この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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生きていく勇気とチカラが沸いてくる・・・
先行上映を観てからしばらく経ったのですが、
まだ毎日映画のシーンのひとつひとつが思い起こされ、頭の中を
ぐるぐる駆け巡るのです。
ことさらに反戦を訴えるでなく、悲しみや残酷さのみに焦点を合わせる
でなく、ただその辛い日常を生き抜くすずさんの佇まいに
しなやかな強さと、軽やかな明るさを
圧倒的な愛おしさで描き切る。
思いのほかテンポがよいので、のんびりした絵柄とのギャップに
戸惑いますが、ラストに向かっていくにつれ、
登場人物たちに寄り添いたい、とのめりこんでしまいます。
どんな時代にいても、社会の不条理さは変わらない・・・
戦争はなくても、
誰かが簡単に殺されたり、災害に遭ってしまったり、
死なないまでも辛い思いを抱えて生きている。
一方で、
それでも面白かったら何かを忘れて笑い飛ばしたり、
人目を忍んで泣いてしまったり・・・
人は弱く、でも強い。いろいろあっても生きていくんだ、
そんな決意を思い起こさせてくれる映画です。
最後にキャストの皆さん。とてもよかったのですが、
特にすずさん役ののんちゃん。(本名:能年玲奈さん)
あまちゃんでのアキちゃんのイメージを払拭、
彼女の凄いところはそれを第1声から微塵も感じさせないことだ。
すずさんというビジュアルとのんちゃんの声が合致し、
一人の女優となった。
それは実写でなくても主演女優賞級の素晴らしさでした。
なのにテレビメディアでの全国的な紹介がない・・
宣伝的にはかなりのハンディ。
まあ事情は察しますが、こんなクオリティの高い作品、
才能を発揮した主演女優をほとんど紹介しないなんて、
メディアの役割放棄ですね。
民放テレビキー局は凋落していくわけですね。納得・・・
文句なしベストワン
この作品、本当に100年先にも伝えたい
この作品のキャッチフレーズは「日本中の想いが結集!100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション」とある。
はっきり言おう、私もそう思った。
前半は平和なこの当時を生きる人々の平和な日常、生活を描いている。
この前振りがあるからこそ後半の厳しい現実がどれほど辛く、怖く、悲しいものか伝わって来る。
私は戦争を経験していない、経験したのは祖父や祖母の世代の人間だが、私は初めて戦争が怖いと感じた。
どの世代の方にも見てほしい、珠玉の作品だ。
この世界の片隅に
暖かく、懐かしく、優しい思い出を祖母の膝で聞いているような、いつまでも聞いていたいような・・・そんな感覚で、出だしから一気に心を掴まれる。今まで見たいわゆる『戦争映画』は、自己犠牲的だったり襲いかかる悲劇で落命したりと、どこかで感動を強いられるというか、辛く重苦しいものばかりだったがこの映画は全く違う。変化してゆく環境にそれでも日々、楽しく、頼もしく愛し愛されながら生きているすずさんがとてもとても愛らしい。彼女の生きる環境も、不便さはあれども染み入るように美しい。(背景美術の素晴らしさ!)・・・それ故に後半に入り、為す術もなく抗うこともできずに破壊されてゆく様と、すずさんを襲う運命の過酷さには、その愛おしさ・美しさ故に狂おしいほどに辛く感じるが、その後描かれる『戦後』も続く生活と、(これが描かれていることも特筆すべきことと思う。)やがて来る希望の小さなタネのような出来事に、見ているこちらまでが救われる。エンドロールの最後の最後まで見逃すことができない。その最後に、どれほどの救いと優しさが詰まっているか・・・。何度も、何度でも観たいと思わずにいられない作品だと思う。主演ののんさんの声は、すずさんの鷹揚さと包容力のある、そして芯の強さも伺わせる多重構造の魅力の全てを表していた。共演者の方々の演技も、見事という他はない。
戦争映画ベストワン
日本映画史に名を残す傑作
戦争の中で生きている
ずっと残っていく映画だと思う。
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