「映像とは伝えること」未来をなぞる 写真家・畠山直哉 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
映像とは伝えること
畠山直哉という人の人柄、思い、震災後の葛藤など、ストレートに伝えてくれるドキュメンタリーであり、伝えるためなら映像の美しさなどというものは二の次だとさえ思えるドキュメンタリーの制作姿勢に好感が持てました。
実際に母親を震災で亡くし、実家と共に思い出までもすべて失ってしまい、震災後も実家の移転をどうするのか奔走を続け、それなのに被災当事者と認めてもらえない被災出身者の葛藤など、大震災のドキュメンタリーとしても大変興味深いものでした。
勿論、写真家・畠山直哉が地元を撮り続けることへの思いなどにも惹かれるものがありました。単に地元愛とか、ジャーナリズム的な衝動というものを超越した、自然の流れの中で震災後の東北を撮り続けているその姿勢に、何か共感するところがあった。
では何故に写真を、地元の写真を撮り続けているのか・・・明確な答えはなかったように思います。しかしながら、反射的に対象物を捉えようとする衝動、捉えたものをどこまでも伝えていこうという決意、そういったものは感じ取ることができました。
正直、このドキュメンタリーの中だけでは写真家・畠山直哉が本当に思うところが子細に理解できたとは言い難い。ただ、彼の捉えた写真を見れば何か感じ取ることあるかもしれない、そう思わせてくれたドキュメンタリーでした。
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