この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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今年度最高の映画です!
ほのぼの笑いあり、ちょっぴりエッチなドキドキあり、ハラハラあり、ワナワナと震える怒りあり、辛くて胸が張り裂けそうな悲しみあり、そして涙あり…。今年最高の映画でした。この映画に出会えて感謝です。ありがとうございました。
こんな映画を作れる日本人は誇らしい
期待して観ましたが、期待通りかそれ以上でした。アニメのまだまだ未知なる可能性に驚きとわくわくと、そして感動。 本当は洋画好きなのですが、この作品は、日本映画の可能性を限りなく広げました。私たちは心から日本人であり、今の怠惰で夢のような幸せな日々は、この厳しい時代があって、そうしてこの命たちの犠牲のおかげで訪れたものだということを、実はすべての若い人も本能的に知っていて、それでこの映画に感動するのだと気づきました。 この映画に感動した人がこんなにたくさんいること、ほんとに誇らしく思います。
余韻が抜けません
主演の方を含め、出演者の皆さんの演技が素晴らしく、ほのぼのとした日常の中で微笑ましいやりとりが続いて、クスリと笑っているのに、気がつくと涙がでました... 夫婦っていいな、家族っていいなと、戦時中の厳しい時代の中で生きてる人々の生活をずっとずっと観ていたい、そう思える映画です。
戦争の「当事者」としての庶民
戦時下の庶民の暮らしを描いたアニメーション『この世界の片隅に』。
観る前は、期待と不安がない交ぜ。
というのも、こんな時代に戦争の話をアニメーションで描こうという志は買うものの、真面目一辺倒の今井正的作品だったらイヤだし・・・といったところ。
結果は・・・
昭和19年、広島で暮らす19歳の浦野すず。
突然、見初められれ、呉の北條家に嫁ぐことになった。
大らかで、鷹揚で、かなり世間知らずのすず。
嫁いだ先でも、性格は変わらない。
しかし、海軍鎮守府のある呉は、敵機の襲来を繰り返し繰り返し受けることになる・・・
といったハナシを、映画は丁寧に描いていく。
まず、目を見張るのは、その画力。
当時の町の様子をリアルな、それでいて、柔らかいタッチで描いている。
冒頭、広島の街が描かれ、ザ・フォーク・クルセダーズの名曲『悲しくてやりきれない』のカバーが流れただけで、涙腺が危うくなる。
この街が、後の8月6日の原爆により喪われてしまうのか、と思っただけで、やりきれない。
画の筆致が、まさに「記憶」というに相応しい筆致だからだ。
だが、この冒頭で不安がたまる。
よもや、原爆によって命が失わるハナシ、そこへ至るまでの「犠牲者」としての庶民の暮らしを描いたものではありますまいか、と。
その後につづく物語は、のほほんとしたすずの性格によって、やわらげられていく。
困窮も糧とし、工夫によって生活を続ける。
この前半で、じっくり生活を描くことで、終盤が活きてきた。
映画のタッチが変化するは、終盤、昭和20年に入ってから。
呉に初めての敵機が襲来するシーン。
青い空に踊る爆雲を、すずが描く絵筆から落ちる絵の具を用いて、表現する。
このシーンの表現手法が素晴らしい。
そして、もうひとつ表現手法で素晴らしいのは、すずが幼い義姪を連れて、不発弾の爆発に遭うシーン。
一コマ一コマ、黒背景に白い手書きの線描アニメ。
ギザギザのエッジが心を搔きむしる。
このふたつのシーンのあとに、物語として瞠目するシーンが続く。
戦争も末期。
すずの心が、知らず知らずのうちに変化している。
銃後を守る女たちは「困窮も糧とし、代用できるものは代用で、工夫する。それが私たちの戦い方だ」という。
そして、8月15日の玉音放送。
ここで、すずは号泣する。
「勝ちたかった。なんのために戦ったの。みんな、みんな犬死じゃないの」と。
そう、庶民もみな悔しかったのだ。
8月15日の庶民は「被害者」ではなく、戦争「当事者」だったのだ。
あんなにも、のほほんとしていた少女だって、知らず知らずのうちに「当事者」になってしまう。
だからこそ、戦争は恐ろしい。
こんな時代に戦争の話をアニメーションで描こうとした意義はあった。
大いにあった。
戦争映画ではあるが、戦争の捉え方が極めて斬新で驚いた。細かい設定や...
