この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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大人向けのアニメーション
ストーリーについては、ほぼ原作通りなので評価は割愛。強いて言うなら原作ファンで議論となったリンの登場シーンについて、自分はいっそのこと全部削った方がストーリーが繋がるんじゃないかと思ったくらい。
あと登場人物皆いい人ばかりw。まぁ悪者出されたら作品が変わっちゃうか。
ただ、少なくとも戦前戦後史を知らないと理解できない内容も多々あり、そういう意味でも、大人向け、若くても中学生以上向けの作品かと思います。
あと、絵についても原作のアナログチックな画風を見事に昇華し、かつリアリティや逆にアニメならではの表現技法を効果的に使用し、まさに「アニメで良かった、アニメだからこそ引き込まれた」作品です。
「良さげなマンガは実写化」の流れに一石を投じたのでは無いでしょうか?
何回も観たい!
2017-19
わたしたちは皆、世界の片隅で生きている。
レビュー見てからどうしても見たくなって見たけど、本当に見れてよかった!
ロングランしてるのもわかる気がする。
たくさんの人が見てくれるといいな。
のん(能年玲奈)ちゃんの声、素敵。
本当に上手いし可愛い。
特に語尾がちょっと息が抜ける感じがなんとも可愛くて。
悲しいことがあっても、終わったあとすごく幸せでほっこりした気持ちになれる。
戦争映画というと、戦争の悲惨さを酷いほどに伝えたり、反戦というメッセージを打ち出していたりすることが大半だと思う。
でも、この作品は戦争下に生きた、どじっ子でのほほんとした女の子が、小さなことに幸せを見つけたり、苦手なことにチャレンジしてみたり、旦那さんにドキドキしたり、自然と周りを笑顔にしたりして生きてきた話。
現代と変わらない心情で生きてるんです。
前にお兄さん二人組が座ってたけど、エンドロール終わったら、一人のお兄さんが隣を見てにっこり微笑んでたのを見て、なんだかほっこりした。
ようやく、観た。
ようやく、観た。
すごい。
未だに公開劇場がなくならないわけが少しわかった。全員が見終わるまで、かけ続けてほしい。
戦争が始まりそうな頃、少し抜けた普通の少女が、隣の呉市に嫁に行った2年間が中心。その生活を、ユーモアまじりに、「サザエさん」のように描き続ける。主人公があまりにも普通で純粋なので、対比によって、戦争になだれ込む周囲の環境の激変が際立つ。戦時中の疑似体験として、最高峰ではないか。戦争を生きた人たちの多くは、こんな感じで戦時中に放り込まれていったのではないだろうか。
それを体験しようと観に来た訳ではないのに、それを体験するという凄さ。こういう作品が、戦争を風化させない映画なのだと思う。暮らしている中での戦争は、誰かがゴングを鳴らし誰もが始まったと理解するのでなく、日々の暮らしの中にじわじわと侵食してきて、ある日初めてその悲劇に気づくのだ、と。
戦争というシチュエーションを「使う」映画はあまたあるが、ほんとうに「伝える」だけの映画、それでいて誰でも興味をもてる映画という点が凄さだと感じた
自分が最も衝撃的に感じたことを書いてみよう。
-------この後の部分には、ネタバレが含まれます。まだ観ていない方は、先に映画を観ることをお薦めします。-------
主人公は、一所懸命ではあるがほのぼのと(まるで漫画「ぼのぼの」の主人公のように)毎日を生きている。主人公の物事への対処の仕方は少しも変わらないのだが、周囲で起きていることは毎日少しずつ変わっていく。そんなある日、爆弾にあって、姪と右腕を失う… その悲劇の瞬間は、(これまで自分が頭の中で勝手に思い込んでいたように) 日常と切り離されているものではなかった。「歩いていて、ふと右を見たら犬がいた」とまったく同じ感じで、ふと右を見たら、姪も右腕もこの世からなくなってしまうのだ。
俺達は「当時の国民は、なぜ戦争に反対しなかったのか? 国民からして、勝利に浮かれてたんじゃないのか!」と、簡単に糾弾する。しかし、この映画を観ていると、そう簡単ではないのかもな、と思う。頭で考えるほど、日常と戦争の間には "線" が引かれているわけではないのかもしれない。
硬いことばかり書いたが、本作は、ほんとうに楽しめる映画。楽しめるという言い方は、気が引ける気もするが、逆に楽しめるという点が一番重要な気もするのであえてこう言います。
のんの声は、ぴったりだった。この主人公の声優に関しては、天職だったね。
2023/5/9 とみいじょんさんコメントに触発され追記。
戦争の恐ろしさ。それは、日常が戦地だということに、あっという間に傷つき、大切な人を亡くして、初めて気づくという怖さなのだと感じました。それをこんな風に実感させてくれたこの映画に感謝です。楽しく、美しく、そして限りなく怖かった。
悲しい話しなのに。。。
本当に観てよかった
リンさん...
