「犬と子供、鉄板の設定だが脚本に難あり」ベル&セバスチャン 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)
犬と子供、鉄板の設定だが脚本に難あり
2015/09/28、イオンシネマ港北ニュータウンで鑑賞。
子供と犬という組み合わせで面白くないわけがないんですが、前に原作が日本で「名犬ジョリー」というタイトルでアニメ化されたらしく、もしかして子供向けかな?と不安に思いつつも、皆さんの評価が高いので鑑賞することに。
しかし映画が始まると、アルプス山脈の壮大な自然をロケ地に本格的に撮っているなと感じて、これは面白い、と確信しました。最初は。
不心得な猟師に母親を撃たれて絶壁に取り残された子カモシカを救うために、年端もいかないセバスチャンを紐に括りつけ、恐ろしいほど高い崖から下ろす父代わりのセザールじいさん。それを怖がりもせず受け入れるセバスチャン。この関係を見た時、厳しい大自然の中、厳格にも温かい目で見守る保護者とそれに信頼しついていく子という関係が見えて、とても期待したのでした。
しかし話が進むと、セザール爺さんは酒好きで古い考えにとらわれ頑なで、セバスチャンを学校にも行かせないちょっとダメな保護者でした。
セバスチャンの方は家の手伝いもそこそこに山で遊んでばかりの普通の子でしたw
ベルとの出会いも最初こそ警戒されるも、割とあっさりなつかれて、この犬あまり人を恨んでないのかな?という感じ。
灰色で割とスリムだったベルが川で洗ってあげたら、真っ白でふかふかになって、別の犬のようになったのは笑った。
ベルがユダヤ人の国境越えを案内するシーンでは、どのように役立ったのかわからない。しかもクレバスにかかった雪の橋を渡るのにビビって更に落ちてるし。
なによりも最後のアンジェリーナの決断がありえない。まだ小さい子供と犬だけで、クレバスもあり雪崩の危険もある雪山を一人帰らせるなんて。
ちょっと大人の目で観ると、突っ込みどころがありますが、いい話だったし、子供の情操教育にも良さそうな映画でした。