劇場公開日 2015年10月31日

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「Forever young」氷の花火 山口小夜子 SHさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0Forever young

2015年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

萌える

制作者、取材者、すべてが山口小夜子を愛していた。彼女について熱く語る人々に笑い、そして同時に涙する。
とにかく山口小夜子の魅力を伝えることだけを目標に制作されていたように思う。この映画が評価されるようなことがあったとしても、それは山口小夜子がそれだけ魅力的であったから─、そういった潔さを感じる。
インタビューで登場してくる人々は、山口小夜子という強烈な個性がそうさせたのかどうか分からないけれども、すべて個が強い人ばかり。その一つ一つの個というものをしっかりとカメラで収め、映像の中にしっかりと詰め込まれているがために、終始飽きることがなかった。カメラの映像そのものは決して美しくはなかったように思ったのだが、捉えて収められている物事に無駄なものは全くないように思った。
映像そのものが美しくなかったこと、それは意図的なようにも感じる。この作品は、とにかく山口小夜子を魅力的に美しく伝えることを最大の目的としている。故に、個人的に一番美しいと感じた画は山口小夜子、次が月でその次が松島花だった。山口小夜子の過去におけるビデオ映像も多用されていて、映像の質も芳しいものではない。彼女自身美しい存在であることは間違いないことではあるけれども、それでもなお過去の劣化した画を美しくないと感じさせないように、敢えて映像そのものを美しくさせていないように感じた。

当初、レジュメなどで映画のことを見ても全く魅力的に感じなかった。それがなぜ劇場に足を運んだのか…
それは動く山口小夜子と彼女の声が原因だったのかなと思う。とくにインタビューを受けている山口小夜子は実に魅力的だ。
そしてまた、彼女が見ていたであろうビデオや本のタイトル群を見たとき、コクトー、死刑台のエレベーター、寺山修司、安部公房、などなど確認したとき、自分は山口小夜子に導かれたのだなと感じることができた。何せ、彼女は霊感が強かったようなので、自分ひとりくらい導くことなど容易だったはず。自分には霊感など全くないのだけれど…。

地球上に降り立った女性は再び月に帰っていった。今度、月夜にありがとうと感謝しよう。

SH