大勢のすずさん
戦争
普通の人のリアルな日常
当たり前に生きていることが奇跡であることを思い知る
戦時中の昭和18年広島に住むすずは、幼い頃出会った周作から求婚を受け、軍港のある呉へと嫁ぐ。縁もゆかりもない土地で、すずは美しい街の光景の中、自分の居場所を見つけていくが、やがて戦火が街を変えていく。
映画は大体三部構成になっていて、すずの幼少期から嫁に行くまでは、ただひたすら美しい故郷の風景や幻想的な出来事が描かれ、呉へ嫁いでから一年の間は、周作との夫婦生活や家族関係の絆・美しい呉の街並みについて語られ、そして最後に戦争の理不尽さが美しい世界を奪っていく過程を描く。
前半は情景描写がただひたすら瑞瑞しい美に溢れていて、主人公すずを取り巻く世界が如何に美しく、優しい時間であることを見せる。戦争が始まり、食糧難になっていっても、本で読んだ調理法を実践したり、純真に創意工夫で乗り切ろうとするすずの生活には、楽しさがあって、彼女は自分らしく生きようとする。
しかし、昭和19年後半から呉の街は空襲に見舞われ、人々とすずの生活を変えていく。それでもあくまで生来の明るさと純粋さを失わず生きていくすずを、周りの人々は温かく見守るが、戦況が激しくなり、物語の後半、すずは絶望的な喪失を味わうことになる…。
主人公すずはのんびり屋で「抜けている」と周りから言われて育つけれど、その生来の純粋さを通して見た彼女の世界は、本当に優しく温かさに満ちていて、過酷な現実があっても、いつも彼女の世界は美しい輝きに溢れている。そして、やがて広島を襲う悲劇を知っている鑑賞者は、その美しさに胸が締め付けられるのだ。
「この世界の片隅に」は、面白い作品に出会った感動とはちょっと違って、見終えた時、素敵な人と友人になれたような喜びがある。すずさんという主人公に出会って、海の波がうさぎに見えること、すみれの花がお味噌汁になること…世界が瑞瑞しい美しさに溢れている事を、すずさんに教えてもらった気分…。
活気のある広島の町があって、豊穣な海があって、呉の軍港があって、街の灯りと人々がいて、その中ですずさんという一人の女の子が生きていたということ。一人の普通の女の子が、戦時中という状況で普通に生きていこうとしたこと。当たり前のすずさんの毎日がある奇跡が美しいのだと。
私も泣いてしまったクチなのだけれど、それは戦争の悲惨さに泣いたんじゃなくて、それは、すずさんの世界が瑞瑞しくてきらきら輝いていたから。世界の優しい美しさに、涙を溢したのだ。
私は時々、当たり前に生きていることが当たり前じゃないことを忘れそうになる。だからたぶん、やっぱりまた観に行くだろう。当たり前に生きていることが奇跡であることを思い知るために。
主人公役の能年ちゃん(のん)が好きなので、半分位彼女目当てで行ったんだけど、彼女の演技が神憑り的に素晴らしく、おっとりとした主人公すずの純粋さは、彼女でなければ演じられなかったと思うくらいハマり役だった…。本当に、こんな美しい世界を見せてくれてありがとう…って言いたい映画だった。
追記。素晴らしかったので、映画を観た直後、原作の漫画三巻も読みました。原作でのすずさんの苦悩はアニメより深く…特に映画では省かれてしまった、すずさんの分身とも言えるりんさんのエピソードや、終戦直後の彼女の言葉は、この映画を観て感動した人は、是非とも読むべきものだと感じました。尺の関係で映画では省かれてしまった原作の箇所は、それほど重要なものでした。もし映画でこの作品に惹かれた方が居れば、原作で描かれているりんさんの境遇と、すずさんの苦悩を知ってほしいと思うので、原作漫画をお薦めします。
日々の生活の向こう側にある戦争が迫ってきて、怖かった…
「となりのトトロ」以来、二度目のキネマ旬報の日本映画の1位になったアニメだ。遅ればせながら、ようやく映画館で観た。戦争物のアニメというと、私はどうしても「火垂るの墓」を思い出してしまうのだが、この映画は、描かれている期間も長いし、真正面から戦争の悲劇を描いている訳ではない。その前に、日常生活が横たわっているのだ。すずは、毎日の生活をより楽しめるようにしようと努力していた。物資が乏しい中でも、いろいろ工夫して過ごしていた。それでも、戦争は容赦なく忍び寄ってくる。呉市が軍港ということもあると思うが、空爆も激しくなって行く。生活もどんどん苦しいものにならざるを得なくなる。いくらがんばっても、もう無理なくらいにだ。終盤のすずの叫びが、私の胸に突き刺さった。それまでずっと、その生活を受入れていたように見えた彼女が、とうとうその本当の心情を露わにしたのだ。「火垂るの墓」は、条件反射的に涙が止まらないアニメだったが、「この世界の片隅に」は、その叫びが私の心に深く残る映画となった。
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