「ほとんど少年漫画な、痛快娯楽叙事詩! 唐突すぎる展開と歪な構成が少々気になる…。」バーフバリ 伝説誕生 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ほとんど少年漫画な、痛快娯楽叙事詩! 唐突すぎる展開と歪な構成が少々気になる…。
故郷を追われた王子・バーフバリの活躍を描くアクション映画『バーフバリ』シリーズの前編。
村の青年シヴドゥは、運命に突き動かされるかのように大滝を登り、まだ見ぬ世界を目指す。
そしてその滝の上で彼を待ち受けていたものは…。
監督/脚本は『マガディーラ 勇者転生』『マッキー』の、巨匠S・S・ラージャマウリ。
『RRR』の鑑賞により、完全にS・S・ラージャマウリ監督の虜になってしまった💕
という事で、彼の過去作にして代表作、『バーフバリ』シリーズに挑戦!
結論から言えば、やはり面白いっ✨
前評判の高さを裏切らない、超極濃エンターテイメントでした!
ミュージカル調の演出、圧倒的なヴィジュアル、ど迫力のアクション、全てにおいてテンション爆上がりなユニークさ👏
主人公シヴドゥのキャラクターも、『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』を彷彿とさせる、完全に少年漫画そのものみたいな存在で、終始にこやかな気持ちで鑑賞する事ができました。
ストーリーは超王道な貴種流離譚。
「ジャックと豆の木」のような、主人公が天空に向かって聳える障壁をよじ登り未踏の大地を目指す、という展開も民話や少年漫画で繰り返し描かれてきた、王道中の王道。
端的に言えば、裏切られるような展開は何も無い。
しかし、それでもストーリーが抜群に面白いのは、やはりラージャマウリ監督の想像力/創造力の凄まじさによるところが大きいのだろう。
王道物語を臆することなく観客に提示したラージャマウリ監督の胆力に敬服します(`_´)ゞ
とはいえ、『RRR』から可逆的に鑑賞した身としては、「思っていたより普通のエンタメじゃん…」という感想が浮かんできたのも正直なところ。
『RRR』を観ていなければ度肝を抜かされていたのかも知れませんが、すでにRRR脳になってしまっている以上、本作の濃度ではちょっと物足りない。
『RRR』抜きで考えても、いくつか不満点がある。
一番大きなところで言うと、主人公シヴドゥの影の薄さ。
序盤、彼が大滝を這い上がるシーンは確かに見応えがあるし、その先で彼が体験するのであろう冒険を思うと心が躍るのだが、実際に彼が上に登った後には、思っていたほどのドラマが起こらない。
王妃救出というシヴドゥ編のクライマックスも、割と淡々しているというか、目を見張るほどのアクションはない。
シヴドゥ編の燻り加減に対して、父王バーフバリ編の盛り上がりは異常。
過去回想という、メインのストーリーラインからは外れた場面なのにも拘らず、完璧に本編を喰ってしまっている。
このバーフバリ編は面白く、間違いなく本作における盛り上がりの最高潮なのだが、バーフバリ編が面白くなればなるほど、シヴドゥ編要らなくね?という感情が湧き上がる。
バーフバリのインパクトが強すぎて主人公シヴドゥの影が薄くなってしまっており、結果として映画全体の輪郭がぼやけてしまったように思う。
そしてシヴドゥ編の途中からバーフバリ編が始まるという構図が少々歪。
これなら前編バーフバリ、後編シヴドゥというような区切り方で良かったんでないの?
唐突でケレン味のある展開はラージャマウリ監督の持ち味なのだろう。本作でもそれが遺憾無く発揮されている。
シヴァガミの最期とか黄金像の建立とか、凄く良かったですよね♪
しかし、シヴドゥと女戦士アヴァンティカのロマンスはあまりにもぶっ飛びすぎてやしませんか💦『ドラゴンボール』の悟空とチチ以上のスピード感だよこれは∑(゚Д゚)
まぁこれはこれで楽しいんだけども、あのミュージカル・ラブシーンは流石に飲み込みづらかった。んな訳あるかいっ!!
…余談だけど、流石に気付かない間にタトゥーを彫られたら、恋をするどころかドン引きすると思う(吹き替えだとタトゥーって事になってたけど、これって誤訳なのかな?どう考えてもボディーペインティングだよね)。
にしても、アヴァンティカ役のタマンナーさんって、とんでもない美女✨🌸タマンねーナ!👍
前後編の前編ということもあり、イマイチ盛り上がりに欠けるところもあった気がするが、後編が楽しみなことは間違いない!
王を称えよ!バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!
このレビュー読むと、この作品との対比で「RRR」観なきゃ! と思いますね。そっか、「バーフバリ」が盛り上がらなく感じるほどとは、「RRR」聞く以上に凄そうですね。遅ればせながら、観に行ってこよっと!