この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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アニメだからこそ表現できた秀作
戦争を背景とした一人の女性の成長物語。戦争の悲劇をゆっくり描きながらも、すずの感情の起伏(決してネガテイブな感情だけでは無い。)が非常に丁寧に描かれる。
実写だったら悲惨さだけに目が行くだろう、という意味ではアニメ化に向いた作品だし、やはりのんは女優としては天才だなと感じた。(プライベートや芸能界のゴタゴタで活躍の場が限られているのは非常に残念な限り。個人的には天然/不器用の度を超えて非常識との印象を持っているが、女優としての評価は別だ。)
戦争を伝える為の新・定番映画になった秀作と思う。
余談だが、
それにしてもレビューの評価が高すぎじゃなかろうか。(平均4.4ってどんな映画だよ!?)クラウドファンディングの成功例なのかなと思う。クラウドファンディングで注目を集め、それに応える秀作を創る。クラウドファンディングでハードルが上がっているからこそ、それに応える秀作に対しては評判が評判を呼び、いつの間にか絶賛の嵐になる。
メディアのコマーシャルを嫌いSNS等での“一般の”評価を気にする、自分も含め現代の日本人の傾向にマッチした作品なのかな。(決して作品を批判してはいない。良い作品だ。)
実力のあるチームにしか成功出来ない映画製作の新しい定番手法になりそうな気がする。
命を紡いでいく映画。それでも生きていく…
広島・呉を舞台にしたすずという少女の成長と記録。
ほんわかしたぬるーい感じの中始まる。ただ、ほんわかしていてもこの後の歴史上の展開は知ってるので何気ないシーンでも少しウルッとくる…
次に歯を食いしばるほどの涙が襲ってくる…
極めつけはそれとは異なる涙が襲ってくる…
3段階で私の感情を襲ってきました。恐るべし作品です。
「戦争中は物が何にもなかった」
よく聞く話で他の様々な映画やドラマでも描かれてる。それが日常で日々の生活を笑ったり楽しく暮らしている。
この時代何万の人が体験しているだろう普通の…ごく普通の、この世界の片隅のお話。ただ歯を食いしばって生きてきた人たちの人生の断片にすぎないのかもしれないお話。すずがこの世界の片隅に居場所を見つけたお話。
鑑賞後も涙が止まらずトイレの個室でも泣きました
しっかりしっとり
原作漫画を読んで再び観たくなりました
年の最後にこの年一番の映画に出会えて幸せです。
観終わってしみじみ思い返すうちに、よく理解できない場面があることに気づきました。
すぐさま原作漫画を読んで感動。そしてもう一度映画を観なくてはいけないと確信しました。のんびりしているように見えて実は仕掛けが随所に散りばめられているのです。
何度もご覧になる方がたくさんいることに納得しきりです。
普通の人々の暮らしを描いているからこそ、すずさんが歌うように夕餉の支度をするからこそ、迫り来る戦争の異常さが際立ちます。
今まで観てきた悲しいだけの戦争映画とはまるで違うのです。
戦争当時市井の人々には「平和への希求」という概念が存在しなかった。ただ日々の暮らしをなんとか繋いで、踏ん張るしかなかった。
この映画のおかげで、そのことに初めて気づくことができました。
こんな風に、いつの間にか私たちの暮らしにも戦争が忍び寄ってくるのかしら。
いや、我々は違う。平和の尊さを知っているから。
泣けて、しかも背筋が伸びる
磨き抜かれた名作
主人公すずの生きた時代に時を同じくして再建された川越スカラ座にて初鑑賞。
原作漫画は6年前に既読。
原作はメジャー作品ではないものの、その完成度の高さから根強いファンが多く存在し、今作の封切り前に実施されたクラウドファンディングで集められた声の多さからも、その期待の高さは伺える。
取材に取材を重ね、丁寧に描きながらも、漫画媒体として実験的な描写も織り交ぜた原作に感化され、今作のアニメ映画化に当たっても、アニメーションとして実験的な描き方をしているのが、新鮮味を加え、功を奏している。
又、原作でも描き切れなかった細かな設定や描写が加えられ、さらにブラッシュアップされた作品となった。
アニメの利点がCGが普及する以前は空想を描くのに適した媒体であったのが、CGにより何でも実写化可能になった今、『バケモノの子』の渋谷のスクランブル交差点や、『君の名は』の風景のように、スーパーリアリズムをアニメで実現させ、敢えてアニメで描くことで描写を際立たせたり、細かく描いたことへの驚きという付加価値が生まれ、結果的に作品への評価に繋がる。今作も当時の街を再現したり、食べ物を強調したり、アニメの利点を最大限活かしている。
そのため、架空のキャラクターがまるで当時実際に生きていたかのように錯覚し、自然と感情移入してしまう。
戦争を題材にした作品の多くは、前線に立たされた兵士の視点で描かれたものが多く、戦争の狂気性ばかり目立つが、今作は日常を暮らす人々が、その生活の延長でどのように戦争に巻き込まれたかを描いているので、観客に身近なものとして感じさせながらも、戦争の狂気性だけではない複雑な要素を織り交ぜ
、観客自身に考えさせる作りになっている。
終戦宣言(日本の敗北)をラジオで聴いた当時の人々がどのような思いでいたか。負けたことの怒りや哀しみではなく、犠牲になった家族や生き残ってしまった自分への怒りや哀しみがあったのだろうと、少しでも戦争経験者の気持ちを感じ取れた気がした。
老若男女の多くの人々に観てもらいたいと思う名作だ。
前向きに生きること
「アニメーション」という表現倍体の素晴らしさ!
