「理想の女性像の変化」ワンダーウーマン nagiさんの映画レビュー(感想・評価)
理想の女性像の変化
面白かった。ガル・ガドットの美しさはさることながら、最近、午前10時の映画祭で「オードリー・ヘプバーン特集」をやっていて『ローマの休日』を観ていたので、より楽しめた。
ガル・ガドット演じるダイアナが、大切な人を失うことで自分の使命に気づく様が、さながら『ローマの休日』のオードリーの姿に重なるのである。
外の世界を知らないプリンセスが外の世界をお散歩するというだけにとどまらず、例えば、クリスパインが女性と寝ることについて恥じらいながら説明するシーンや、ダイアナが駅で初めて食べるアイスに美味しい美味しいと言ったり、"ハロー"の掛け合いから始まるロマンチックなダンスシーンだったり...『ローマの休日』へのリスペクトが随所にみてとれる。
また、町山氏の解説を読めば詳細にわかるが、本作ではフェミニズムの観点においても重要な役割を果たしている。当時のロンドンでは女性参政権が認められていなかったり、女性は戦わなかったり... 。
女性の参画・社会進出も進み、フェミニズムが随分認められるようになったこの現代に、まさに素晴らしいタイミングで発表された本作品は、女性監督作品として最大の興行成績をあげた。
それはやはり、今の女性は「オードリーヘプバーンのように可愛く」なることが憧れとされた50年前から、「ガル・ガドットのように、可愛く、かつカッコよく」なることが憧れとされるようになったという変化の表れだろう。
過去の現代の社会精神をも如実に反映した、まさに傑作だ。
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