「生と死の狭間で」追憶の森 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
生と死の狭間で
自殺の名所、富士山青木ヶ原樹海を舞台にした、サバイバル・ドラマ。折々に見せる回顧録が、自殺を至る経過を物語ってはいるが、渡辺謙とマシュー・マコノヒーによる二人芝居のように展開される。
死を決意して、わざわざ日本に来て、樹海に足を踏み入れた主人公・アーサー。しかしそこで、一旦は自殺をしようとしたが、死にきれず彷徨っているタクミと遭遇。
樹海の中で、精神的にギリギリに追い詰められ、死を渇望した2人が、改めて生への本能に目覚めていく。その象徴が2人で火を起こし暖を取るシーン。死への恐怖を炎と歌で必死に打ち消そうとし、それまでの経緯を語り合う。
人は、死を決意しようとする時、生に一番に縋りつくものになるのでしょうし、それが、生物としての本能なのかもしれない。
設定や内容的には,ツッコミ所はいくつもあったが、2人の演技については、アメリカ人と日本人の違いを上手く演じ、言うことはない。そして、最後のタクミの存在が、単なるサバイバル・ドラマから、温かなヒューマン・ミステリーへと彩りを添えている。
一つだけ、言いたい。ハリウッドが日本を描くと、どうしても着物の女性や日本人になりきれない東洋人役者が目に着く。今回も、日本が舞台で、渡辺謙が出演しているにもかかわらず、やはりそういうシーンがあったのが、残念。
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