この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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しっかりしっとり
「しっかりしっとり」と物語が流れていく。
舞台が呉ということで戦争一色かと思ったが、予想が外れた。
人間の逞しさがしっとりと、それでいて力強く描かれている。どんな時でも人は前を向ける。戦争という避けられない運命の潮流の中でも。
子供から大人まで誰でも楽しめる映画だが、特に社会に出て様々な壁にぶつかり揉まれている新入社員に観て欲しいと思った。
原作漫画を読んで再び観たくなりました
年の最後にこの年一番の映画に出会えて幸せです。
観終わってしみじみ思い返すうちに、よく理解できない場面があることに気づきました。
すぐさま原作漫画を読んで感動。そしてもう一度映画を観なくてはいけないと確信しました。のんびりしているように見えて実は仕掛けが随所に散りばめられているのです。
何度もご覧になる方がたくさんいることに納得しきりです。
普通の人々の暮らしを描いているからこそ、すずさんが歌うように夕餉の支度をするからこそ、迫り来る戦争の異常さが際立ちます。
今まで観てきた悲しいだけの戦争映画とはまるで違うのです。
戦争当時市井の人々には「平和への希求」という概念が存在しなかった。ただ日々の暮らしをなんとか繋いで、踏ん張るしかなかった。
この映画のおかげで、そのことに初めて気づくことができました。
こんな風に、いつの間にか私たちの暮らしにも戦争が忍び寄ってくるのかしら。
いや、我々は違う。平和の尊さを知っているから。
泣けて、しかも背筋が伸びる
戦争中でも普通に暮らす市井の人々をやさしくも淡々とした視線で追った映画。アニメなのに、ドキュメンタリーのような感覚にもなった。
戦争だから、もちろん怖い。親近者が亡くなったり、自分も傷を負う。でも、暮らしの中に楽しさや笑いはいくらでもあるし、人を思いやる気持ちで満ちている。
私は、悪人の出ない、こういう映画が好きだなぁ。泣けたあとで、自分の生き方を反省しつつ、もっと人にやさしくなりたいと願う心境になりました。
磨き抜かれた名作
主人公すずの生きた時代に時を同じくして再建された川越スカラ座にて初鑑賞。
原作漫画は6年前に既読。
原作はメジャー作品ではないものの、その完成度の高さから根強いファンが多く存在し、今作の封切り前に実施されたクラウドファンディングで集められた声の多さからも、その期待の高さは伺える。
取材に取材を重ね、丁寧に描きながらも、漫画媒体として実験的な描写も織り交ぜた原作に感化され、今作のアニメ映画化に当たっても、アニメーションとして実験的な描き方をしているのが、新鮮味を加え、功を奏している。
又、原作でも描き切れなかった細かな設定や描写が加えられ、さらにブラッシュアップされた作品となった。
アニメの利点がCGが普及する以前は空想を描くのに適した媒体であったのが、CGにより何でも実写化可能になった今、『バケモノの子』の渋谷のスクランブル交差点や、『君の名は』の風景のように、スーパーリアリズムをアニメで実現させ、敢えてアニメで描くことで描写を際立たせたり、細かく描いたことへの驚きという付加価値が生まれ、結果的に作品への評価に繋がる。今作も当時の街を再現したり、食べ物を強調したり、アニメの利点を最大限活かしている。
そのため、架空のキャラクターがまるで当時実際に生きていたかのように錯覚し、自然と感情移入してしまう。
戦争を題材にした作品の多くは、前線に立たされた兵士の視点で描かれたものが多く、戦争の狂気性ばかり目立つが、今作は日常を暮らす人々が、その生活の延長でどのように戦争に巻き込まれたかを描いているので、観客に身近なものとして感じさせながらも、戦争の狂気性だけではない複雑な要素を織り交ぜ
、観客自身に考えさせる作りになっている。
終戦宣言(日本の敗北)をラジオで聴いた当時の人々がどのような思いでいたか。負けたことの怒りや哀しみではなく、犠牲になった家族や生き残ってしまった自分への怒りや哀しみがあったのだろうと、少しでも戦争経験者の気持ちを感じ取れた気がした。
老若男女の多くの人々に観てもらいたいと思う名作だ。
前向きに生きること
ぼーっとしてて、絵を描くことが取り柄の主人公、すずさん。その彼女の前向きさに背中を押してもらえました。
本当にこんな時代があった事、それでも前向きに生きていた人たちがいた事。
現代に生きる人々の心にそっと気持ちよく、優しく、悲しく、史実を残してくれる作品だと思いました。
こうのさんの漫画「夕凪〜」を古本屋で以前立ち読みし、とても心に残っていたので、こうしてアニメーションとして観れたことがとっても嬉しかったです。
いい作品というのは、観終わってからもずっと心で頭で考えさせられますね。また観たいです。
感動が折り重なる
後半は登場人物の一言一言が突き刺さり、涙がこみ上げてきます。一体何に自分が感動しているかわからなくなるような、幾層もの感動が折り重なる一作でした。
この作品の制作に関わった方々の志に感服です。
「アニメーション」という表現倍体の素晴らしさ!
