの描き方が雑で、ドラマを盛り上げるはずの変心や犠牲のエピソードがまったく生きてこない。
この辺りは脚本家の意向なのか監督の判断なのかよくわからない。中盤のタメから一気に畳み掛けるクライマックスあたりまでの演出は良かっただっただけに、なんとももったいない。もっと個々人の内面を多面的に描くことに序盤の時間を割いていれば、俳優陣の好演も手伝って、より大きなカタルシスに繋がっただろうに。
これはこれで海外進出第一作目として悪くはないのかもしれない。ただ、個人的にはもう少し「らしさ」を見せて欲しかったなと。手堅さや器用さを手に入れても、作家性を手放すことはないと思う。監督としての手腕を売る仕事もいいけれど、もっとガッツリ紀里谷印の仕事も観たい。次回作以降に期待かな。
とにかくカッコいい!
前2作品がイマイチな感じだった紀里谷監督だったけど、今回は忠臣蔵ベースに安定したストーリー展開で楽しめました。
抑えた映像がとにかく良いですね。好みです。音楽も良い!そしてキャストもそれぞれに存在感が良かった。
前半はちょっとだらけそうになるけど、後半の ‘’討ち入り‘’ は最後まで痺れた。カッコいい!撮り方がカッコ良くて涙が出た‼
忠臣蔵ものは数多く見ているけど、やっぱり忠誠心は洋の東西を問わず胸を打ちますね。
痺れました
日本人監督のハリウッド映画程度の事前知識で鑑賞。
想像していたより良かった。
主演のクライブ・オーウェンがシブい漢。
ダメ男になっても渋さは残る。
どことなく日本映画的なシーンも多々有り、一風変わったアクション映画として観られた。
忠臣蔵
忠臣蔵ストーリーというのは知っていましたが洋風になるとまた一段とカッコイイですね。
雪を降らせたのも忠臣蔵を意識してるんでしょうね。
騎士道とか武士道とか主に忠義を尽くすとか大好物なので楽しめました。
キャスティングも良かったです。
モーガン・フリーマンの声好きなんですが、皇帝の前で静かにでも毅然とした態度で語っていた姿は良かった。
存在感もあってバルトークがあっていた様に思います。
伊原さんも出てましたね。
妙に不自然な髪型が気になりましたが(笑)こちらも騎士道精神ある、なかなかいい奴でした。
死んでしまったのが惜しかったです。
仕える相手を間違えたんでしょう。
シビれたのは酒に酔って千鳥足で歩いていたライデンがスッと歩き出し目つきも鋭くなったシーンですね。
この酒に溺れてるところはライデンの奥さんが可哀想だったんですけど、ちゃんと信頼しあってる愛のある夫婦だったので安心しました。
生意気な言い方かもしれませんが日本人の映画は、どこかハリウッド映画とは見た目が違う事が多いと思ってます。
でも本作はちゃんとハリウッド映画として違和感なく観ることができました。
海外で日本人が活躍するのは嬉しいですね。
また色んな映画を観せて欲しいです。
ライデン隊長カッコいいです
忠臣蔵好きなのと、伊原さん好き撮れました、予告編が素敵だったので観ました。
期待通りでした。
映像も音楽もキャストも素晴らしかった。
監督の撮りたい絵というのが感じられました。
いいスタッフが集まったんでしょうね。
絵が美しくロケ地がどこなのか気になって、プログラムを買ったら、載ってました(^-^)
忠臣蔵にある伏線の部分をもう一度見返すのに2回目行きたくなっています。
わかって見ててもライデン隊長にすっかり欺かれちゃいました。
副長もよかったです。もちろんライデン隊長とイトー隊長との決闘シーンも❗️
忠臣蔵の雪を降らしてくれて白い映像も美しかったです。監督はこの絵を撮りたかったんでしょうと思って観てました。
サントラも好みなので、CD出ないかしら。
色眼鏡外して観たほうがいいね
