「火星版キャストアウェイ的なね」オデッセイ 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
火星版キャストアウェイ的なね
「オデッセイ」見ました。とても面白かったです。リドリースコットの過去作では、マッチスティックメンとかブラックホークダウンなんかは好きだけど、傑作と思うのはブラックレインくらいだと個人的には思う。宇宙や近未来ベースだとエイリアン、ブレードランナー、プロメテウスなんかは、全体の雰囲気が葬式みたいに暗くて好きになれない。ヒットメーカーではあるけど、好き嫌いが分かれると思う。ストーリーも意味不明な物が多いですし。
しかし、今作「オデッセイ」で見せた語り口は、リドリースコットらしからぬものだと感じた。全体的にはプロメテウスほどではないけど暗い。似た雰囲気なのは、リドリースコットじゃないけどインターステラー辺りを連想させる。その暗い雰囲気に、明るい音楽と小さく笑えるギャグを挟んできた。リドリースコット作品で笑ったのは初めてかもしれない。
そしてシンプルなストーリーが、音楽や笑いの良さを引き立てていると感じた。ビックリしましたね。
話は意外とシンプル。マットデイモンがやってる事は高度ですけど、そこはしっかりと説明してくれるし、問題なかったです。マットデイモンが最後に車みたいなのを恩人認定するのを見て、トムハンクスのキャストアウェイっぽいと感じた。トムハンクスはボールを親友にしてましたからね。
あとは配役も抜群。全然爽やかじゃないしイケメンじゃないマットデイモンはハマりすぎです。珍しくいいヤツ全開のショーンビーン、全然船長には見えないジェシカチャスティン、全くふざけないマイケルペーニャ、暑苦しいキウェテルイジョフォー。誰を見ても新鮮に感じたし、何と言っても賞を取りまくってるような名優揃いの超豪華な布陣。特にショーンビーンはね、先週の土曜洋画劇場のナショナルトレジャーではクズ野郎だったから余計に素敵。
総じて、快作です。とにかく丁寧ですよ、全てが。火星、地球、その他クルーという3つの視点による物語を、テンポ良く切り替える作りも、見てて全く飽きることはない。僕みたいなアホにでも丁寧に説明してくれるし、誰が見ても楽しめると思います。