「娘の家族からの自立、家族の娘からの自立」エール! 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
娘の家族からの自立、家族の娘からの自立
フランス映画祭2015(日本)観客賞<最高賞>、2015年セザール賞最優秀新人女優賞(ルアンヌ・エメラ)、2015年リュミエール賞最優秀新人女優賞(ルアンヌ・エメラ)・最優秀主演女優賞(カリン・ビアール)をそれぞれ受賞。
父も母も弟も耳が聞こえない家族でひとりだけ健聴者の少女が、歌声に類まれなる才能を見出され、パリの音楽学校への進学を勧められる・・・。
良いです!
フランス映画祭2015(日本)で観客賞<最高賞>を受賞したのも納得です。って言うか、ポーラを演じたルアンヌ・エメラが、セザール賞・リュミエール賞で受賞したのが【新人】女優賞で、ポーラの母を演じたカリン・ビアールがリュミエール賞で【主演】女優賞なんですが、この作品って、ルアンヌ・エメラが主演じゃないの?どう見ても、どう考えてもカリン・ビアールは主演じゃないと思うんですが・・・。新人女優賞と主演女優賞のダブル受賞は敢えて避けたんですかね?ルアンヌ・エメラは、主演女優賞にも匹敵しますよ。
圧巻なのが、最後のオーディションシーン。「良い選曲でした」と言う審査員のセリフもありましたが、正にそうですよね。ポーラが心をこめて、家族に向けて歌うシーンは、ジーンと来て、泣きそうになってしまいましたよ。ありゃ泣くよ、ホント。
そうそう。これは、障害者の自立を描いた話と言う側面もあるかなと思います。ポーラがパリに行ってしまうと、残された家族は(みんな耳が聴こえないので)日常生活が中々やりにくくなると思うんですが、最後は渋っていた家族もポーラのパリでの活躍を願って最終的には送りだしています。ポーラの自立とともに、家族も自立するという所が、この物語のいいところなんじゃ無いかなと思いました。
ポーラ以外の家族は父母弟全員が耳が聴こえないと言う事で、それが故に人とのコミュニケーションがもどかしく感じるところもあるんですが、逆手に取ったコミカルな演出もあります。実際、笑いが起きるシーンが所々ありました。ああ言う、ちょっと皮肉っぽい所が、フランスのエスプリなんでしょうか。
大事なことなので二回書きます。良いです!