「検事達の個としての強烈な正義感と国を良くしたという崇高な使命感に、圧倒され羨望を覚える」顔のないヒトラーたち Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
検事達の個としての強烈な正義感と国を良くしたという崇高な使命感に、圧倒され羨望を覚える
ジュリオ・リッチャレッリ監督による2914年製作のドイツ映画。
ナチスドイツによるホロコーストに関わった収容所の幹部を戦後ドイツ人自身によって裁いた1963年のフランクフルト・アウシュビッツ裁判開廷までの道のりを、フィクションを交えつつ事実に基づいて描いているらしい。
この裁判に関して、ドイツ国内に大きな抵抗や反対があったことを初めて知った。また当時、一般国民でアウシュビッツにおけるホロコーストの史実が風化していたことも初めて知った。そして、この裁判を成立させるために、有名らしいフリッツ・バウアー、その他検事達の個としての強烈な正義感と国を良くしたという崇高な使命感があったことを知った。
それら検事を、身内を裁く葛藤も含めて説得力も持って演じた、アレクサンダー・フェーリング、ヨハン・フォン・ヒューロー、ゲルト・フォスが、とても良かった。そして、日本と違って、自国の戦争犯罪を困難はあったが何とか自ら捌けたドイツの歴史に羨望を覚えた。
何がこの差をもたらしているのだろうか?自分も含め日本人の大きな問題を、突きつけられた思いがした。
製作はヤコブ・クラウセン ウリ・プッツ サビーヌ・ランビ、脚本はエリザベト・バルテル ジュリオ・リッチャレッリ、撮影はマルティン・ランガー ロマン・オーシン。
美術はマンフレート・デーリング、衣装はアンヌ・プラウマン、音楽はニキ・ライザー セバスチャン・ピレ。
出演は、 アレクサンダー・フェーリング(ヨハン・ラドマン検事)、フリーデリーケ・ペヒト(恋人)、アンドレ・シマンスキー(記者)、ヨハン・フォン・ビューロー (オット・ハラー検事)、ゲルト・フォス (フリッツ・バウアー検事総長) 、 ハンシ・ヨクマン(秘書)。