この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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泣きに行く映画ではありません 見ているうちに涙がでているのです
恣意的に泣かせようとしたり感動させようとしたりしないで淡々とすずさんの日常を辿っているうちに、自分がすずさんになっているのです。
すずさんはゆるふわで感情移入しやすいです。
戦争や生きる事の本質を扱っているけれども 押し付けがましくなく、日常の出来事のたわいもない事や、悲惨な出来事の渦の中で生きて行くことについて、自分たちに寄り添って見せていてくれてるような気になりました。
すぐに見た方がいい
泣けるし、笑えるし、悲しいし、楽しいし、難しい
印象の選択肢が三つじゃ足りないよう。
全体にあっさりとした色彩で普通の話、でも絶賛の嵐。
この世界は今いる私たちの世界です。と監督も言っているが
この話はフィクションでもこの時代はたしかにあった。
それを誇張せず、卑下せず、素直に表現していることで生まれた
思想等の壁を軽々と乗り越える傑作。
そして、女優「能年玲奈」の潜在能力をまざまざと見せつけられた
この子は不思議だがなぜかぴたりとはまっている。
経験豊富な声優とは違う何かで役に入り込んでる。
あまり人が褒めると妙に冷めてしまう事ってありますよね。
この映画は早く見ないとドンドン絶賛が増えていきます。
早く見た方がいい。
かなり大人向け
・脚本、演出、設定など
話自体はよくまとまっていた。笑える要素がちりばめられつつ、シリアスな展開も用意されている。一部に伏線回収らしきものもあり。そして、最後のあたりで泣かせにくるので注意。エンドロールは卑怯。
ただ、かなり大人向け。
題材的に仕方ないが、キャラの台詞、表現、場面の切り方等から、中高年を主なターゲットにしていることは間違いないだろう。普段、洋画アクションしか観ないような人は序盤で寝てしまう可能性が高い。
戦時中の広島のある地域を舞台に、ある女性の姿を描く。この時代を生きていない人でも、戦時中の、終戦間際の暮らしぶりを感じとれる。人々の行動、セリフ回し、環境、情景のひとつひとつがとてもリアル。
個人的には、中盤のお姉さんの「この世界に居場所がない人なんてそうそういないものよ」(←うろ覚えでスミマセン)ってセリフが印象的だった。
・映像
ほのぼのとした絵だけど、シーンごとに伝えることはしっかり伝えている。
当時の町並み、草花、キャラの表情、心理描写、しぐさ、細かな動き。特に、憲兵や空襲が刺激的。自分は料理のシーンが好き。
あと、ほんの片隅に人外?キャラも登場しているのでお見逃しなく。
・音楽
OPとEDの、コトリンゴの曲がよくマッチしてた。
・全体的に
当時の人々の状況を、取材等で相当調べているのだろう。製作サイドの努力が感じられた。
教材にしてほしい
みなさんも言っていますが
戦争映画ではなかった。
戦争があった時代の生活を、映し出した映画。
のんちゃんの声も、予告編を観て
あまりにも、のんちゃんで、心配だった。
観ると、愛おしくて愛おしくて。
とっても、あってました。
監督すごいよ!
この映画も
のんちゃんも、応援したい!
