この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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ようやくの鑑賞
他人事とは思えず思わず涙してしまいました。
この映画、予習を全くせずに、とにかく、のんさんが主演声優を務められるということを楽しみにして観に行きました。
フライヤーの朴訥な絵柄も大変気に入りましたので。
ところが、これがかなり困った映画になってしまいました。
そんな思い出でアマプラで再鑑賞です。
すずが右腕を失って大好きな絵を描くことができなくなってしまったじゃないですか。
あれ、まさに自分に重なったんですね。
私5年前に脳梗塞で倒れてしまいまして。
幸い大事には至らず、日常生活には支障なく済んだのですが、どういう訳か?
多分、機能障害に陥った右脳の空間把握能力だか創作能力だとかが全くオシャカになってしてしまったためかと思います。
私も大好きだったイラスト描きが全くできなくなってしまいました。
そんな感じで、何度も何度もうるうる来そうなところをぐっと我慢して、スクリーンに見入っていた訳ですが。
すずが庭の木に引っかかった障子を見つけて、自分の描いた過去絵を回想するシーンで、とうとう涙腺が崩壊してしまいました。
当時はコロナ禍以前でしたので、マスクでそれを隠すこともできず、人前で恥ずかしげもなく、うっくうっくと嗚咽を漏らしてしまいました。
今回もやはりPCモニタを前に喉からこみ上げる涙を流してしてしまいました。
名作って色褪せない。
映画を観て泣いたのは、私の鬱病が原因で離婚した直後に観た『いま、会いにゆきます』以来だったのですね。
ひまわり畑で抱き合うふたりを見ながら、わたしたちもきっとああいう感じで、ずっと愛し合えるはずだったのにな…と。
おちゃらけて、バカみたいな駄文をだらだらと書き連ねる私にも、こういう悲しいバックボーンがあったわけです。
まいったか。←こういうのが、いつも余計(笑)
戦争に翻弄されても強く生きる人々
本作は、従来の反戦映画の枠を超越した傑作である。今まで、自分の中で太平洋戦争を風化させないため、この戦争を題材にした数多くの作品を意識して観てきたが、本作は、そのどれとも違うメッセージを我々に提示している。
本作では、空襲、原爆投下も描かれているが、あくまで太平洋戦争は戦争の具体例であり、戦争の不条理を客観的に描くことに主眼を置いている。
本作は、太平洋戦争下の広島県呉市を舞台にして、広島市から嫁いできた主人公・すずを中心にした市井の人々の日常生活を丁寧に描いている。そんな細やかな生活にさえ、ヒタヒタと戦争の影が忍び寄り、ついには、空襲が始まり、主人公達は戦争の不条理に翻弄されていく・・・・。
主人公達の生活は、戦争の影響で段々困窮していくが、主人公は、創意工夫をした食事で乗り切っていく。主人公には、仄々とした温かさがあり、とても微笑ましく細やかな幸福に満ちている。ホームドラマを観ているような雰囲気がある。主人公を演じる のん のキャラが奏功し、掴みどころがない、メルヘンチックで、不思議系の主人公のキャラが際立っている。
そんな主人公達にも、容赦なく戦争が牙をむき、これでもかこれでもかと襲い掛かってくる。無防備、無抵抗な主人公達、そして、TV報道される今も世界各地で起きている戦争に苦しむ市井の人々のことを思うと涙が止め処もなく溢れ出てきた。切ない、悲しいなどという感傷的な涙ではない。戦争の不条理への強い憤りで唇がワナワナと震えてきた。涙量が多くて、暫く画面が霞んで観えるほどだった。
本作は、戦争の不条理を客観的に描いているだけではない。終戦直後、主人公達が進駐軍の食べ残しを食べて美味しいと言い、自宅での食事を不味いというシーンが象徴的である。戦争が終わって街が焦土と化しても、食料不足であっても、主人公達は生きていかなければならない。生きるって、形振り構わない、強かなことなのだと納得できるシーンだった。
どんな不条理な出来事に翻弄されても、それでもなお、人間は強く生きていく力を持っているという本作の力強いメッセージは人間愛に根差したものであり、心打たれる。すずの屈託のない笑顔はいつまでも記憶に残るであろう。
なぜこれ程までに
共感の涙があふれ出る
主人公のすずさんを通して、戦時下の人々の暮らしの大変さを描いている映画。
