「「指輪物語」のエルロンドの話題になったときのショーン・ビーンの渋い顔が忘れられない!」オデッセイ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「指輪物語」のエルロンドの話題になったときのショーン・ビーンの渋い顔が忘れられない!
植物学者でもあるクルーが置き去りにされるというだけで『E.T.』を思い出してしまうのだが、火星には生物も植物も全くいない孤独な状況。通信手段も途絶え、孤独の中で耐えられるのか?という疑問もあり、希望を失わずに一つ一つ困難に立ち向かう姿が凄い。『ゼロ・グラビティ』よりはゆっくりとしたテンポなのだが、それもそのはず、光りが届くのに12分という、地球の軌道とは大きく離れた火星の地だからだ。
まずは体に突き刺さったアンテナを抜くことから始まり、鏡を見ながら縫うシーンも強烈なインパクトを与えてくれた。その後、次の宇宙船が到着するまでは4年かかる現実を見つめ、植物学者の知恵を活かしてジャガイモを育てることを計画するワトニー。移住基地ハブを太陽パネルやら生活必需品を集める姿がNASAでも捉えられ、彼が生きていることがわかる。盛大な葬式を行った後なのに・・・さらに彼は前アレス計画で使われた探査ロボを回収し、地球との交信に成功。とは言え、よくあるSFモノとは一線を画し、最近の宇宙科学に沿っているところが面白い(『ゼロ・グラビティ』でもそんな感じ)。
地球側でもジャガイモ生活を把握し、火星に補給船を送ることを急きょ計画するものの、時間がなかったため打ち上げ失敗・・・そんな中、中国の宇宙局が協力を申し出たり、地球規模でワトニー救出のために盛り上がっていくのだ。
しかし、もっと確実な方法があると一人の青年科学者が提案。帰還の途にあるアレス3が地球周回軌道に入る直前に補給船と合体させ、さらにアレス3(ワトニー以外の5人の飛行士が乗ってる)に火星に戻り、ワトニーを救出するという案!従来のSFモノが好きな人なら即座に考えそうなことをリアルに近いこの物語でやろうということになったのだ。しかも決断は5人の飛行士が独断で行うという・・・
一人の男を救うことが全世界の大イベントになる様子がとても感動的。ジャガイモだけで生きていけるのかとかいった疑問よりも感動が先に立ってしまうのだ。終盤はアレス4に乗り込むとか、その船にビニールシートを掛けて発射するとか、速度を落とすためにアレス3の一部を爆破させるとか無謀としか思えない展開が待っているが、それもどうでもよくなってくる(笑)。
それはそうと、クルーの1人マルティネス(マイケル・ペーニャ)は次のアレス計画にも参加しちゃうのね・・・