劇場公開日 2015年10月1日

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「戦争の恐ろしさの本質は、 人を殺すところにある」ドローン・オブ・ウォー 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争の恐ろしさの本質は、 人を殺すところにある

2015年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

戦争の恐ろしさの本質は、
自分が殺されることではなく、
人を殺すところにある
ということを痛切に感じる。

NASAが2011年に「もっともリアリスティックなSF映画」に選んだ「ガタカ」
のアンドリュー・ニコル監督が、綿密な取材に基づいて書いたのだが、
国の秘密に迫りすぎたためビビった大手制作会社が一切話に乗らず、
苦労の末やっと完成・公開に至ったという作品。

それだけのリアリティは、たしかにある。

イーサン・ホーク演じる主人公トマス・イーガン少佐は、
以前はF16に乗って出撃していたのだが、
今はアメリカ国内、ラスベガスのすぐそばの基地で
無人攻撃機(ドローン)を操縦する。

戦闘があるわけではない。
ただひたすらモニタを見つめ、
無人機から目標の人あるいは建物に向けてミサイルを発射し、
爆破に成功すると
「Good Kill.」
と言う。

自分の身を守る、という名分はない。
あるのは「殺さないとやつらは我々の同胞を殺す」
という理屈のみ。

そして、
自分の身を危険にさらさずに
納得がいかなくても命令に従い唯々諾々と
「テロリスト」を殺すという行為に、
次第に耐えられなくなってゆく。

しかも極秘任務だから、
その心の内は、誰にも――
妻にさえも打ち明けられない。

その行き着く先は…

島田庵