「日本のファッション界に現れた最初で最後のかぐや姫」氷の花火 山口小夜子 もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
日本のファッション界に現れた最初で最後のかぐや姫
僕が山口小夜子さんを知ったのは、今年の近代美術館での展示でした…ファッションに携わって結構時間は経つのですが、お恥ずかしながら、世界で最初に活躍した日本モデルということしか知らず、展示は衝撃的でした。
山口小夜子という人を知るにつれその人の、容姿だけではない、その人の努力、好奇心、仕事をすることに対する姿勢、生きることに対する姿勢…その人に魅了をされて、小夜子さんという人には永遠にお目にかかれないことに喪失感に駆られました。
この映画はその喪失感を少しでも埋めてくれる映画です。監督が素の小夜子さんを掘り起こそうと、その在りし日の姿に真摯に向き合ったからかもしれません。たくさんの遺品を紐解いて、たくさんの小夜子さんを知る人々にあい、主観ではない事実を丁寧に掘り起こす。
そこで、改めて、小夜子さんについて語る方々がとても偉大な人たちなのですが、それを微塵も感じさせず、かつ昨日のことのように話している、その話の鮮度を見ると、この人たちの中でも小夜子さんが今も根付いていることに感じ入るし、その感じがまた心地よかったです。
ファッション界に現れた、正真正銘の日本人の小夜子さんは、当時の欧米に憧れ、でも臆することなく、日本人としてではなく個人として真っ向から勝負して、さらに自分を高めるために、誰に何を言われようと自分の興味を突き詰めて…。
こんな人が日本にいてくれたことが、本当に心の支えというか、誇りになる…自分の生きている道が間違っていなかったって勇気をもらいました。
取り止めもなくなってしまいました…すいません。
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