戦争映画ではあるが、戦争の捉え方が極めて斬新で驚いた。細かい設定や描写が当時の事をよく研究・取材して作られており、デフォルメされたキャラクターが逆に「本当にあったであろう」というリアルさを強調している。主人公や義姉の径子のキャラクターが嫌味がない程度に濃く、非常に練られているなあと感じた。のんの怪演に依るところも大きい。途中まで涙をこらえていたが終盤で自然に流れてきた。どこで泣いたかと言われてもよくわからない。不思議な映画。クラウドファンディングの成功例としても興味深い。
原作に忠実な作品だった
キャラクターは原作に忠実に描かれていて背景もいくらか薄い色彩だが綺麗だ。
昭和10年から20年の広島と呉を舞台に大戦が次第に激しさを増すなか、すずという少女が少年と逢い少年の家に嫁に行き一緒に暮らしながら終戦を迎え大事なものを失いながらも夫となった少年と生活して行く。
こうの史代さんの原作を時間の中でとても大事に演出して物語の中で重要な設定を敢えて否定しないようにスルーしたのは残念だが、分かりやすい内容になった。
ジブリやカラーのような大胆な演出や色彩を使用せず原作を補完するようなこの作品は、クラウドファインディングをして資金を募り完成させた監督とスタッフの意気込みを感じる。何となく磯野家を思い出させるのは戦時中でも笑いを忘れないからだろうか。
戦時中の生活者を描いた作品
これまでの戦争映画とは違い、戦時中の生活者を丁寧に描いた作品。
1945年8月15日が近づくに連れて、どんどん生活が苦しくなり空襲の回数もどんどん多くなる。
時系列に物語が進んでいき、たった数年の間に身の回りが急激に変化し、普通の生活もできなくなっていく。
主人公のすずという女性は、戦時中どんなに苦しい事があっても笑顔で生き抜こうとするが、玉音放送が流れてから「何のために必死で生き抜いてきたのか」目的が無くなり悲痛の気持ちになってしまう。
戦争が終わった時、「国民自体は喜んでいた」という話も聞いた事があるが、やっぱり国民自身も日本が戦争に勝つことを願い、ギリギリの所で戦っていた事がわかる。
これまでの戦争映画は「戦争の最前線で戦ってきた兵士」を描く事が中心だったが、国民目線の戦争を知る事ができて色々考えさせられた。
すず自身は右手を失い、自身の両親も無くし、妹は被爆する。
そんな状況の中でも、生き抜いていかなければいけない現実が、たった70年前に起こっていたかと思うと、言葉がでません。
戦争の悲惨さを伝えるだけではなく、「生きる大切さ」を強く感じさせてくれる作品だった。
遠出してでも観る価値あり
近くに上映館が無いため車で3時間をかけて隣県岡山市のイオンモールで観賞しましたが十分行くだけの価値はありました。
普通の生活が戦争で破壊され、心も疲弊していく中で終戦を向かえ、それでも必死に生きようとする姿に感動しました。
最後の方で母を無くした女の子を家に連れて帰り、物語はそこで終わるがエンディングロールではすずと姉の径子とでその女の子を育て、その幸せそうな様子が画かれているのを観たとき、不覚にも涙がポロリでした。
もう一度見たいと思わせる作品です。
大大大傑作
戦争映画としては勿論、人生をテーマにした映画としても大をいくらつけても足りないくらいの傑作でした。 どんなに辛い現実でも、否応なく人生は続いていくし、誰もが人生を生きていく強さを持っている。
生活は続いていく
どんな事があっても、生活は続いていく。
追憶を引きずりながらも、前へ前へとベクトルをとる。時に張り裂けそうになりながらも、過去を忘れる事なく、今を淡々と生きていくのが庶民だ。今の時代には、こういう映画がうまれることに希望を感じながら、失望したりもします。複雑な感情が残り、この意味をずっと考え続いていくことでしょう。
戦争のある日常
いわゆる戦争✖️ヒロシマの映画だが、描いているのは戦争ではなく日常。すずさんの愛らしい日常を通して戦争を描く。人間の強さ、優しさ、愛に満ちた映画。 何だか分からないけど、ジワ〜っと涙が出てくる。これというポイントはないのだけれど、終盤で不思議と涙が溢れる。何の涙なのかよく分からない、なんか色々混ざった涙。 見終わってみると、結構不思議な映画だと感じています。ポーッとしてるけど強さを感じる、まさにすずさんみたいな映画だなと。
奇跡の作品
