劇場公開日 2017年8月11日

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「蜘蛛男 鉄男 元蝙蝠男の鳥男 ヒーロー頂上決戦」スパイダーマン ホームカミング 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0蜘蛛男 鉄男 元蝙蝠男の鳥男 ヒーロー頂上決戦

2017年8月17日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

前に『シビル・ウォー』のレビューでもチラッと書いたが、スパイダーマンがまたリブートされると聞いた時、うんざりした。
やはりサム・ライミ版は最高だった。『3』はまあまあだったけど、ライミのコミック・センス抜群の演出が素晴らしく、今に至るアメコミ・ヒーロー映画ブームの立役者であった。
ライミと会社の間でゴタゴタがあり、会社の都合でスタッフ・キャスト総取っ替えで最初のリブート。
ライミ版に愛着ありつつ、『アメイジング』版も悪くなかった。
『2』のラストなんてこれからまだまだシリーズに期待出来る!…って感じだったのに…、シリーズは4作目まで予定されていたのに…、また会社の都合でまたスタッフ・キャスト総取っ替えで2度目のリブート。
しかも今回、スパイディがアベンジャーズに参入。
確かに胸躍る展開で、『シビル・ウォー』での自己紹介変わりのユニークなお目見えに期待持てたが…、
何だか会社の都合で何度も何度も仕切り直しになるスパイディが不憫で仕方なかった。
結局会社にとってスパイディは、大金を稼ぐ道具でしかないのだ。

…と書くとボロクソ酷評のようだが、悔しいかな、面白かったんよ!(>_<)
ちょっと思った事を言わせて貰っただけで。

今回の最大の話題は先にも述べた通りスパイディのアベンジャーズ参入で、それは多くの方がすでに触れてるので、別の視点で気に入った点を。
まず、今回の切り口。
『スパイダーマン』の話の始まりってライミ版も『アメイジング』も、平凡な少年が居て、おじさんおばさんと住んでて、片想いの女の子が居て、ある日特殊なクモに噛まれてスーパーパワーを身に付けて、そのパワーで調子に乗っていたらおじさんが殺される悲劇があって、力の責任を感じて、突如現れた敵と戦う…というもの。
『スパイダーマン』を語る上で絶対外せない要素である事は勿論分かるが、『アメイジング』でも同じ事を繰り返してちょっとかったるかった。
しかし今回は、それら『スパイダーマン』の基本設定を全カット。もういきなりピーターはスパイダーマン。
『スパイダーマン』の基本設定を知ってる限定、本作で“初めましてスパイダーマン”の方には把握するのは大変だろうが(ついでにMCU見てないといけない)、何度も何度も『スパイダーマン』を見てる側からすれば話がサクサク進んで有り難い。

敵バルチャーに、マイケル・キートン。
主役のスパイディより先に敵役に触れるのは恐縮だが、だってこのキャスティングが面白い!
言うまでもなく、キートンは元バットマン。
バルチャーはチタウリやウルトロンのガレキを改造した武器で、鳥のような巨大な翼で襲いかかる。
“バードマン”がホントに鳥男になった!
言うなれば本作は、スパイダーマンvsアイアンマンvs元バットマンのバードマン、ヒーロー頂上決戦だ!(…なんてね)
バルチャーことトゥームスは非道な面もあるが、彼もまた社会の理不尽さに怒る一般市民なのだ。
彼がまさかの…!

トム・ホランド演じる3代目スパイダーマンは、確かにこれまでで最も親しみ易い。
一番やんちゃで、元々“隣人ヒーロー”だからって訳じゃなく、今回のスパイディは“見習い“”新米”。
誰だって経験あるスタート地点。
ヒーローだって同じ。失敗して、経験積んで、成長して。
ヒーローが最初からスーパーヒーローなのはウルトラマンくらい。
アイアンマンもいい感じで“後見人”してる。
この二人の関係が上司と部下と言うより、ちょいと父子を感じさせる関係性にほっこり。
アイアンマンとスパイディの“窓口”ハッピー、もうちょっと話聞いてやれよ…。
ピーターの親友のオタクなおデブ、ネッドのキャラがナイス。日本だったら前野朋哉だね。
女の子もフレッシュでキュートな面々が揃ったが、『ナイスガイズ!』の女の子も端役だったし、前のMJやグウェンよりちょっと地味だった。…と思ったら、MJが思わぬ所に。
それにしても、マリサ・トメイ演じるメイおばさんの美魔女っぷり!『シビル・ウォー』の時も思ったが、あの、ホントにメイおばさんですよね…?

アクションの躍動感は是非ご自身の目で体験を。
スターク製の今回のスパイダースーツの機能がスゲェ…!
明朗コメディ、学園青春モノとしても楽しく、少年が一歩大人になる奮闘劇としてもツボを抑えた作り。
また、大人と子供の関係にもチクリ。子供は大人の言う事聞かないけど、大人も子供の話を聞いてくれない。
アベンジャーズのメンバーが一人ユニークな登場したり、MCU入りしたからにはリンクネタやお馴染みのじいさんも勿論。

2度目のリブートや軽いノリではてさてどうなるかと思ったが、見てみれば、歴代のスパイディにも匹敵。
マーベルの手中にまんまとハマるのも癪だけど、切り口さえ変えればまだまだ面白く作れる。

吹替で鑑賞。
お帰り、藤原啓治!

近大