この作品を観る直前に「君の名は」を観た。
その時にも感じていた、いや、それ以前からずうっと感じていた、最近の、この手のアニメ大作に付きまとう、妙な違和感。それに対する答えが、この「この世界の片隅に」で出たような気がした。それは「アニメーションという手法で表現する作品の意義」。「君の名は」の事は、そっちのレビューで書かせてもらうので控えるが、そういう意味では、この作品は本当に、「アニメーション」という表現媒体でなければ、絶対不可能だった、戦争映画の傑作です。決してこれまでのような、戦争は悲惨だ戦争はいけない、という所謂、「反戦映画」という単純なくくりでは収まらない、あくまでも「戦争」を背景にした映画。でも戦争が背景にある以上、その状況描写に妥協や省略は決してない。「広島」が舞台だから当然「あの惨劇」も。 実の兄は戦死、両親も原爆で失い、妹も被爆、自分は地面に落ちた時限爆弾で大事な右手を失い、同時に義姉の娘の爆死を「殺した」と責められる。これ程までの悲惨な境遇の主人公の内的感情のホトバシリ、怒り、悲しみ、切なさ、苦しい、辛い、嬉しい、全ての感情と、それに伴って生じる頭の中のイマジネーションの映像化は、本当にアニメーションだからこそ、表現できたと思う。これがアニメーションの本領であり、アニメーションで表現する作品の意義だと確信しました。戦争に突き進み、不安や恐怖の中でも感情に流されず、時にはユーモアを交えて日々淡々と生きていく主人公「すず」のあの愛くるしく健気な姿。そして何よりも、声を担当した「のん」さんのフワアッとした存在感が、また主人公のキャラクターにぴったりマッチしている。私はアニメの声は声優がやるべき物だと思っている一人だが、これは別格だ。自分が望まぬ内にどんどん周りにつき動かされて、自分というものを上手く表現できぬまま流されていく主人公。でも只のお人好しの「良い人」ではなく、途中々々で感情をほとばしらせる。その表現、演技、「のん」さんは素晴らしかった!!皆、観るべき映画です。もう一、度言います。傑作です。エンドロールの、「紅」で描いた絵による、遊郭の娘のエピソードも本当に泣かせます。
最後の「右手のバイバイ」・・泣けて泣けて・・・。
歌も良かった!!また観ます!
観ればこの映画の素晴らしさはわかる!! 是非いろんな人に観てほしい...
観ればこの映画の素晴らしさはわかる!!
是非いろんな人に観てほしい作品です。
なぜか自然に涙がでてくる(TT)
そんな映画ははじめてでした。
途中内容が辛すぎて映画館から出たかったです!
それほどこの作品はすずの感情をおもいっきりぶつけてくる映画でした!
ほんとに観ればわかります!