キャシャーンとゴエモンのあの監督か〜ってところで、あまり期待はしてなかったのやけど、今回は監督お得意の極彩色豊かな映像ではなくて、落ち着いたトーン、寒色を基調にした映像美が綺麗でした。
ラストシーンがとてもよかた。
元ネタ忠臣蔵を知らなかったからか、眠かったからなのかわからないけど話が理解しづらかった。
もう一度勉強してからみなおしたい。そんな風なことなしにもう一度観てもいいかなと思える映画でしたね。
重厚な語り部
お見事でした。
「47RONIN」よりはるかに忠臣蔵してた。
上辺だけの侍っぽさを追う事もせず、鋼の志を貫く事に焦点を絞ってたのが潔かった。
ただ、
映画を観てるというよりは、映像作品を観てるような気になってた。
良くも悪くも監督が「良い」と思うものの集大成のようなものなのだろうか…。
そんな執着が観てとれたような気がする。
多様されるハイスピード、ずっと流れ続けてるBGMとか、ちょとしつこいも思えた。
そんなもので誤魔化さなくても、十分物語にも役者陣にも入り込めるのに、と。
…ああ、だからか。
観客にあまり委ねたかったんだな、この監督は。
こういう風に観てほしいが明確だから、観客の想像の余白が少なかったのかもな。
だから、なんか、観終わって、良かったとも思うのにテンションが上がらないのか。
共有できなかったのかもなあ…。
自己完結的な感じだったのか。
だが!
日本人であの規模の映画を撮ったってのは、喝采しか送れない。
簡単な道程では決してないし、平坦な道であるはずがない。
偉業としか言いようがない。
海外の監督がリスペクトする日本の監督は居ても、実際現地で撮った人は居なかったのだから。
そして、創り上げた作品が、日本を色濃く反映してた。
監督はきっと、色んなとこて譲らなかったんだろう。妥協せず、我を通したんだと思う…。
ホント、やり遂げた事は賞賛に値する。
いや、絶賛だ。
誰もできなかった事を、やったんだから。
凄いっ!
自分は面白かったです。ちゃんと忠臣蔵。
思ったより、ちゃんと忠臣蔵でした。
最近キアヌがやってた忠臣蔵より断然良かったです。
自分は普通に楽しめました。面白かったです。
ちょっと全体的にスッキリし過ぎてたり、惜しい所もありますが…。
特に最後の1対1の戦いになったら、イキナリ違うアクション映画の様になったのは笑いそうになりました。
せっかくスッキリしてたのに、あそこだけヤリ過ぎ。何で踊っちゃったのか。惜しい。
雪の場面も、討入りの時とか…もう少し印象的に使ってほしかった感はあります。
あとは…あんまり人気ないんでしょうか。平日とはいえ、まだ公開1週目なのにガラガラでした。
最近は予告編で良い場面ばかり出して、本編見たら予告編で終わってたみたいなのが多いですが、これは逆にもっと戦いの場面とか、もう少し引きつける予告編を流した方が良かったと思います。
自分も公開直前に、こういう映画を演ると知りましたし。
日本人ウケしそうだし、もっと売れると思うのに…勿体無い。
監督に、応援ポイント追加
なんも、先入観無しで、見たかったなあ。事前に監督が、慣れないバライティに、出演されたり、自らプロモーション実施。 映画見るまで、変な日本人映画に、なってないか、本編以外で、ドキドキしながら見ました、映画は、ちゃんと忠臣蔵でした。応援票★一つ追加
正直ニガテな感じの作品かと思ってたら、全然そんなことなく分かりやす...
正直ニガテな感じの作品かと思ってたら、全然そんなことなく分かりやすいし面白かったー!
作品の重厚感は主役の顔の濃さのせいもあるんじゃないかと思うけどw 伊原剛志もイイ役!何と云っても悪役の大臣の気持ちいいくらい悪い表情にニヤニヤしちゃうww
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