このような作品が今の日本の環境で作れて、公開までいけるのか、ということが本当に驚きだと思う。
このような作品、というのは、作品へのこだわりと愛が徹底された映画、という意味。
邦画の制作環境を考えると、どんなにすばらしい原作、監督であっても、妥協のかたまりのようなものしか作れないのでは、とどこかであきらめていたところがあった。
この映画が先駆けとなって、これからも良い映画が作られていったら良いな、と思った。
印象深いシーンがいくつもあり、それぞれその意味の探究しがいがある。いちいちシーンの意味が解説されないところがよい。
はじめと最後に出てきた人さらいが面白い。
彼の存在は、この作品はなんなのか、ということを考えさせられる。
涙が止まらん、けど可笑しくて笑える
前半はボーっとしたすずさんの嫁ぎ先でのほのぼ?の戦前~戦時中日常アニメ、後半は戦争に翻弄される毎日って感じで、水原が再登場したあたりから涙がともらなくなり始めるんだけど、何が凄いってそんなに辛い展開の連続でも、合間合間に観客から笑い声が漏れたことだと思う。戦争中の呉・広島が舞台だというと何となく安易に「国の勝手な戦争に苦しめられる民衆」的な暗いイメージを持つか、変に滅私奉公的な価値観を称賛する方向にいきそうな感じだと思ってたけど、本当にすずさんの日常が戦争の前から後まで続いている、「世界の片隅」にあるちょっとした物語だった。ドラマチックなわけでは決してなかったと思うんだけど、当たり前のことが当たり前に続くこと、当たり前じゃなくなってもまた当たり前に生きようとすることがとてつもなく愛おしいと感じて、涙が止まらなかったのかもしれない。能年玲奈のちょっととぼけた、でも芯が強い演技もドンピシャにマッチしていたし、すずさんの妄想と現実が不思議と混在する演出もここだというときにはまって印象的。どの場面も心に残るが、個人的には再登場したえらく雰囲気の変わった水原が変わらないすずに対して嬉しさと寂しさが交じったような態度をとっていたことと、敗戦直後に図面を燃やすお父さんの姿が特に忘れられない。また観たくなる凄く良い映画だった。
映画「この世界の片隅に」応援キャンペーン pic.twitter....
映画「この世界の片隅に」応援キャンペーン pic.twitter.com/SJfcYnL2a5 konosekai.jp #この世界の片隅にすごい 普通の生活、日常の感覚、大義名分の恐さ愚かさ、身分格差と人それぞれのどうしようもない生き方、傲慢と謙虚さ、
息苦しくなるようなリアリテイ
のん が良い演技でした。すず の画や人間性にとてもあってる。キャスディグがグッドジョブだ。 当時の日常を淡々と描いていている。だんだんと戦場になって行く様子が、息苦しくなるようなリアリテイで描かれる。過剰な演出はないけど、すずの感情をうまく画にしている。アニメーションだからこそのリアリテイが発揮される。 映画館で観るべき映画です。 しかし、立ち見満員御礼の映画館は30年ぶりかもしれない。もっとも大手シネコンは立ち見客なんて入れるわけがないだろう。当たり前のように立ち見客を入れるテアトル新宿は最高だ。 2時間かけても観に行く価値あるぞ。
アニメ作品の極致
これまでに観たどのアニメ映画も到底足もとにも及ばぬ頭抜けた名作。 数倍の料金を払っても観る価値あり。 そして何が秀逸なのかを一言では説明できないのが、本映画の傑作たる所以。 笑い、悲しみ、憎しみ、そして優しさ、救いが見事に紡がれており、とにかくまあ観て下さいとしか言いようがなく。 そして何よりも、のん(能年玲奈)が完全復活し、その個性がアニメに見事に化体。 あの小津安二郎の東京物語にも似て、淡々としていて派手な抑揚もなく、説明的にもならず気をてらうこともなく、しかし特徴的なテンポある展開と上質なユーモアによってどんどん引き込まれ、そして最後に何かがものすごく突き上げてくる不思議な感覚。 何も知らぬ無辜の市民がのみ込まれて行く非日常の中にごく普通の日常を描くことで非日常性がより浮き彫りになり、非イデオロギーの作風によって逆に我知らずイデオロギーが滲み出て来る。 実写含め、ここ数年で観た映画の中でも最高位か。
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