「「コーダ あいのうた」の元となった「エール」との違い」エール! 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
「コーダ あいのうた」の元となった「エール」との違い
オリジナルを観てみました。
こちらは「コーダ」よりストレート。直球ですね。
設定で大きく違うのは「エール」は両親の職業が酪農業です。
牛を飼って、チーズを作り食肉に卸したり、農作物も作っています。
対して「コーダ」は漁業です。
船を沖に毎日出して網でカレイみたいな魚を父親、兄、ルビーの3人で、
毎日早朝から漁をしています。
そして家族構成ですが、「エール」は弟がいる。
一方の「コーダ」は兄がいます。
また大きく違うのは、聾唖のお父さんが町長選に出馬することですね。
(ここは意外な展開でしょ!!)
そして最大の泣かせところ。
娘のポーラが歌の才能を発揮する高校の合唱発表会のシーン。
最初に合唱があって、いよいよガブリエルとのデュエットの途中で、
音が無くなるのですが、無音というより耳鳴りのウワーンという音の中で、
娘は歌い踊っといます。
聾唖者にはこう聴こえているのですね。
どんなに娘の声が聴きたいことでしょう。
それを思うと切なかったです。
こちらはフランス映画ですから、歌うのはシャンソン!!
歌詞が個性的でしたね。
どちらもハイライトになるのは、音楽学校のオーディションのシーン。
ポーラ役のルアンヌ・エメラは、上手ですが少々表現が硬いですね。
「コーダ」ルビー役のエミリア・ジョーンズは伸びやかな声で、
もうメチャメチャ上手いです。
オリジナルにはオリジナルの良さがあり、「コーダ」は進化形の良さがあります。
両方観てみるのも楽しいですね。
うわお、両方鑑賞じゃないですか。さすが!
どっちも聾唖者と音楽。娘が歌うことの道を進むと自分達は不便になる。歌うことの素晴らしさは、聴こえないので全く知ることはできない。体感できない。つまり自分たちには、娘がその道を選ぶことを肯定する要素は一つもない。
だけれど、娘がやりたい道を進むことを(納得し)祝福する。これって、けっこうすごいな。愛ってこんな感じなんだな、と思いました。
俺が「コーダ」に若干冷たいのは、「組合を立ち上げて直接売る。聾唖者の自分たちでやる」という取組みがいかに大変か、主人公なしでそれを続けられるか真剣に悩んでるという両親の不安をさっきまで描いていたのに、決断の後は、エンディングで「でも大丈夫でした」的な映像が流れるだけって、さすがにご都合主義過ぎないかなあ、と感じたためです。
「エール」より「コーダ」では、両親と兄の取組みが大規模化したので、違和感もだいぶ大きくなっちゃったんですね。映画の主題にはコンサート、オーディションの演出含めとても感動しています。あくまで個人の感想です。
(お、なんか考えを文字化できた。レビューに追記しとこ。きっかけをくれてありがとうございました)