「米国田舎の老人は恐ろしい、というハナシ」ヴィジット りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
米国田舎の老人は恐ろしい、というハナシ
『エアベンダー』『アフター・アース』の2本は未見なので、M・ナイト・シャマラン監督作品を鑑賞するのは『ハプニング』以来ということになる。
『シックス・センス』が衝撃的な作品だったのでその後の評価がもうひとつもふたつもなんだけれど、『ヴィレッジ』は結構面白く観れたし、いちばん好きな作品かもしれない。
全米でもなかなか好評ということで、期待して出かけました。
全編、主役の子ども、ベッカとタイラーが持つカメラで撮られた映像でストーリーが語られるわけだが、この手法は効果的でもあり、効果がないような箇所もある。
効果的なのは、子どもたちから老人がどう見えるのか、ということを意図的に描くことができる点。
効果的でないのは、緊迫した場面でも「カメラを持っているのは、どうなのかしらん?」と思っちゃう点。
まぁ、子どもからみた老人というのは「奇妙で不気味」ってことなんだろうけど、それってなんだかなぁ、って思っちゃう。
で、シャマラン監督といえば「ドンデン返し」なんだどうが、オチはすぐに気づいちゃう。
というより、全然ヒネリはない。
いや、祖父母たちが自ら告白してたりする。
あっ、気づいたけれど、シャマラン監督の映画って、ほとんど内容は途中で本人たちがバラシている。
『シックス・センス』でのオスメント少年は「ぼくは死んだ人がみえるんだ」っていってるし、『アンブレイカブル』でも「おれは怪我ひとつしない」っていっている。
この映画でも、そう。
祖父母ふたりは、互いで互いのことを、ちゃんと説明している。
なので、言っちゃ悪いが「ドンデン返し」ではなく、強いて言えば「でんぐり返し」。
観客が勝手に、ぐるんと廻っちゃうように仕向けているだけ。
この映画のオチは・・・
いわゆる「アメリカン・ゴシック・ホラー」の典型ですね。
ジョン・ハフ監督の『アメリカン・ゴシック』や、有名どころではトビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』の系譜。
とにかく、アメリカの田舎の老人は恐ろしいのですよ。