良かった
当時の日本をリアルに描いているのだろう、戦中は身内が亡くなっても悲しいなどと思う暇もなかったのだろうな、生き残ったキャラクターは幸せになったのであろうなと思いたい。
絵が柔らかいので疲れが無く見られた鉛筆画の様なアニメーションの演出も良い、主人公のおっとりとしたキャラクターも良いエンディングのアニメーションも良い、今考えると米軍のいやらしい戦略・戦術も垣間見える、また見ておきたい、何度でも見られるだろう。
個人的には「君の名は」よりも面白いし良かったと思う。
世界中に見てもらいたいね当時の日本は貧しくても強かったと。
65点
一種の災害ユートピア見せられた感じ。
一番良いなと思ったのは北條のお姉さん。家も子供も旦那も失したけど、全て自分の意思で選択し、たとえ傍目に不幸である運命だとしても最も「幸せ」な生を送ったのは彼女だと。
個人的には『夕凪の街 桜の国』の方が好み
人の縁が希望を運んでくる
いろいろあった選択肢から分岐して今がある
その選択が正しかったのか、この先どうなるか、なんて誰にも分らない
できることは、後悔や絶望に押しつぶされそうになっても今を生きていくこと
たとえ希望は潰えても、また次の希望がやってくる
日本人は全員みるべき
原作の内容聞いたら、女性としてはけっこう複雑な評価になると思われる映画(りんさんが実は…っていう)。
でも映画ではその部分がなくて、モヤモヤが少なく見えていいと思う。
小中学校などで全員で見るべきすばらしい映画。
「はだしのゲン」「ほたるの墓」に代わる、戦争・原爆カテゴリー映画の新定番にすべき。
悲しくてやりきれない
新宿テアトル満席で立ち見も出ていました。
戦争というものを庶民の生活の視点から描くアニメーション。食料不足の中なんとか工夫して前向き生きようとする姿は、オデッセイのマーク・ワトニーに通じるものがある。しかしながら、すずさん達を助けに来てくれる人はいない。戦争がどんどん追いつめてくる。大切な日々の暮らしを奪っていく。サウルの息子を観賞した時と同様に、戦争というものが余りも超現実的すぎて、自分の知り得る感情では表現しきれなかった。だから逆に涙も出なかった。全体にほんわかとしていながら強い衝撃と余韻を残す作品でした。残念ながら絵のタッチというか造形があまり好きではありませんでしたが、のんさんの声が運命的に素晴らしかったと思います。コトリンゴさんの音楽も良かったです。日本人なら誰しもが観て良かったと思える映画だと思います。
見終わった後の苦しさ
色々と持っていかれる作品だった。
雨の日のレイトショーとあって
いい歳した大人が、小さく笑ったりしながら。
見た後しばらく動けなかった。
戦争映画ではないのだろう。
日々を必死に生きていたらそうなってしまった。日々を回すことを懸命に。
流されたら私たちもこうなるのかな?
うまい、と思わせる構図や表現がいくつもあった。原作はもっと凄いなら読む価値はありそう。
自分たちも、このままぼーとしていたら…
広島に住む一人の女性の姿を通して、戦前から戦後の日本を描いた漫画原作のアニメ映画を、
渋谷ユーロスペースにて(ようやく!ようやく!!)鑑賞。
昨日の夜から、近辺のどこの劇場のweb予約を探しても「満席」となっていて、本作品の注目度の高さを伺えました。
一方、自分は原作漫画も知らず、2016年の東京国際映画祭での上映時も「こんなちんまい映画をよく上映するなあ」と思ったくらい、本作品にはノーマークでした。
が。。。
2017年初映画にして、早くも年間1位が決定してしまいました!!
「戦争」というものを、一人称目線で描くことをで、確かにそこに生きていた人々に想いを馳せることのできる作品となっていました。
その頃の環境がどんな状況下でも、そこに生きていた人々は無条件に受け入れることしかできず、心のワダカマリをひた隠して、ユーモアを忘れることなくやり過ごしていきます。
そんな人々の悲喜こもごもを通して、「生きること」というテーマを、力強く誠実に描いていきます。
それに加え、全てを鵜呑みにできない語り口の曖昧さや、謎のままの部分、余白部分を観客一人ひとりの想像・主観に委ねていて、
何度も観て真意を探りたい欲求に駆り立てる創りになっているのも嬉しい限りです。
時間の飛び越え方、極端な省略や後追い説明の数々は、大林監督作品「あの空の花」のクラクラとした映画体験を彷彿とさせ、大好物がたっぷり!
無駄なところが1シーン1カットもない、濃密で極上な126分でした。
一点、真面目な話をすると、
鑑賞中、「あの頃の人々」が戦争の全体像を知らぬまま翻弄される姿を観て、「もしかしたら、今の、そして、数年後の自分たちのことを描いているんじゃないか…」と思わずにはいられませんでした。
昨今のキナ臭い情勢を見ていると、自分たちの知らないところで、刻一刻と「その時」が迫っていてもおかしくありません。
自分たちも、このままぼーっとしていたら、いつの間にか青空に戦闘機が飛んでいる、なんて状況になっているかもしれません。
そうならないためにも、このような映画を観て「戦争は二度としない!」という、国民の総意が必要なのだと思います。
選挙の度に、「どうせ何も変わらない」とやり過ごさずに、国民一人ひとりが確かな心で、どうすべきかを判断する必要があるのだと思います。
「戦争」なんかになったら、「経済」とか「子育て」とか「福祉」とか言ってる場合じゃないですからね。
とりあえず、全国民一度は観るようにしましょう!!
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