劇場公開日 2015年9月5日

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「「映画」とは」天使が消えた街 ☆さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「映画」とは

2017年1月30日
iPhoneアプリから投稿

出だしから神曲(しんきょく)のようなものが流れてきて、あぁ ただ事ではない(バットエンドか問題提起してくるタイプの)作品だなと感じた

フィクションなのかノンフィクションなのか
劇中にも言及されているように2つを織り交ぜることで問題を提唱する

生と死、妻の元に戻るか新しい彼女を迎えるか、地獄から煉獄へそして天国へ

作中で監督を演じるキャラクターの理想そのものが映画になっている

最近、映画を作る側に関する映画を立て続けに見ているんですが、中でもこれが私の中ではダントツで好みでした

ドキュメンタリーのようでもあり、史実のようでもあり、でもそのどれにも至っておらず
見ようによっては中途半端な と思いもするけれど、それこそが生と死と人生なのかなと

ダンテを読んだことがないので自分の解釈があっている自身はないけれど…

地獄とは
妻を奪われ愛する娘と会うのもままならず、映画監督として新たな作品が出せていない(スポンサーの求めるものではなく彼の想う作品を出したいという思いが強いが故)という状況
また、真実を追求しようとせずうわべしか報道しないメディアへの憤りも地獄であり、煉獄への橋渡しかな

煉獄とは
真実を見つけられなくて薬に手を出し始めてから。誰も信じられなくなって真実を見つけられずに、プロットもうまくいかずに何も進まないという試練、というかままならない状況

天国とは
ここは見てたらわかるけれど、答えを、真実を求めてくすぶっていたけれど、それがわからずともダンテ巡礼の時に穏やかな雰囲気になっていたので 裁判後が天国かな
煉獄からの解放は元妻ときちんと話し合おうと決めて前に進んだこと

結局こうやってみると、事件については監督の成長?のためのファクターであって真実がどうだったかとかわかんなくてもオッケーだったんだなぁと
気になりはするけど実際 真実がうやむやな事件だってあるだろうし そういうままならないのが社会なのかな

監督の書いてるプロットが映像と一緒に流れるシーンは特に好きです
脚本から映像ってこうやって撮るんだと感動

ほんとに、起承転結 答えを必ず求める人にとっては「だから 何がどうなった????」って映画なんだけれど、キャラクターの語る「撮りたい映画」「映画とはこうあって欲しい」と思うように物語が進み スポンサーやオーディエンスが求める「商品」ではなく 映画としてあるべき形で映画ができていて素晴らしいと感じた

なかなか 映画業界も大変(日本はそうだけど海外はどうなんだろ?)で 売れるものを作らなきゃスポンサーにもついてもらえない。でもそれが果たして映画のあるべき姿なのか。
その問題提起がいちばん感じられて、自分もそう思うところがあるのでいい作品だなと感じた

☆