劇場公開日 2015年10月1日

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「冷淡で残酷な現代の戦争。」ドローン・オブ・ウォー さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0冷淡で残酷な現代の戦争。

2015年10月10日
PCから投稿

現代の戦争はこんなにも退屈。

心配に震える若者の集団に、ぜひ観て貰いたい一作です。
現代の戦争の形態は、戦後70年の間にこんなにも変わっている。
(勿論、戦争の定義も、大きく変わっている)
本作を観れば、徴兵制なんて非効率なことは、軍事的にありえないとよく分かる。
心配の種が、一つ減ることになればいいと思う。
現代の戦争は、狭い部屋で無人戦闘機=ドローンを遠隔操作し、紛争地帯でのテロリストの監視、場合によっては爆撃、味方の軍の支援を行う。

陳腐な表現ですが、ゲーム感覚で人を殺す。
生身の感覚がないこと、実感がないことが、逆に主役であるイーガン少佐(イーサン・ホーク)の心を蝕んでいく。アルコールにおぼれ、奥さんとの関係も悪化していく。
ただし、本作のテーマは面白いとしても、主人公が落ちていく姿は、他の映画とかなりダブる。
もっと主人公の心の暴走が観たかった。

冒頭に「現代の戦争はこんなにも退屈」と書きました。
そこには仲間はいない。
目の前に敵もいない。
自分が怪我をする心配もない。
隣の仲間が死ぬ心配もない。
ただドローンを通して見る映像と、自分の指の下のスイッチだけ。
暗いコンテナが職場。
孤独。
淡々とした業務。
ラスベガスにはこんな基地が、本当にあるんです。
ドラマティックな展開はありません。
ですが、冷淡で残酷。
これこそが、現代の戦争なんだと思います。

因みに原題の「GOOD KILL」は戦闘終了にかける言葉。
いわゆる「GOOD JOB」の軍隊スラングです。

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さぽ太