劇場公開日 2016年11月12日

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この世界の片隅にのレビュー・感想・評価

全1028件中、841~860件目を表示

4.5背負いきれないやるせなさ

2016年11月24日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

第二次大戦の戦中から戦後の国内の庶民の生活を描いた映画だ。広島市の江波地区と呉市を行き来しながら物語が進む。

同じ設定で真っ先に思い出されるのは新藤兼人監督の「一枚のハガキ」(2011年)だ。ヒロインを演じた大竹しのぶが「つかあさい」という広島弁を使っていたので、やはり広島県が舞台だったと思う。山奥の村には戦争の直接的な被害はやってこないが、村の男たちが一人、また一人と兵隊にとられ、そのたびに村人たちが「勝ってくるぞと勇ましく」ではじまる「露営の歌」を歌って送り出す。働き手を失った村は徐々に疲弊して、他との行き来も殆んどなく、ほぼ自給自足、最後はただ生きているだけの生活になる。

山田洋次監督の「小さいおうち」(2014年)も、やはり戦前から戦後までの庶民の生活を描いた作品だが、こちらは戦時下の不倫や、庶民がいつしか国家の大義名分に精神までも侵されていく様子を描いたドラマだ。戦時下でも普通の暮らしが続いていたことをこの映画で初めて知った。主演した黒木華がベルリン映画祭で銀熊賞を受賞したのは周知のところである。

降旗康男監督の「少年H」(2013年)も同じく戦前から戦後の国内の家族を描いた作品で、主演の水谷豊が、国家の大義名分に踊らされないリベラルな精神の持ち主を好演していた。

今年になって日本で公開されたアメリカ映画「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」もやはり太平洋戦争の末期におけるアメリカの小さな町の庶民の生活を描いた作品だ。

パッと思い出すだけでも4つの作品がすぐに浮かぶくらいだから、第二次大戦時の庶民の暮らしを中心に描いた映画はまだたくさんあるかもしれない。
これらの戦争映画を観て了解するのは、庶民にとって戦争は天災地変と同じようなものだということだ。敵も味方も理念も大義名分もイデオロギーもない。
だんだん生活が苦しくなり、周りの男たちが戦争に駆り出され、学校は教練所となり、庶民はいろいろな役割を与えられる。そしてある日たくさんの飛行機が飛んできて、爆弾を落とし、家が燃えて家族が死ぬ。友だちが死ぬ。誰も助けてくれない。やるせなさで胸がいっぱいになるが、黙って涙を流すのだ。

或いは、遠くの国で新型爆弾がうまく爆発して甚大な被害を生じせしめたことを知る。やったと思う。しかしあまりにもたくさんの人が死んだことを知って、やるせない気持ちになる。

この映画の主題歌としてコトリンゴが歌う「悲しくてやりきれない」は詩人サトウハチローの歌詞に自殺した加藤和彦が曲を書いた名曲だ。コトリンゴのとても落ち着いたミックスボイスが「悲しくて悲しくてとてもやりきれない このやるせないモヤモヤをだれかに告げようか」という歌詞を際立たせる。この歌の「やるせない」という歌詞がこの映画のキーワードだと思う。

庶民にとって戦争はあまりにも理不尽だ。かといって誰を責めたらいいのか。自分自身だって、ついこの間まで大本営発表に日の丸を振っていたではないか。誰も責められないのかもしれないが、不幸の重荷は確実に自分を待っている。主人公すずが敗戦を告げる天皇のラジオ放送のあとで慟哭する姿は、「一枚のハガキ」の大竹しのぶが慟哭したのと同じで、行き場のない悲しみと苦しみを抱えすぎて、叫ばずにはいられなかったのだ。夫から「すずはこまいのう」とつくづく言われるほど小さなすずの肩に、言葉にできないやるせなさが重くのしかかる。やるせない、兎に角やるせない。

呉の空襲、焼夷弾や時限爆弾、8月6日午前8時15分のリトルボーイの爆発、天皇のラジオ放送と、我々が知っている通りに物語は進む。映画の中ですずが描いた広島県産業奨励館の絵が何度も出てくる。それが原爆ドームになってしまうのは、知っていても胸が痛くなる。
たくさんのものを失くしてしまったすずだが、いまは思い出の橋の上にいる。映画の冒頭で子供のころのすずが、ある男性と出逢った橋だ。その男性と一緒にいる。いまはすずの夫だ。賢くて心の広い夫だ。背負いきれないほどのやるせなさを抱えたすずを、夫の愛が優しく包む。映画の最初から、すずはずっと夫の愛に包まれていたのだ。

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耶馬英彦

5.0どこにでも宿る愛

2016年11月23日
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泣ける

笑える

幸せ

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shig

5.0観ることができ良かった

2016年11月23日
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エンドロールが終わるまで、席を立つ人が誰一人いませんでした。それだけ余韻を感じ続けたい作品でした。監督、スタッフ、協力者に感謝です。

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ran

2.5絶賛されるほど?