この作品を観る直前に「君の名は」を観た。
その時にも感じていた、いや、それ以前からずうっと感じていた、最近の、この手のアニメ大作に付きまとう、妙な違和感。それに対する答えが、この「この世界の片隅に」で出たような気がした。それは「アニメーションという手法で表現する作品の意義」。「君の名は」の事は、そっちのレビューで書かせてもらうので控えるが、そういう意味では、この作品は本当に、「アニメーション」という表現媒体でなければ、絶対不可能だった、戦争映画の傑作です。決してこれまでのような、戦争は悲惨だ戦争はいけない、という所謂、「反戦映画」という単純なくくりでは収まらない、あくまでも「戦争」を背景にした映画。でも戦争が背景にある以上、その状況描写に妥協や省略は決してない。「広島」が舞台だから当然「あの惨劇」も。 実の兄は戦死、両親も原爆で失い、妹も被爆、自分は地面に落ちた時限爆弾で大事な右手を失い、同時に義姉の娘の爆死を「殺した」と責められる。これ程までの悲惨な境遇の主人公の内的感情のホトバシリ、怒り、悲しみ、切なさ、苦しい、辛い、嬉しい、全ての感情と、それに伴って生じる頭の中のイマジネーションの映像化は、本当にアニメーションだからこそ、表現できたと思う。これがアニメーションの本領であり、アニメーションで表現する作品の意義だと確信しました。戦争に突き進み、不安や恐怖の中でも感情に流されず、時にはユーモアを交えて日々淡々と生きていく主人公「すず」のあの愛くるしく健気な姿。そして何よりも、声を担当した「のん」さんのフワアッとした存在感が、また主人公のキャラクターにぴったりマッチしている。私はアニメの声は声優がやるべき物だと思っている一人だが、これは別格だ。自分が望まぬ内にどんどん周りにつき動かされて、自分というものを上手く表現できぬまま流されていく主人公。でも只のお人好しの「良い人」ではなく、途中々々で感情をほとばしらせる。その表現、演技、「のん」さんは素晴らしかった!!皆、観るべき映画です。もう一、度言います。傑作です。エンドロールの、「紅」で描いた絵による、遊郭の娘のエピソードも本当に泣かせます。
最後の「右手のバイバイ」・・泣けて泣けて・・・。
歌も良かった!!また観ます!
観ればこの映画の素晴らしさはわかる!! 是非いろんな人に観てほしい...
良かった
65点
人の縁が希望を運んでくる
日本人は全員みるべき
悲しくてやりきれない
新宿テアトル満席で立ち見も出ていました。
戦争というものを庶民の生活の視点から描くアニメーション。食料不足の中なんとか工夫して前向き生きようとする姿は、オデッセイのマーク・ワトニーに通じるものがある。しかしながら、すずさん達を助けに来てくれる人はいない。戦争がどんどん追いつめてくる。大切な日々の暮らしを奪っていく。サウルの息子を観賞した時と同様に、戦争というものが余りも超現実的すぎて、自分の知り得る感情では表現しきれなかった。だから逆に涙も出なかった。全体にほんわかとしていながら強い衝撃と余韻を残す作品でした。残念ながら絵のタッチというか造形があまり好きではありませんでしたが、のんさんの声が運命的に素晴らしかったと思います。コトリンゴさんの音楽も良かったです。日本人なら誰しもが観て良かったと思える映画だと思います。
見終わった後の苦しさ
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