暗すぎず、悲しすぎず、観れる
歴史の映画でした。
しみる…。
しみました…こころに。
やさしい水彩画風な絵と、ボーとしながら生きているという主人公にびったりなのんの声、厳しい戦時下で生きる普通の人達のやさしい気持ち…全てがゆるやかにしみじみと響きました。
普通なものや事がどんどん失われつ行くのに普通に一生懸命生きようとする人々。過去は戻せないんだから前に向かって行くて行くしかないんだなー、と痛感。
もっといろんな館で公開すべきなのにー。
深く深く余韻の残る傑作
期待値マックスで、初日に観に行ってきました。そんな高い期待値は裏切られることゼロでした。鑑賞中は完全にこの世界に引き込まれてその中にいましたが、振り返ると、絵は本当に美しく、全ての人物はいきいきと、声の心地はとても良く、間合いもテンポも音楽も絶妙で最高でした。全ての人が魅力的。
笑えるとこも、泣けてしまって止まらないようなとこも、ほっこりするところも、満載です。ジブリは別枠として、邦画でダントツのマイランキング、トップです✨何度も観たい。作品を世に送り出してくれて感謝です。
優しくて丁寧な映画
描かれるのはすずさんの日常、戦時中の話です。だけど何度も笑いが起きました。楽しいことばかりじゃありませんが、悲しいことばかりでもありません。優しくてとても丁寧に作られていて見終えたあとに前向きな気分になる映画です。一人でも多くの人に見てほしい。本当に素晴らしい映画でした。
多くの人々に見て欲しい日本映画です。
描かれている時代は戦中、場所は広島と呉。
このキーワードで戦争映画だと決めつけないで欲しい。
庶民の生活の中に『大東亜戦争』があるだけなんです。
決して悲しいものではありません。
こう言う時代だからこそ、笑って暮らしたい人々の普通の生活が描かれてています。
この作品の原作者、こうの史代さんは『夕凪の街 桜の國』が有名な作品です。
同じ広島県が舞台になっている為、切り離す事は避けられませんが、直接影響の無かった周囲の地域に住む人々の当時の反応が描かれています。
後半に少し辛いエピソードがありますが、悲しみの事実から避けて通れないながら、その先には希望の光が優しく差し込んで来ます。
EDロールの背景にさえストーリーが描かれているので、最後の映倫マークが確認出来るまで席を立たないで下さい。
片渕須直監督はスタジオジブリにいた事のある監督です。
『名探偵ホームズ(TVシリーズ)』『魔女の宅急便』等に参加されていて、後継者扱いされている細田守監督や新海誠監督よりも宮﨑駿の直系とも言えます。
中途半端な再現では無く、今では消えてしまった街を資料と当時を知る人々の証言を自腹を割いて集め歩き、真実を描く事を大切にする事で、形や色、音までもが実写よりリアルに感じられます。
見ている観客が、その世界の片隅に存在するかの如く……。
分かり易く言うと『サザエさん』の様な『笑える』作品なんですけどね。(笑)
アニメは子供っぽいとか思わないで下さい。
アニメだから再現出来た真実があります。
戦争を知らない世代、同じ時代を生き抜いた世代、幅広く全ての人たちに見て欲しい映画です。
上映スタート時の上映館が微妙に少ないのですが、徐々に増える予定になっています。
映画は初動が肝心です。
公開初日と二日目で今後の扱いが決まります。
見に行ける人はなるべく早く見に行って下さい。
何年経っても大切に語り続けたい日本映画です。
日常の大切さと、それを奪われることの悲惨さ
70代で幼少期に戦争体験をした世代の人と観に行きました。彼女の感想は、「ひもじさは、こんなもんじゃない」。しかし片渕監督は6年がかりで資料や現地調査など、当時の状況を徹底的に調べ上げているので、史実とそんなに食い違いはあるとは思えない。その齟齬の原因は、おそらく、のん演じるすずさんのメンタリティにあると推察します。いわしの干物4匹で一家4人の3食分のおかず(これもおそらく比較的マシなときの設定ですが)、など、徐々に追い込まれている状況は描かれて入るものの、描写も淡々としているし、すずさんは相変わらずほんわか、のんびりしていて、めげる様子がないので、悲壮感がないのです。しかし、この作品は、ほんわか、明るいメンタリティの人をどこまで追い詰めたら壊れるか、の思考実験的な側面があり、淡々と平和時からの日常を描くこともその思考実験の前提になっているので、その点への了解がないと、なかなか壊れないメンタルはおかしい(ので、ひもじさの描写が甘い、と映る)とか、日常描写もトロ臭いとか感じる人も居ても仕方がない。