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

決して嫌いではないし、悪い映画じゃないと思うのですが、絶賛されるほど?というのが正直な感想でした。

映像で感情を表現する方法としては好きなシーンもあったし(ウサギのシーンとか)、人物造形も独特で、芸術家ってこんな人達なのかな?と思って興味深かったですが…

一人の女性の生き方としてはごく伝統的なあり方だし、それを描きたいだけなら戦争を舞台にする必要ないし、反戦の主張がはっきり打ち出されている印象もなく…戦後これだけたってから映画にした意図もよくわからず…

細かいところまで気を使って、丁寧に作られた映画なんだなというのは、とても伝わりました。はい。

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Noriko

5.0良かった

2016年11月23日
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色々な言葉が思いついては消え結局「良い映画だった」としかこの映画を表現できません。
悲しい舞台だけど決して悲しいだけの映画ではなかった。寧ろ笑ってる時間の方が長かったです。
でも家で観たら号泣するだろうなあ(笑)

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NZ

4.5涙も鼻水も止まらない

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

いい映画だった。すずさんを演じた のん さんの渾身の演技。原作に忠実でありつつ、原作を超える映画ってはじめて観たかも。

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三月☆うさぎ

5.0何かが溢れ出して来る

2016年11月23日
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観ている途中で、自分の中で何かが溢れ出して耐えきれないくらいに良かった。
また私は土地柄、本土での戦争の読み物やアニメ等をほとんど観たことがなくて、そういう意味でも今日この映画を観ることができて本当に良かった。
地元では上映している映画館が一つしかなく、周りでも評判を聞かなかったけれど、満席に近いくらい人が入っていて嬉しかった。客層が幅広かったのも印象的。地元では珍しくパンフレットも売り切れていた。もっともっとたくさんの人に観て欲しい映画。
応援しています。

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ぽーく

5.0開いた口が塞がらない。

2016年11月23日
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見た後にしばらく言葉が発せないっていうのは初体験で、号泣するわけでも、激しく心揺さぶられるわけでもなく、じんわりとぶわ〜とこころに広くしみていく感じ。戦争映画というよりは戦争のあった時代に人が生きた、その日常を描いていて、笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり、傷つけあって支え合って、強く生きていく。
主人公のすずは面識のないひとのところへ嫁いだり、えんぴつが買えなかったり当時の日本の背景がよくわり、嫁いだ先でなんとか楽しく生きていくすずの姿もまた強い人間らしさがでていた。
面白いとかつまらないとかそういう言葉じゃ感想は語れないし、評価もつけていいものなのかわからない。ただこころに深く響く作品だった。

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せなはん

4.5タイトルなし(ネタバレ)

2016年11月23日
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salary

5.0日常と非日常

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

観てよかった。
海軍の街、広島の呉が舞台。
そこにも広島の悲劇はあった。
家々からごはんの準備をする煙が立ち上る日常生活の中に入り込んできた戦争という非日常は、いつの間にか日常となる。どんなに悲しくても辛くても苦しくても悔しくても絶望しても、命ある限り行きていくための生活は続いていく。狂えたら、頭がおかしくなってしまえたらどんなに楽だったろう。広島、日本に限らずあの世界に生きた人たちは。
すずの「ずっとぼんやりしたまま死んで生きたかった」という言葉が本当に胸に突き刺さって悲しい。
何とか生きていくこと、それが市民の戦争だった。
たくさんの人に観てほしい作品です。
この後のすずの人生に、少しでも多くの小さな日常の幸せがあったならばいいなと心から思います。

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ゆうこ

5.0不思議と

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

戦争は知りません、決してハッピーエンドとも言えない、けれど不思議と胸に込み上げるものがあり、自然と頬をつたうものがあった。何故だろう?お話事態は淡々と紡がれていくだけのに...
聲の形やこういう作品は大切にしていきたい。

