この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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たくさんの人に見てほしい映画
こうの史代さん作品は、夕凪の街 桜の国を映画、原作共に鑑賞済みだったので、この予告編を見てからずっと楽しみにしていました。
重いテーマではあるものの、所々クスッと笑える部分もあり…
その笑える部分があるからこそ、空襲や原爆の悲惨さや辛さ、残酷さをひしひしと感じました。
後半あたりからは涙が止まらなかったです。ぼんやりとして何もわからないままの自分でいたかった…この言葉が胸に来る。
今年大ヒットのあのアニメもよかったですが、こちらの方がより心に残る作品になりました。
凄い・・
もっかい観よう・・
日常に戦争が入って来て・・
野火と違う方向からの戦争体験というか、より感情移入出来るから、よりじわじわとショックを受ける・・
思い出しては泣けてきてしまう。
のん(能年玲奈)さんの声とっても良かった。コトリンゴさんの音楽も!
ほんわかした絵なのに、凄く生々しかった。
12/8追記
すずさんはりんさんの代わりに北条家に来て、恋に落ちて一緒になるのではなくて、一緒になってから愛を育てていく、というのは、現代ではあんまりないのかもしれないけど、でも実はそんなものなんじゃないかと思う、時間をかけて育てていく、という考えかたはいいなぁと思う。好きになる要素がある人ならば誰とでも育てていける可能性があって、この人でないといけないってことはなくて、誰も誰の代わりにはなれないけど違う形で必要なものにはなれて、結局は代わりにだってなれるんじゃないか。
悲しいけど、やりきって生きて行くんだ。
エンドクレジットで
「かなしくてやりきれない」を流されたら席を立てないくらい号泣してしまっただろう。
だけど、この作品が伝えたいことは“抗えない苦しみに耐える悲しさ”ではないんだ。
その先の希望に満ちた(というと陳腐だけど)活力と優しさなんだ。
とか思い返してみると、一層ジワジワくるんだよね。
能年玲奈ちゃんも「あまちゃん」以来やっとイイ役に巡り会えた。
僕もはじめ能年玲奈がこの声を当てると聞いた時、「えっ?!」って思ったけど、今となっては能年玲奈以外考えられないし、すず役として完璧だったとおもう。
コレで、こうのふみ代ブームが来て「さんさん録」とか「ながい道」とかが連続ドラマになったりするとイイのにな。
戦後71年の今だから
暗い影も明るい光も音も立てずにそれは忍び寄る・・・ 何気ない日常に、阿鼻叫喚の地獄絵図の最中でも。
漫画が原作ということで、アニメのタッチや風景、キャラの画風がホンワカしていることと真逆にストーリーの過酷さのギャップの激しさにこの作品の深いメッセージが強くスクリーンに映し出される。
今年は邦画アニメの当たり年。ご多分に漏れず、話題作は観てきた。観た後はどれも今年最高のレベルを評価してきたが、この作品は自分の今までの考えを打ち砕くほどの最高の内容だ。『火垂るの墓』は実はしっかりとは観たことがない。だが、今後、毎年、お盆の時期は、この作品は絶対にテレビで放映すべき作品である。音もなく重層的に畳み掛ける不遇。その総てを回収して余りあるラストへの序章。その総てが回収されるカタルシス。不幸も幸福も総ては音も立てずに忍び寄るのだ。
この映画のクラウドファウンディングは、去年にイヤと言うほど、テアトル新宿の予告時間で観た。その時の自分の考えに今、ケリをいれたい。何故にこんな傑作に寄付しなかったのか・・・参加すべき映画をみすみす逃す浅はかさに、今、完膚無きまでに打ちのめされている。
震災も勿論大事。だが、日本はその前、71年前にはもっとボロボロな出来事があったのだ。
今一度問う。自分は『この世界の片隅で』生きてて良いのか?・・・
~追記~
一日経ってもまだ、ラストシーンが頭にこびりついて離れない。
