「観た人に語らせる力の凄まじさよ。」この世界の片隅に バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
観た人に語らせる力の凄まじさよ。
泣いた映画がいい映画とは思わないが、この映画は泣かせの演出はほぼないのに文字通り洟をすすりながら観た。自分は映画から入って原作を読んでまた映画を観た。原作ファンが映画の改変について物申したくなるのもわかる気がしたし、監督が原作カットしたプロットをあの手この手で行間やエンドクレジットに仕込んできたこだわりもわかった。
自分は映画単体で傑作だと信じているし、原作ファンもてんでダメなシロモノだったらこんなに反論や検証で盛り上がったりしなかっただろう。自分が思うことは、とにかく素晴らしい原作があり、映像でしかできない表現で映画化し、自分を含めた受け取った観客が平静ではいられないものができたということ。
言葉を尽くしても二時間強に込められたディテールを解析し切ることはできないし、エモーショナルな衝撃を説明することは不可能。ただこれほど繰り返し観て考える価値がある映画もないと断言しておきたい。
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machan1158さんのコメント
2017年1月17日
おおむね同意見ですが泣かせの演出はかなりあったと思いました。とくに後半以降、コトリンゴの音楽がちょっと演出過多じゃないかな、と思ったほどです。