「シュメール語を理解する珍しい人なのに離しちゃダメ。水素系」ワンダーウーマン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
シュメール語を理解する珍しい人なのに離しちゃダメ。水素系
近年珍しく第一次世界大戦が舞台となったDCコミック映画。特にマスタードガスを中心とした毒ガスが扱われている。ナチスではないドイツ軍の中にドクター・ポイズンという異名を持つイザベル・マル博士(エレナ・アナヤ)がその中心であり、実在の人物ルーデンドルフ将軍(ダニー・ヒューストン)が我が物顔で毒ガスを扱うといった構成だ。毒ガスと言えば、広島県にある大久野島に大日本帝国陸軍によって秘密裏に毒ガス研究施設が造られていたと報道番組で特集されていたことが記憶に新しい。
ワンダーウーマン=ダイアナ(ガル・ガドット)はアマゾネスの島セミスキラで、母親ヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)の子として生まれる。女ばかりの島でどうやって生まれたという疑問を誰しもが持つのだが、島に不時着したスティーブ・トレバー(クリス・パイン)も例外ではない。尋ねると「母親によって粘土で作られ、ゼウスが息を吹き込んで産まれた」と答える(驚)。『バットマンvsスーパーマン』でも、美しく勇ましいダイアナの姿を堪能したのですが、実は粘土だったんですよ!粘土・・・しかも100年以上生きているという・・・映画『アマゾネス(1973)』をご覧になった方は年に1度の交配行事があることを予想してたかもしれないけど・・・
世界では大きな戦争が起こっていることを知らされたダイアナはスティーブとともに島を後にしてロンドンへと旅立つ。ダイアナは世間知らずのお姫様なのですが、博識で何ヵ国語も喋れるという超エリート。スパイであるスティーブがドイツ軍から盗んできたノートのシュメール語をも解読できるのだ。「これは毒ガスの化学式ね。しかも水素系の・・・」とか。さらに、戦争をやめさせるというダイアナの意気込みも「軍神アレスを倒さなくては」と、イギリス軍から見ると浮いた存在になってしまう。頭がよくても、世間知らずなので、“前線”の意味もわからないところがちょっと可愛い。
こうしたやりとりの後で、結局は参戦してしまうダイアナ。塹壕から飛び出し、集中射撃を浴びるものの、彼女のブレスレットはどんな弾もはじいてしまうのだ。砲撃となれば強力な盾が防いでくれるのだ。一気に突撃をしかけ、一つの村を救うことになるのだが、司令部に乗り込んでからは村が悲惨な攻撃を受けてしまう。怒るダイアナ。とにかく怒れば怒るほど強くなっていくワンダーウーマンなのだ。ルーデンドルフと対峙するダイアナ。彼こそがアレスだと思っていたのに、本物のアレスは・・・という展開。
迫力もあるし、戦争も背景にあるし、141分もあるし・・・と、超大作映画ではあるが、なにか物足りない。トレバーとの恋愛部分も違和感のせいだろうか、相手は粘土ですよ!粘土!と声に出してしまいたくなったせいかもしれません。毒ガスが漂ってる中を平然と歩く姿を見ても、粘土だからなぁと頷いてしまう。“兄”なんていう言葉も付け足しのように出てきますが、ゼウスには子供がいっぱいいますから・・・
【2017年8月映画館にて】
地上波でやってたので、久しぶりに見ました。粘土のくだり、確認!でも、結構カットされてるシーンがあったようで残念!特に、200着以上試着した後、ゴッドキラーのでかい剣を持ち歩いてたダイアナにスティーブが注意して、秘書に持たせる箇所、カットされてました!有り得ない!ローマの休日としては、欠かせないシーンなのに!!
kossyさん、両方いいですよね!方向性というか狙いを変えているところに、頭の良さというか考えに考えて、1984の方を、今の私達の心に響く映画にしたんだと思います!