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xian li

4.5つつましさとわびしさ。

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

戦争は、弱者に襲いかかる現実!
そんな状況にも日々の小さな幸せを紡ぎつつ、そして慎ましく逞しく生きていく主人公。のびんびりしている主人公だからこそ 戦争での悲惨な出来事とのギャップになんともわびしさを感じる!
でも!スクリーンに繰り広げられる映像はとてもきれいで優しい!さらに 声優初挑戦の'のん'のほんわかした雰囲気がなんとも癒しをもらえます!
是非ご家族で見てもらいたい秀作だと思います。

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映画大好き

4.0観て良かった

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

ぬるっと始まり、ぬるっと終わった

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ミーヤウ

5.0見てよかった

2016年11月23日
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どのシーンも大切で、人の優しさと温かさと強さと面白さを持っていて、ずっと映画の世界に引き込まれていました。
最後になるにつれて、勝手に涙が出てしまいました。
戦争映画だからハッピーエンドってことはないだろうけど、ここに出ている人は誰も死なないでっていう気持ちになりました。
辛くても前を向いて生きる姿が、とても柔らかく美しく描かれていて本当に感動しました。

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カナッペ

4.0大勢に観てもらえて良かった

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

今年はアニメの当たり年。
その影響でこの映画も大ヒットのようですね。
「君の名は」が無ければ、あまり注目を浴びずに終わった映画化もしれません。
そんなもったいないことにならずに良かった!!
この映画も予告編を観ただけだったので展開は予想外。
こんなにも戦争が主体だったとは思わなかった・・・・。
しかし今後は、この映画が毎夏の映画になることでしょう。
私の歳でも少しは知っていることがあるので、年配の人には懐かしいことがいっぱい
若い人には新鮮でしょう
観れて良かったです

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シネパラ

5.0原作の良さをそのままに

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

こうの文代の「この世界の片隅に」を漫画で読んだのはもう10年位も前のことであり、内容も忘れかけていた。しかしこの映画を観る事でありありと読んだ当時の気持ちに戻った気がした。
小説にしろ、漫画にしろ、映画化されるという事は、ともすれば原作の良さを失ってしまう事が少なくないが、この映画では、こうの史代らしい柔らかな良さを損なう事なく丁寧に作られた秀作である。
戦争は、奪い取られ、失い、全く愚かな事であることを改めて想起させられた。
是非多くの人に観て貰いたい。

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Taku

5.0観られて良かった

2016年11月23日
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今の日本を作ってくれた人たちの悲しみと前を見た強さに涙が出る
あんな状況の中でも健気にちゃんと普通の日々を過ごすすずさんもその周りにも勇気付けられときどき可笑しくて救われる、こんな日常もあったのだと
そんでまたぼろぼろと泣いてしまう

なんだか愛おしいしすずさんは頼もしいし大きさはないけど柔らかさと強さがあってのほほーんとして可笑しい、それはのんさんの、それが、とても、ぴったりだった
画もとても鮮明で残酷な事実もきちんと見せてくれてそれでなのに優しくて、みんなの
想いが、視える

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ponma

5.0強い

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

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フュージン

4.0まともに生きる

2016年11月23日
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この映画に出ている人も、出ていない人も、作ったひとも、観た人も、みんなまともに生きていければと願うばかり。

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邦画好き

5.0哀しい

2016年11月23日
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鑑賞方法:映画館

原作はコミックらしい。未読。

呉の街はずれの山村に嫁いだすずの戦前戦中戦後を描く。
軍港の街ゆえにさんざん空襲にあった場所。

ただ、物的な大変さではない辛さがじわりと伝わって来る。。
でも生きていかなければ。
大きな大きな喪失を経ても、淡々と生き抜く人々。
力強い応援歌も、気合もないけれど、小さいけれど屈託のない笑いと、日々の習慣に転がされるように生きて行く。
なんだかもう哀しくてたまらなくなる。。
生きて行く理由なんか、無い。
でも父や母や姉や妹や夫や.....大事な人がいるから、自分も生きている。。
その凡庸さと温かさに、のんの声がぴったり来る。
音楽もいい。
騒がしくなく、静謐に映像を包む。

とてもとても、しみる映画でした。

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