「え、踊りに喜び見出してないの?」ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
え、踊りに喜び見出してないの?
バレエもののドキュメンタリーは外さないという人様にはどうでもよいマイルールがあり、バレエボーイズとはしごしてきました。
さすがにぶっ通しの二本は集中力が持ちませんでしたね。
映画の上映に先立って、CSで特集番組があり、硫酸事件の概要と、ボリショイ劇場のロシアにおける位置づけを予習していたのでなんとかついていけました。
全く予備知識無しだと少し難しいかもです。ロシア語なので単語も聞き取れませんしね。
非常に衝撃を受けたのは、何人かでてきたプリマの一人(多分アキレス腱断裂から復帰しようとしてる人)が、バレエを踊ることに喜びはないと言っていたことです。
日本人でバレエを志す人は踊る喜びに魅せられて狭き門をくぐろうと努力するというのがポピュラーなバレエに向き合う姿勢だと思っていましたので、きっと世界のどこでもそうだと思ってたのですよ。
私のバレエ知識は漫画と映画が主なので、アラベスクにテレプシコーラにドゥダダンシン!にファーストポジションに、ついさっき見たバレエボーイズ。みーんな踊りに喜びを見出してるんですよ。
そうじゃないメンタルの人もいるんだなぁと。考えてみれば当たり前かもですが、衝撃でした。
イギリス映画なんですね。コレ。
そりゃそうか。ボリショイの腐敗はロシアの腐敗の縮図なんてロシアのメディアがゆわないですよね。
芸術監督のセルゲイさんが硫酸を顔面にぶっかけられるというスキャンダラスな事件が起き、そこからのボリショイ劇場の再起を描いたドキュメンタリーですが、なかなか踏み込みにくい部分もあったんでしょうね。核心に迫りきれないけれど雰囲気だけおどろおどろしく演出されていました。
正直、CSの紹介番組の方が分かりやすかった…(ひどいなあたし)。
セルゲイさんの方針が団員に支持されなかったという点と、
ダンサーもかなり利己的だ、という点と(なんぼ人気者でもボクがボリショイを歩くだけで拍手が沸くのにってゆってたおじさまはキモいわ)、
そもそもロシア政府の干渉と腐敗が根深い
という点と…
なんか世知辛い世界ですなぁ。
居心地悪そうな、ね。
立て直しの舵取りに指名された人が、セルゲイと過去に折り合いの悪かった人で、そこも注目の的みたいでした。
ウラジーミルさんかな?
ウラジーミルさんの配役決定はガラス張りにしようとの提案に、団員の目が輝いたシーンにきてはじめて、ひとつ物事が動いたなぁという気がしました。
世界最高峰のバレエ団なのでしょうが、なんか応援しずらい風土やなーって感想に終始しちゃいましたね。
ボリショイの演目は、去年映画館でみたくるみ割り人形がはじめてでしたが、正直ロイヤルバレエのくるみ割り人形の方がワクワクして楽しかったなぁって思いました。
途中寝ちゃったんですよね、ボリショイのくるみは…
バレエの世界を覗き見するのが趣味のひとつですので、見たことに後悔はしてませんよ。ちなみなポイント鑑賞でタダで見てこの評価です。てへ。