自分の目の前で吹っ飛ばされた大事な右手と、かけがえの無い姪。総てが自分のせいだと被虐に泣くすずが広島で縋ってきた小さな女の子。彼女も又、かけがえのない母親を原爆によって失い、路頭に迷った末の出会いであった。母親の右腕は無数のガラスが刺さったままであり、すずは爆風で右手が無い。その無くした者通しが惹かれあい、運命のままに受容れる。かすかだが、目映い光に満ちた希望なのだろう。。。この出会いの為にもしかしたら死なないで良かったのかもしれないのだ。
アニメで味わう「しあはせの手紙」
原作既読でめちゃくちゃ原作を愛している人であり、
ゲーノーカイの掟によって辛酸をなめているであろうのんちゃんを
(生きてるけど)草葉の陰からこっそり応援する人である、わたくし。
公開初日に一般料金1800円を払って観て参りました「この世界の片隅に」。
とってもよかったです。
漫画では、消えてしまったすずの右手が語る物語があるのですが、
その語りがコトリンゴの歌の歌詞に混ぜ込まれていて、感激しました。
その言葉は聞き取れたり聞き取れなかったりする、ささやかな音量で、
その配分はわざとよなーと思っていました。
のんちゃんの声はすごく個性的なので、それが美点でもあるのですが、
どこにいても聞き分けられる声ですから、のんちゃん自身が浮かんで離れないとか
ないかしらん、合うのかしらどうなのかしらと思っていましたが、杞憂です。
すずとして、生きていました。
原作を読みまくっているのですが、漫画はわりと飛ばし読みしてしまうので、
端々まできっちり読み込めてないことが多くて、
タンポポが白いとか、そんなせりふあったっけとか思いましたが、
帰って漫画を見てみると、ちゃんと書いてあるがな…と自分にがっかりしました。
りんさんの話が殆ど無いな(周作さんはりんさんにほれてたんですよ…)という点に、
ちょっとだけ残念に思っていましたが、でもエンドロール後の右手が描く紅の絵で、
りんさんが描かれていたので、まあ許そうという気分。でも、遊郭に遊びに行ったり、
木登りしたりが無くて残念だなー、という事で、マイナス0.5です。
あらすじは既に知っていますから、新鮮な感動とはいきませんが、
それでもB29の大群が飛ぶ空の恐ろしさ、爆弾が街や家屋に突き刺さる
描写に戦きました。はるみさんをなくしたお姉さんが、すずをなじるところや、
その振る舞いをのちに謝るところなど、原作でも心が震えた部分で改めて
ぐらぐらと心が震えました。
おねえさんが私には泣きのツボなんですよ・・・
あとは、すずと周作がドブでけんかしながら抱き合うところね。
なんとも言えないエロスを見出し、にやにやします。
防空壕でのちゅーもいいですが…
漫画の最終回の「しあはせの手紙」が大好きで、
「今これを読んだあなたは死にます(表記は原文と異なります)」
から始まる2ページにいつも、打ちのめされるような救われるような悲しいような幸せなような気持ちになるのです。どうしていいかわからず泣くしかないのです。
その気持ちを映画でも感じられて、本当に嬉しかったです。
ヒロシマ感が無いのが良い
個人的に廣島県人会(自分だけ会員)に所属しているのです。
見んといけんのじゃ。
原作を読んでいる者なので、そう気構えずに行きました。(原作も「ヒロシマ」感はないです。)
他の作品と抱き合わせで1日2本目でしたが、そんなラフな人間でもなんか最後まで見ていられます。
ちょい辛いのは、「後悔」「喪失」がスゴく身に迫るところ。
のんさんの声でそういう切迫感が出るかは予想がつかないくらいのほとんどの明るい場面と違う。
はだしのゲン的な悲惨さやグロさは全くないのだけど、逆に辛かったなぁ。
でもまぁ、個人的に原作で辛いエピソードは抜いてありますが。
あと、街並みが素晴らしい。
戦前の広島も呉も知らないけど、「そうだったのか」感がして嬉しい。
写真とか地図とかでは知っていても、そこに人が生きて動いている街というのは全然違うものだなぁ、掘り返してしっかり残してもらえてありがたい。
という意味でぜひ見て欲しいです。
親世代と見て、改めて感想を聴きたい映画です。
もっと上映館を!