それでも、のほほんとして、どこか間の抜けた印象のすずさんがいると、大変な生活も、それだけで楽しい日常に生まれ変わっていく。
そこに共感が生まれ、彼女と一緒に、その時代を生きている錯覚に陥ってしまうほどのリアルな生活感。愛すべき日常。
それが徐々に失われていき、やがて空襲という悲劇が訪れても、「生きる」ことを強いられる。その彼女に、大きく共感して、涙が次から次にあふれ出てきました。
演じる「のん」さんも良かったし、作画も素晴らしい。
音楽も、とても出しゃばらずに作品世界を彩っていた。
何より特徴的だったのは、全編を通じて、「字幕」が付いていたこと。これは、どうやら耳の不自由な人に配慮してのものらしいが、なんだか洋画を見ているような、特別な空間に自分が来ているような感覚になる。不思議な体験だった。
戦争アニメで、「泣く」と言えば「火垂るの墓」が有名だが、あちらはもう二度と見る気にはなれない悲惨なお話だった。
悲惨さでは引けを取らないこの映画も、見終わると救いがあり、これからも楽しくも苦しい日常がすずさんには続くんだと思えたことが、本当に良かった。
2020.9.4
戦争と向き合うすずに感動
自分に続いている道
悲惨さだけにフィーチャーしていない
戦争モノって苦手なのよね、観ててどうしても辛くなりそうで。
『火垂るの墓』とか今でもよう観れんわ。
でもこれはそういう感じでもないと言うか、悲惨さだけにフィーチャーしていない少し違ったアプローチの作品でした。
総合すると素晴らしかった。
子供から大人まで等しくオススメできる作品ですね。
あとあれだ、すず役の主演・のん(能年玲奈)が意外にも……と言ったら失礼だけど凄く上手でハマっていたように思う。
アニメ映画に声優以外を起用すると叩かれがちだけど、これはナイスキャスティング!!
唯一よく分からなかったのは「バケモノ」とか「座敷わらし」?
昭和の時代を生きる人々のリアルな生活・生き方を描いた作品で、あそこだけファンタジー要素入れてきたのは何を表してたのかな…理解力のなさよ…。
他の人のレビューや考察を読んでこよう。
去年のはるみの服じゃこまいかねぇ
戦争ものってどうしても見ていて辛くなってしまうので極力遠ざけていたのですが、今日は何となく暖かくなるような話に触れたくて視聴しました。
全面的に悲惨で辛いというのを打ち出すのではなく戦争禍でも健気に生きる、小さな喜びを見つけられるすずの姿がよかった。
最後のすず達夫婦が孤児を迎え入れたとき、お姉さんがはるみちゃんの服を出してくれたシーンで涙が溢れた。
素敵な作品だと思います。
夏休み、すべての子供達に観て頂きたいと思います 本作の感動は、本作の伝えるメッセージだけでなく、彼等彼女達の中から次代の日本映画の隆盛をもたらす、最高の人材を生み出す力を持っていると確信からくるのです
とてつもない大傑作
疑いもなく日本映画オールタイムベストの屈指の作品です
黒澤明、溝口健二、小津安二郎らの世界に誇る日本映画の傑作をも凌駕するような最高峰の作品です
いくら賞賛してもし足りません
日本映画の最優秀な才能は今や、アニメ業界の中に集中している事が、あきらかになってしまっています
日本映画の最上級の伝統は、実はアニメ映画にこそ受け継がれていると感じました
知性、企画力、構成力、演出力、脚本、編集、音響
何もかも見事としか言えません
演技力だって、のんの声の演技は圧倒的でした
彼女でなければ達成出来ない高みまで作品の感動を押し上げています
彼女の声だけの演技で、本作で描かれていない、すずの幼児の頃から、この本作のエンドロールよりももっとあとのおばあちゃんになったすずまでも感じさせています
すずの全人生が演技となっています
ここまでの傑作を、実写映画では作れない
そこが日本映画の最大の問題であり課題であると思います
例え撮ろうと試みても、考えうる最高のスタッフ、俳優陣を揃えたとしても、とても本作の足元にも及ばないものしか出来ないだろうことは、少し想像するだけで容易に予想できてしまうのです
残念でなりません
一体何故なのか?
そこを真剣に解き明かさねばなりません
夏休み
すべての子供達に観て頂きたいと思います
本作の感動は、本作の伝えるメッセージだけでなく、彼等彼女達の中から次代の日本映画の隆盛をもたらす、最高の人材を生み出す力を持っているとの確信からくるものなのです
良くも悪くも
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