逆に、その点への了解があれば、どんなに明るいメンタリティの人でも究極に追い詰められれば壊れて笑顔を失うし、そのことが戦争の問答無用の悲惨さを状況証拠的に描いているという話の構造もわかってきます。反戦イデオロギーを大上段から振りかざして、グロテスクなシーンを盛りだくさんにして厭戦思想を押し付ける作品は過去にもありますが、このように、平和時の日常風景からはじまり、真綿で首を絞めるように主人公を追い詰め、状況証拠的に戦争の悲惨さを浮き彫りにするという方法論は今までにないと感じました。この方法論を成立させるには、すずさんのメンタリティの描き方が精緻でなければならず、その点から、のん以外の役者では本作は絶対に成立しなかったでしょう。
「すずさんのボンヤリな日々」
とでも言いたくなるようなほのぼのした、ボンヤリした、ほのぼのした日々が続きます。なんか四コマエッセイ漫画を映画化したみたいだなぁ、と思って観てました。ところどころのギャグが最高です、前半は。
後半はもう怒涛ですね。
のん(能年玲奈)さんの声の演技はスゴイです。事務所独立問題などで大手マスコミは取り上げない、という噂を聞きました。そういうことこそ、この映画のすずさんに重なります。
苦しく、しかし微笑ましく
第二次世界大戦中の広島が舞台 と聞いただけで、いい悪いは別にしても何か気まずい重たさみたいなものを孕んだ内容になるだろうと身構えてしまうけど、この映画はこっちが事前に予想してた内容を全部踏まえた上で、なお力強さと微笑ましさを持った映画だった
戦争とこの映画を切り離して考えるのは無理だと思うけど、この映画が描いてたのは 戦争 ではなく 戦争を生きていた人々だった
食料も減り、空爆され、大切な人達がいなくなってもどこが力強さをと生活を失わない人々の微笑ましさがよくある 戦後 的な視点に囚われた映画からは一線を画していて凄く新鮮で良い
何しろ主役のすずを演じる 能年玲奈 改め のんちゃんのハマりっぷりが素晴らしい めちゃくちゃ素晴らしい演技をしてるというわけではないけど、色眼鏡抜きでもこの役は彼女しかいないというぐらいピッタリだった
確実に疲弊し傷つきながら生き続けた人々がたくましく生きる姿が今の所平和な現代にも通づる素晴らしい映画だった
漫画と映画で補完しあう「この世界」
公開日2016年11月12日以来、2回目の観賞。
もともと原作ファンで、1回目はなるべくフラットな状態で観たが、今回は原作を久しぶりに再読し、アートブックも読んだ上で映画館へ。
アートブックを読んだ後だと、1秒にも満たないちょっとした画にもいろんな情報が盛り込まれてることが分かる。
例えば、祝言のために浦野家一同が呉駅を通るシーンだけでも、駅のあちこちに海軍の軍人がいること(逃亡する兵隊がいないか見張っている)、改札の駅員に女性しかいないこと(男性を兵隊に取るために、女性ができる仕事に男性が就くのは禁止されていた)など、語られない背景にも細かい情報がぎっしり詰め込まれている。
それとやっぱり、画の美しさ、緻密さが凄い。
原作の絵を尊重しつつ、ここまで微細で美しいアニメーションになるのか…!という驚きは、原作を読み直した後の2回目のほうが大きかった。
個人的に、映画オリジナルで一番好きなのは最初の空襲シーン。
初めての空襲に怯えるすずさんと晴美さんに対して、発動機部に勤めるお父さんは2人を守りながらも自分が携わった航空機が活躍するのを誇らしく思い、「広工廠歌」を歌う。
画用紙に絵筆で色を置くように、放たれる砲弾。
空襲の恐ろしさとともに、「恐ろしい」だけでは片付けられない呉の人々の複雑な心情が描かれていて、なんとも言えない気持ちになる。
が、映画の尺に収めるため、漫画で描かれた大事なことの多くがすくい取られないままになってしまっているのもまた事実だと思う。
リンさんのエピソードの多くが削られているのはもちろん、それに伴いすずさんと周作さんの関係性の変化、心の機微もだいぶ簡略化されてしまっている。
そして例えば、近所に住む知多さんや刈谷さんが8月7日に広島へわらじを届けたことでどうなるのか、とか、終戦後にすずさんが生家を訪れた際、家はどうなっていたのか、とか、ストーリーの枝葉の部分なれど「この世界の片隅に」という作品を形作る上では欠かせない様々な要素も間引かれている。
また、これも尺の都合だと思うが、特に映画の前半部分で「もう少し間を取ってほしいなぁ」と思う場面が散見された。
特にコミカルなシーンは、ちょっとした間でもう少し笑えるようになるのに…と思うことが多かった。