原作未読です。
心に深く、深くしんしんと沁みわたる作品でした。
強く優しく、習慣にとらわれながら、良くも悪くも昔の日本の生活がある。
例えそこに戦争という影があっても生活は続き、人々は明るくあろうと生きてゆく。
たんたんと展開していくなか、序盤から随所に笑いが散りばめられていて、とても和やか。
水彩画のような世界観も暗くなりがちな戦争映画とは一線を画していてホッとさせられます。
しかし日付が(昭和)20年に近付くにつれ、胸がざわついていたのは私だけではないはず。
そして8/6を待たずに起きる事件。
不意をつかれて胸がしめつけられます。
今の時代に生きる私だから、ついすずさんに幸せになって欲しいなどと思ってしまいますが、そんな私を嘲笑うかのように物語は続き、私の上から目線の同情など恥ずかしいくらいに強く生きる登場人物たち。
最後のエンドロールまで全てが物語で、タイトル通り、かつての日本に確かにあったであろう物語。この世界の片隅にあった物語。
満足の2時間でした。
正直言うと、声優能年のんさんが未知数過ぎておそるおそる観賞しましたが、全くの杞憂、いやむしろのんさんが最高にすずさんでした!
何度も出てくるアチャー(?)という口ぐせもぜんぜんくどく感じさせず、笑顔を分けてくれるアクセントになっているように感じました。
ずっとゆるふわだっただけに終盤の感情の爆発の場面の鬼気迫る感じが臨場感溢れていて素晴らしかったです。
強く優しく柔らかいすずさんに感情移入120%です。
ぜひ多くの人に見てもらいたい。
上映館がとても少ないのが残念で仕方ありません。。
増やして~( ・ε・)
1/11追記
正月に両親を連れてまた観てきました。
母はとても喜んでたし、父も「しみじみニヤニヤしとるんじゃ」で声を出して笑ってました。
良かった(^w^)
この世界の片隅に
果たして戦争映画かどうかすら分からなくなるぐらい普遍的な何かを映し出しているように思う。戦争論というよりも、戦争という事象は背景に過ぎず、人が生きる姿、人生論なのかもしれない。
一市民から見た戦争描写は非常に斬新なものが多く、未だかつてない描写力で、自らがその場にいればこういうものかもしれないと納得させられる。
見た中で色んなシーンが焼きつき頭の中で色々と反芻してしまう。そんな中でも玉音放送のシーンは強烈な印象が残る。8月15日に戦争が終わることを知る私からすると、何とか終戦を迎えて安息を得てくれと思いながら見ており、ようやく辿り着いた安息日にこっちとしてはホッと胸をなでおろす所だが、それを見事に裏切ってくれる主人公の感情の爆発。終戦に泣き崩れた人の感覚はこれまでイマイチピンとこないものであったが、そうだよなぁ、これまで色々失っていく中で、いつかは自分も死ぬかもしれないという思い、それが定めと考えていたかもしれない。しかし、一転して自分は失われないと分かったとき、それまでが全て不条理になり、失った者に対するやるせない気持ちを一気に背負わされる。そんな気持ちにこれまでなれなかったよ。
絶対見てほしい!心に残る名作
2016年、様々なアニメ映画がヒットしましたが、その中でもダントツ1番に良い映画でした。
戦時下の生活を追体験しているかのような、生活してる!っていう感覚を持つことのできる映画。
戦時下を特殊な形、地獄のような苦しみとして描くことが多い中で、この作品は喜び、楽しみを描いていることが、まず凄い。
戦争の気配が少しずつ生活に影響を与えているんだけど、変わらない日常を送ろうとする人々を描いている。変わらない生活を送ることで、彼らも戦争を戦っていたのだと思えてくる。
苦しいこと、悲しいことを我慢し、表面的には楽しげに振る舞う。そこが、見ている側としても、表面的には楽しいのだけど、同時に悪化する状況に、そこはかとない恐ろしさ、やり切れなさ、悲しさを感じずにはいられない。
それが最後に、普段はおっとりしたすずさんは感情を爆発させ、人知れず泣き叫ぶのだ。戦時下では悲しい時に人前で泣くことは非国民扱いだったそうだ。泣きたい時に泣けない、感情も殺されていたのだ。
失った右腕は、心の喪失とか、本当に大切な気持ちを戦争に殺された、ありとあらゆるものが戦争に奪われた、そういう全てをひっくるめた象徴を意味している。
ただ悲しみを引きずるということではなく、これからをどう生きるか、そういうメッセージが伝わるので、鑑賞後はとても気持ちのいい気分になる。
生きることの大切さ、今ここにいる喜び、その全てが、本当に大事なものであると思えるのだ。
本当の名作というのは、こういうもののことを言うのだと思えた。是非とも、いろんな人に見て欲しい映画だし、今はなんとも思えなくても、今後いろんな経験を積んでいく中で、この作品が言いたかったことが少しずつでもわかってくると思う。心に残る傑作。
ちなみに、のんの声は、皆さんが言うように、すごく合ってると思います。日常での朗らかな感じもだけど、感情を爆発させる時の力強さも兼ね備えた素晴らしい演技だと思います。
2016年一位!
