「映画一般的に「泣ける」という評価は、どこか品が無いなーと常々思いな...」この世界の片隅に salaryさんの映画レビュー(感想・評価)
映画一般的に「泣ける」という評価は、どこか品が無いなーと常々思いな...
映画一般的に「泣ける」という評価は、どこか品が無いなーと常々思いながらも、「この世界〜」の評判がそーゆー「泣ける映画」として出回っており、また心のどっかで「泣きに」観に行ってしまってたのも事実であります。
で、結局泣いてしまったのですが、泣かすための「化学調味料」的なのは全く無く、むしろ味付けは薄め、なんやったら素材の味もするか?ぐらいの演出でした。なのになぜ泣いてしまったか!?
それは、ひとえに「今」の世界と地続きのお話だったからのように思います。
その「今」とは、まさに3.11以降の日本であり、あの大震災を経て、どうやって生きていくべきなのか、を見た思いがするからです。
さきの大戦を経験した人がまだこの世に存在する以上、右か左かで戦争を語るしかないのは仕方ないことだと思います。しかし、戦後、70年以上経った今だからこそ、そうじゃない立場の人たちの戦争の物語もあったはず。戦争を真正面からむきあった人たち、まさに、それは「普通の日常を暮らす人々」だったんじゃないかなと。
「空襲警報飽きた〜」とか「これは、戦争に負けたってことかねぇ?」とか、ある意味、危機感のなさげがすごく印象的で、でもそれが普通で、今だって、震度4くらいやったら、「結構揺れたねぇ?」ぐらいの感覚で語ってしまってるのと、相通じるような気がして。
だからこそ、そんな「普通の感覚」を簡単に脅かしてしまうからこそ、戦争の怖さってあるし、それを浮き彫りにしているこの映画が、火垂るの墓とは違った映画になっている所以だと思います。
だからといって、「日常最高!」とか「普通が素晴らしい!」といった礼賛タイプのでも無かったのが、まぁー清々しい!
ただ生きる、生きていくしかない日常を受け入れるのって、そんなに悪くないな、と思えました。