また、すずさんと周作さんが橋の上で語らうシーンなど、大事な場面の会話ではもう少し緩急を付ければもっとセリフが生きてくるように思えた。
この作品の漫画と映画はどちらが優れているというものではなく、補完関係にあると思う。
もし映画を観て「良い作品だった」と思うのなら、ぜひとも原作を手に取り、そしてできれば細かい注釈まで読み込んでほしい。
それにより、すずさんがいる「世界」にもっと奥行きが生まれ、物語がさらに愛おしく感じられると思うから。
傑作。必見。
控え目に言って、大傑作。
戦争があろうがなんだろうが、生活は続く。人は飯を食い、笑い、恋をする。虫は飛ぶし、鷺は蟹を食う。その生活を丁寧に描くことで、どんな風に戦争が生活を侵すのかを描き出す。
すずの描くスケッチのような、この水彩画のような美しい世界では、高射砲の弾煙はパステルカラーなのだ。それでもその下で人は容赦なく死んでゆく。
前線には『野火』の世界があり、銃後にはこうした暮らしがある。『永遠の0』なんてどこにもないんですよ…
観終わって、咀嚼しきれず、割り切れないもの飲み込めないものが残るが、きっと戦争がそういうものなんだろうな。
必見だし、たぶんもう一回観る…
絵の力、人の力
ラストのセリフで号泣してしまった。
積み重ねてきた物語、表現がラストにちゃんと救われる。
明日に向かって行きていこうと思える映画。
とにかく今言えるのはここまで。
脳内の情報処理が感情に負けてしまってるから何を書いていいかわからなくなる(笑)
一度は観てほしい映画、文句なくオススメしたい映画。
言葉が見つからない…
訴えかけるものに、いくら言葉を紡いでも、言い尽くせない。
すずちゃんのその指で地面をかきむしる場面では、僕の身体が削られた感じとなりました。
のんちゃんの演技に参ってしまいました。
本作を見るまで、「君の名は」3度目行くぞ〜と思ってましたが、全面撤回。その熱量は本作に再度見、再々見につぎ込みます。
ところで上映館数がたった63館?
押しつけるつもりはないけど、残念な感じです。
生きていく勇気とチカラが沸いてくる・・・
先行上映を観てからしばらく経ったのですが、
まだ毎日映画のシーンのひとつひとつが思い起こされ、頭の中を
ぐるぐる駆け巡るのです。
ことさらに反戦を訴えるでなく、悲しみや残酷さのみに焦点を合わせる
でなく、ただその辛い日常を生き抜くすずさんの佇まいに
しなやかな強さと、軽やかな明るさを
圧倒的な愛おしさで描き切る。
思いのほかテンポがよいので、のんびりした絵柄とのギャップに
戸惑いますが、ラストに向かっていくにつれ、
登場人物たちに寄り添いたい、とのめりこんでしまいます。
どんな時代にいても、社会の不条理さは変わらない・・・
戦争はなくても、
誰かが簡単に殺されたり、災害に遭ってしまったり、
死なないまでも辛い思いを抱えて生きている。
一方で、
それでも面白かったら何かを忘れて笑い飛ばしたり、
人目を忍んで泣いてしまったり・・・
人は弱く、でも強い。いろいろあっても生きていくんだ、
そんな決意を思い起こさせてくれる映画です。
最後にキャストの皆さん。とてもよかったのですが、
特にすずさん役ののんちゃん。(本名:能年玲奈さん)
あまちゃんでのアキちゃんのイメージを払拭、
彼女の凄いところはそれを第1声から微塵も感じさせないことだ。
すずさんというビジュアルとのんちゃんの声が合致し、
一人の女優となった。
それは実写でなくても主演女優賞級の素晴らしさでした。
なのにテレビメディアでの全国的な紹介がない・・
宣伝的にはかなりのハンディ。
まあ事情は察しますが、こんなクオリティの高い作品、
才能を発揮した主演女優をほとんど紹介しないなんて、
メディアの役割放棄ですね。
民放テレビキー局は凋落していくわけですね。納得・・・
文句なしベストワン
戦争やその時代を描いていながら、感動するところは全く違うところにある。
呆然とするような荒波に静かに前を向いて生きて行く女性を、そんな日本の女性を僕らはどこかで知っていて、それらを思い出し、今声に出して応援したい気持ちでいっぱいになる。
とにかくのんの驚愕のパフォーマンス。この声を得たことで映画は3割り増しのパワーを持った。(吹き替え版は残念ながら同じ体験はできないだろう)。こういう声優は聞いたことがない。
文句なし本年の最優秀主演女優だと思った。
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