事前の期待値を余裕で上回る作品だった。
のどかな風景の描写と苛烈な爆撃に晒される描写。配給や雑草まで雑炊にして生きている人間と戦争の最中でも虫、鳥、花々は普段と変わらずに生きている。全てが対比になっている。
そして未来を生きる我々は全ての答えを知った上でこの作品を観ているから、「あっ、それはダメ!」なんて心の中で呟きながらみていた。
もう、正直嗚咽しながらの鑑賞だったし、劇場の雰囲気も同じだった。
今年、邦画は特に良作が目白押しだが、今年のベストに推して間違いないと思う。傑作です!
沢山の人に見てほしい
ぐわっと、心を鷲掴みにされました。
オープニング2分で涙が知らぬ間にぽろっと。
決して、泣かせてやろう、ほら感動しなさい、と仕掛けてくる作品ではないです。
笑える箇所もたくさんあります。
でも、戦争の爆撃シーンなんか
ほんとにはっとさせられ心が痛くなります。
戦争とは‥‥とこ難しいことより
戦時下でも幸せに、普通に生きていたい人の当たり前の日常、それを丁寧に描いてます。
この作品、本当に100年先にも伝えたい
この作品のキャッチフレーズは「日本中の想いが結集!100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション」とある。
はっきり言おう、私もそう思った。
前半は平和なこの当時を生きる人々の平和な日常、生活を描いている。
この前振りがあるからこそ後半の厳しい現実がどれほど辛く、怖く、悲しいものか伝わって来る。
私は戦争を経験していない、経験したのは祖父や祖母の世代の人間だが、私は初めて戦争が怖いと感じた。
どの世代の方にも見てほしい、珠玉の作品だ。
この世界の片隅に
暖かく、懐かしく、優しい思い出を祖母の膝で聞いているような、いつまでも聞いていたいような・・・そんな感覚で、出だしから一気に心を掴まれる。今まで見たいわゆる『戦争映画』は、自己犠牲的だったり襲いかかる悲劇で落命したりと、どこかで感動を強いられるというか、辛く重苦しいものばかりだったがこの映画は全く違う。変化してゆく環境にそれでも日々、楽しく、頼もしく愛し愛されながら生きているすずさんがとてもとても愛らしい。彼女の生きる環境も、不便さはあれども染み入るように美しい。(背景美術の素晴らしさ!)・・・それ故に後半に入り、為す術もなく抗うこともできずに破壊されてゆく様と、すずさんを襲う運命の過酷さには、その愛おしさ・美しさ故に狂おしいほどに辛く感じるが、その後描かれる『戦後』も続く生活と、(これが描かれていることも特筆すべきことと思う。)やがて来る希望の小さなタネのような出来事に、見ているこちらまでが救われる。エンドロールの最後の最後まで見逃すことができない。その最後に、どれほどの救いと優しさが詰まっているか・・・。何度も、何度でも観たいと思わずにいられない作品だと思う。主演ののんさんの声は、すずさんの鷹揚さと包容力のある、そして芯の強さも伺わせる多重構造の魅力の全てを表していた。共演者の方々の演技も、見事という他はない。
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