「看板に偽り有り!?」インデペンデンス・デイ リサージェンス ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
看板に偽り有り!?
“あの日から20年、決戦に備えていたのは、人類だけではない…”。うーん、果たして、どれほどの観客がこの決戦に備えていたのだろうか?
前作から20年も経ってからの続編の登場に今更感が拭えないし、前作で世界中を火の海にした宇宙人さんたちが、世界中のランドマークを木端微塵にしたところで、何の驚きも恐怖も生まれないのだ。いや、何よりも驚いたことはホワイトハウスが破壊されなかったことだ!(笑)
よくよく考えてみると、前作は巨大UFOが地球を侵略してくるというシンプルなプロットでありながらも、各々の登場人物たちに魅力があったが(生真面目なデビッドと無鉄砲なヒラー大尉のコンビにはバディムービー的な面白さがあったし、未曾有の事態の中で冷静に指揮を執る大統領にカリスマ性もあったし、複葉機乗りの農家のオヤジが活躍するクライマックスに笑いながらも胸が熱くなった)、今回は全ての登場人物の描き方が極めて浅く、中国人女性パイロットが綺麗である以外の魅力が皆無なのだ。
前作よりもスケールアップをすることは続編製作のセオリーであるが、どんなに宇宙人の攻撃を激しく描こうとも、登場人物の魅力がスケールダウンしてしまっては意味がない。宇宙人の社会性にも踏み込んでいたが、これは「エイリアン2」の劣化版にしか思えない。そもそもこのシリーズのアクションの魅力はUFOと戦闘機との誰も見たことのないドッグファイトにあるのであって、宇宙人とガチで戦うのはシガニー・ウィーバーのお仕事であるはずだ。
頭を空っぽにして、夏の暑さを忘れようという気持ちで見れば、それなりに楽しめるだろうが、前作にあった人類が人種の壁を乗り越えて、団結する勇気が描かれない本作に“人類の独立記念日”ムードは漂わない。故に「インデペンデンス・デイ」という看板に偽り有りと思ってしまうのであった。